気になる過疎地域 | 世の中ウオッチング

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 1月22日付朝日新聞記事に「全国自治体の5割超が『過疎』」に」とある。「政府の地方創生策 衰退に歯止めかからず」と副題がついている。

 記事によれば、「22年度から自治体の全域または一部が過疎地域に指定されるのは、全国1718市町村(東京23区を除く)の51.5%にあたる885市町村。214月時点で820市町村だったかが、新たに27道府県の計65市町村だったが、新たに27道府県が指定されることになる」。過疎化は進行の一途。自分の郷里の中学校も筆者の時代は5クラス250人以上だったのが今や一学年50人程度に激減と驚くほかはない。郷里に残してきた田畑は耕作する人もなく( 依頼しても引受人がいない)荒れるに任せている。

SDGsの話題にもならない。

 地方創生といえば竹下内閣の頃、広告会社に勤務していた筆者宛てに山口県から「年度末で800万円の予算の余裕があるから東京で新聞広告をしたい」という依頼が来た。当時毎年自治体からの研修生を受け入れていて、郷里からの研修生とは親交があつた。そのご縁であったろう。

 当時既に地方の過疎化は問題視され巨額な補助金と共に様々な対策が講じられていた。国土整備、産業振興、地方の産物の全国化、Uターン・Jターンが無理なら観光開発で人口流動化等。

 たまたま筆者が発案した「東京卒業」のコンセプトによる東京版新聞広告が話題となり、全国から3千通以上の便りが寄せられ、『東京卒業』の書籍刊行となった。この発想はありていに言えば倉本聰氏の富良野物語からの拝借である。これと連動して山口農産品のブランド化正直やまぐち”キャンペーンを展開、共に努力をした。この新聞広告を期に全国の自治体から全国紙全頁広告が凡そ3年間展開された(広告会社の売上には貢献した 苦笑)。問題提起としては成功したが、それをしっかり受け止める施策が整わず竜頭蛇尾の感があった。

時を経て小説『限界集落』が話題になり、テレビドラマにもなったから知る人も多いと思う。

 地方過疎化の根本原因は当時から変わらない。都市部に比べ、地方では有望な働き場所がないので収入が少なく普通の生活が成り立たないのだ。農業・林業等での収入では、とても子供を都会の大学に送り出せない。自然は豊かでもインフラをはじめ生活の利便性は都市部の比ではない。だから若者の流出は止まらない、高齢者だけが取り残され地方の担い手は益々弱体化する。「夫が地方移住を希望しても妻が反対」はよく聞く話だ。女性の方が生活の実態をよく知っているからだ。

 「過疎化が財政悪化の要因ともなっている」ことは誰にでもわかる。では『限界集落』の主人公のように東京の有能なコンサルタントでありながら地方に骨を埋めてまで頑張る人がどれほどいようか。外野から叫ぶだけではなく、渦中に飛び込んで本気で地域をよみがえらせようとする気概のある人がどれほどいようか。

ふと思い出す。現役時代の同僚渡辺泰治さん。

会社を早期退職して新潟県魚沼市の「地域おこしアドバイザー」に単身飛び込んでいった彼は、その後どうしているだろうか。

今回の新聞記事を読んでどう思っているだろうか。