恐らく、地元大森で
もっとも高級な寿司屋といえば
知り得る限りでは「松乃鮨」であろう。
明治時代に創業し、
大森海岸の花柳界の象徴的なお店のひとつである。
我々小市民にとっては高嶺の花。
しかし、一度は訪れねばと
なけなしの小遣いをかき集め、伺うこととした。
ランチコースとはいえ、手抜きなし。
挨拶がわりの天然平目から始まり、
赤貝、甘エビ、中とろと気持ちいい継投を魅せてくる。
なんて贅沢な空間なんだ。
愛娘を幼稚園に預け、
新妻とすっと伸びるカウンターを二人じめ。
このシチュエーションならば、
どんな女性も口説き落とせるのではあるまいか。
‥と、昼間から妄想特急が走り出した。
すると、熱々のお腕が登場した。
蓋を開けて見ると、
大きな大きな浅利の味噌汁だった。
フツーの浅利よりふた周りは巨大な浅利に
小生も新妻も大興奮。
立派なウニの軍艦やら、大間のまぐろが
素晴らしいパフォーマンスを見せているのに、
終始浅利トークである。
やっぱりこの店は、我々には早かったかな・・
なんて思うもの、
またこの浅利が食べたくて来る事となろう。
帰り際、カウンターの大将が
素晴らしいスマイルを初めてみせてくれた。
目尻にシワが寄って、
平目のエンガワみたいな可愛らしい笑顔を。
君は浅利がいいと言ったが、
小生は平目が一番だと考え直そう。
これで、行った”貝”があったというものだ。
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