5月×

 

晴れ。

関東では30度越えの夏日になったようだ。

名古屋の夏も暑いことで知られるが、

実はわたしは夏の暑さよりも冬の寒さが苦手。

 

暑いことには耐えられる。

自信はある。

…とはいうものの、

夏を迎えるにあたっては

汗をかく癖をつけないと熱中症になるから

と水分を多くとるようにした。

 

お昼、中日ビルで待ち合わせをした。

かつての中日ビルなら1階のエスカレータ前と云うのが

定番だった。

だが、新しくなった中日ビルの1階には、こうした空間がない。

必然的に外になる。

ビルの外とは北西の角だ。

ま、鬼門の東北を見つめて待つわけではないので、

気分もそんなに沈まない。

 

が、思い出したことがある。

随分前に銀座の三越前でやはり待ち合わせしたことがあった。

錦三丁目でママをしていたAさんが新橋でお店を始めたころだったと思う。

「銀座三越前で」Aママが指定した。

多分あの角地も北西に向いていたではなかったかな。

 

人通りが多く、待っているのが恥ずかしくなるほどだった。

ま、このときは台湾のテレビ局の取材を受けることになって、

暇つぶしに放った。

テレビ取材している最中に到着したママに見られ、

その日のランチの間、散々からかわれたものだ。

 

ま、今日の中日ビルではそんなこともなかったが、

古い記憶を呼び覚ましてしまったようだ…。

 

 

5月×

 

どうしてそんな話になったのかはわからないが、

「閉経した女性と射精しない男性の間に妊娠は可能か」

と云うつまらないことで議論が沸騰した。

 

基本的に子供ができるわけがないことは承知の上だ。

 

男の言い分。

「わたしには幾人かの霊がついている。

今でも右目の視野ギリギリところで彼らが跋扈している。

わたしに射精能力がなくとも、このわたしの舎弟たちが

なんとかしてくれる」

 

女性の言い分。

「想像妊娠ができるのだから、妊娠するかもしれないわ。

たとえ卵子がなくとも」

 

と云うことで話は煮詰まり、

透明の胎児ができたりするかもしれない。

となった。

 

「ただそれはいつの日にか透明のやわらかな外殻ゆえに

些細な衝撃で崩れ去り、水となって流れ去る」

 

わたしは古い歌謡曲の歌詞を思い出した。

 

富士の高嶺に降る雪も

京都先斗町に降る雪も

雪に変わりがあるじゃなし

解けて流れれば皆同じ…。

 

 

 

5月×日

 

夜、突然の寒気に襲われた。

昼間は何ともなかった。

 

鼻水が出てきた。

いやこれは朝からだった。

 

午後あたりから喉が痛んだ。

 

(風邪か…)

 

外出から戻ると石鹸で手を洗い、

うがいをする。

人混みや地下鉄車内ではマスクをする。

 

対策は万全で、

コロナ前からほとんど風邪をひかなくなっていた。

 

それが、どうだ。

完全に風邪の症状だ。

 

夜、肩から震えが出た。

夜、汗をかいて目が覚めた。

下着はびっしょり濡れている。

 

この夜、4枚の下着交換した。

 

コロナを疑い、発熱しないことを願った。

食事の際には味覚に敏感になった。

 

「センセイ。占いで風邪をひきやすいから気をつけろ、

と云う卦は出ないのですか」と聞かれた。

そんなのあるわけがないというのが私の考えだが、

「これからの健康はどうでしょう」という相談には

答えているのだから、

整合性を詰めておく必要性があるのかなあ…。