「活気のない広告紙面」 | 世の中ウオッチング

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 「広告は社会を映す鏡」、また「新聞のクオリティを示すのは広告紙面が一流企業で埋まっているか否かである」と言い伝えられてきた。自分達もそれを信じて広告業務に携わってきた。

その眼で昨今の新聞紙面をみると全く精彩がない。

 昨5日(ウィークディ)の朝日新聞朝刊を例に取れば、全頁広告は「OMEGA」が目を引くが、他に住宅金融支援機構の「グリーンリフォームローン」、株式会社内村の「ウォーターサーバー」、「KidZania japan」と言ったところ。

 大半は全三段程度の健康食品・健康維持器具、通販、旅行・観光案内、書籍等が占める。

高齢化社会と巣ごもり生活を反映しているかのようである。

 高度成長期に見られた電化製品・情報通信器具、食品、化粧品・ファッション、自動車、住宅・不動産などの大手一流企業の華々しい広告は皆無である。

「朝日教育会議」などの自社事業広告が目立つのも却って寂しい。広告集稿に苦労しているのが目に見えるようである。

  最近10年間、給与は上がらず、円安で物価上昇ばかりが目立ち消費は低迷。

他方で、わが家の閲読紙「朝日新聞」は全盛期の800万部から現在は475万部(2021年

 ABC協会調べ)に大幅減少しているという。インターネットに押されて、テレビのみならず新聞の広告媒体としてのパワーの減退が著しいから当然か?

 かっての広告には社会に対する議題設定効果や新しい価値観を提言して豊かな生活をリードする力があった。自分の記憶を辿っても「24時間戦えますか」(三共リゲイン)、「モーレツからビューティフルへ」(富士ゼロックス)、「いつかはクラウンに」(トヨタ自動車)、「知性って顔に出るらしいよ」「書を捨てて街に出よう」(新潮社)、「美味しい生活」(西武百貨店)、「好きだから上げる」(丸井)、「日本を休もう」「そうだ、京都へいこう」(JR東海)、「違いがわかる男たち」(ネスカフェ)、「ウィスキーがお好きでしょ」(サントリー)、「金曜日はワインの日」(キッコーマン)、「私はコレで会社をやめました」(マルマン 禁煙パイポ)、「お尻だって洗って欲しい」(東陶 ウオシュレット)等々切りがないほど多かった。

 

 情報爆発、誰もが情報受発信できる生活者主導の時代にあって、もはや「説得し、人を動かす力は広告に期待できない」ということの証左であるかもしれない。

 昨今の新聞紙面はその象徴と言えよう。広告全盛の時代を知る者にとっては寂しい限りである。