最長十日間にもなる今年のGW。
わたしは暦通りですが、
息子は「間に休みをとったから十日間の連休」となりました。
わたしですか？
わたしは暦通りです。
古い人間ですから。
◇ ◇
４月×日
新しい講座がスタートした。
いつもの恒例だが、
入ったばかりの生徒さんには試しに占いをやってもらう。
わたしの常套手段だが、
今回はいつもと違い、少々面食らった。
３年前にご主人がなくなったという女性はこんな質問だった。
「突然亡くなったので、あのひと、わたしのことをどう思っているのか…」
亡き人の思いをタロットで読むというとんでもない「お題」だ。
彼女が引き当てたのは「戦車」。
しかも逆位置。
良かった。
これは簡単だ。
ご主人はこの女性に対して怒っている。
「お前、何してんだ。シャキッとしろよ！」
四字熟語で表すならば叱咤激励。
戦車が停まっていたら戦いに勝てないだろう。
だから戦車を引っ張る役目の白と黒のスフィンクスは腰を下ろしている。
暴走してもいいからスフィンクスをひっぱたいて、走れ！
「ご主人はたぶんあなたのふがいなさに憤っているんです」
わたしは断言した。
これを聞いていた生徒さんたちは
「えっ、センセイ、言い切っている」と驚愕したかもしれないが、
占いと云うのは勢いでもある。
カードを見た感じをそのまま告げる。
鑑定とは断定でもある。
それが巫女の宣告であるなら、
これくらいの勢いが必要だということ。
新講座の幕開けは勢いよく、である。
４月×日
映画『陰陽師』を見た。
わが尊敬する池波正太郎先生は銀座に出て、
試写会をはしごされたりするが、
わたしはコロナが広まってから試写会に行ったことがない。
だから映画館で見る。
陰陽師は呪詛であり、祟りであり…などと
おどろおどろしいことをいうつもりはない。
NHKの大河ドラマ『光る君』には安倍晴明が登場するが、
ユースケ・サンタマリアの奇妙なメークがいかにも胡散臭げで
とても良い。
わたしの一押しである。
そのユースケの安倍晴明と比して映画の方はというと、
晴明役の若手俳優の無表情の演戯が生きていた。
晴明の登場する作品では「セイメイ！」と呼び捨てられて、
面はゆい思いにかられる。
安倍晴明は本来の呼び名は「あべの・はるあきら」なのだが、
しかし「セイメイ」というのは
なんといっても羽生結弦の代表作「セイメイ」以来、
だんだんと心地よく耳に響くようになってきた。
時代はセイメイ…
などと大ぼらふくつもりはないのだが。
４月×日
この日記に「いいね」してくれる皆さんに感謝しよう。
でも驚かされるのは、
「投資」や「お金儲け」に関係している人が多いのです。
占いとお金儲けは本来は直結するはずなのに、
わたしの師匠は
「ギャンブル禁止令」を発しておりました。
聞いた話です。
師匠は２０代に株をやって、
少し儲けて、大きく損をした。
だったのか、
それともびっくりするくらい儲かったので
『こんなことしてたら占い師としてやる気がなくなる』
というのでやめたのか。
ともかくこう命令しました。
「いいな。ギャンブルやかけ事に占いを使うんじゃねえぞ」
言葉は荒いのですが、師匠は女性です。念のため。
わたしはいまでもこの言葉を厳命として受け止めております。
そう云えばアメリカのある占星術師の話です。
彼女は翌年の天候を星の移動から占い、
小麦の出来高を予想した。
すると農林省にあたる役所の予想とは真逆だったので、
翌年の小麦を信用買いしたのですね。
天候が順調なので豊作となり、小麦の価格は暴落すると
多くの人は読み、翌年の小麦は安く売られておりました。
これを買いまくった。
占いは的中し、冷夏となり小麦は不作。
小麦価格は暴騰し、
巨額の差額益を得た…。
という話はあまりに有名ですが、
そんな話をしたら弟子のМさんは
アメリカ人女性占い師の本を
「センセイ、貸してください」と云った。
この本の著者は米国大統領の顧問占星術師ではあっても、
小麦で大儲けした占い師ではないのに。
４月×日
Yさんと書道展に出掛けた。
Yさんの作品が出展されていて、
それがなんとかいう賞を受賞したのである。
となったら作品を見ないで、どうする！
振りかえれば、この書道展に足を運んだのも３回目。
３年連続になるかな。
会場で会の代表の女性に挨拶した。
採寸がぴったりとした高級な生地のスーツが
良く似合うかただ。
「じゃあこの会の今後の運気とか、
わたしの今後の進み方など占っていただこうかしら」
とおっしゃるがもちろん社交辞令。
お顔を拝顔するに、気性は強く、
目力と肌の艶やかさから、運気の力は半端ない。
運気とか運勢など占うまでもなく隆盛間違いなし。
占うまでもない！