今日は、母の重粒子線センターの初診日でした。

 

私も仕事を抱えている身なので、

いくら周囲が理解を示してくれているとはいえ、

そんなに連日休むわけにはいかず、

今日は父に母の付き添いをお願いしたのですが、

これが、今思えば間違いの元でした……

 

重粒子線センターの先生は、

若いけれど、とても優しくて、良い先生だったそうです。

その先生が、丁寧に説明してくれたそうなのですが…

 

結論から言うと、

重粒子線治療は、母には向いていないらしいのです。

副作用が、想定以上にひどいことが予想される、とのこと。

 

ひどい口内炎ができること。

失明や、味覚がなくなる可能性があること。

これは、リスクとして織り込み済みだったのですが、

もうひとつのリスクとして挙げられていた

重粒子線照射部位の「皮膚炎」と「色素沈着(ケロイド)」が、

母の場合は「皮膚炎」と「色素沈着」で済まないらしいのです。

 

重粒子線の先生からは、はっきり

「顔に穴が開く」

と言われたそうです。」

 

耳下腺腫瘍が大きすぎて、

腫瘍と皮膚の間に距離がないため、

腫瘍を狙うと、皮膚も焼き切ってしまう、と…

 

これは、はっきり言って、想定外でした。

顔面麻痺等による「見た目」の後遺症が

少しでも少ない治療法を、という考えで選んだ

重粒子線照射なのに、

顔に、腫瘍があった場所に、

ぽっかり穴が開いてしまうのでは、

本末転倒です。

 

さらに、母の場合は、腫瘍の場所が悪くて

重粒子線を照射すると、確実に片耳の

聴力を失うことをになる、と。

顔の穴と聴力の喪失は、

どうあっても避けられないらしいのです。

 

他にも、一生、痛み止めが手放せなくなる等々、

いろんなことを言われたらしいのですが、

両親共に、「わずかな望み」ですがった

「重粒子線」という希望が、希望ではなくなったことが

ショックで、頭が真っ白になってしまったようで、

他のことは、あまり定かではありません。

 

確実に言えることは、重粒子線の先生が

 

「顔に穴が開くことと、聴力を諦めることができるなら、

重粒子線での治療もできます。

ただし、個人的には、手術の方が良いと思いますよ」

 

とおっしゃった、ということ。

 

ここまでなら、まだ諦めがつくのですが、

問題はその後の、耳鼻科で起きました。

 

もともと、耳鼻科の医師には、

重粒子線センターで診療を受けた後、

耳鼻科に、その内容を報告してください、

と言われていました。

報告するために、診療予約も入れました。

 

母も私も、それは、重粒子線専門医に

重粒子線照射は、母の病気に効果がない、

あるいは向いていない、と言われた時のための予約だと

思っていました。

 

それなのに。ああ、それなのに。

 

私はその場にいなかったので、

詳しい経緯はよくわからないのですが、

両親が耳鼻科の医師に、

 

「重粒子線センターの方では、

手術の方がいいだろう、と言われたので、

手術の方を検討しようと思う」

 

という報告をしたところ、なんと!

 

耳鼻科の医師が、怒りだしてしまった、というのです…

 

なんで?なんで怒るの? 怒られるの?

 

耳鼻科の医師いわく

 

「自分は、重粒子線での副作用やリスクもきちんと説明した。

説明を聞いた上で、重粒子線を希望したのはそっちなのに、

今さら、手術がいいなんて言い出されても困る」

 

ということらしいのですが、

 

はぁぁ~~!?

 

確かに、手術に関する説明と、副作用の説明は受けました。

先生のお身内が同じ病気にかかった場合は、

手術を選択する、という意見も聞きました。

「重粒子線にも、副作用はあるんですよ」

という話も聞きました。

 

でも、その副作用に、どんなものがあるのか、

顔に穴が開くとか、聴覚失うとかは

「専門外だから、ボクにはわからない」

って、言ってたじゃないの~~~!!

 

他にも

「そんなにコロコロ意見を変えられるのは

本気でひど病気のことを考えていない証拠だ」

とか

「ただ単に先進医療保険に入っていて、

ここ(G大病院)にその設備があるから

軽い気持ちで受けてみようと考えただけだろう」

とか、いろいろひどいこと言われたらしいのですが

私は実際にその場にいたわけではないので

割愛します。

 

ただただ、話を聞いて思ったことは、

なんで両親が、よりによって医師から、

そんなひどいことを言われた瞬間に

私は両親の傍にいなかったんだろう。

何を呑気に仕事なんかしてたんだろう、

っていうこと……

 

言い返したいことも、言い訳というか、こちらの言い分も

何も伝えられなかったこと。

 

悔やんでも悔やみきれません。

 

何があっても、両親と一緒にいるべきでした。

 

不覚にも、両親の話を聞いているそばから

悔し涙がボロボロと…

 

それを見た両親いわく

 

「お前があの場にいなくてよかった。

いたら確実に修羅場になって

二度とG大病院の敷居はまたげなかった……」

 

ひ…否定できない…

たぶん、貞子VS伽椰子くらいの、

あるいは、ゴジラVSガメラくらいの騒動には

なっていた……かも……

 

実は、母と共に説明を聞いていた時から、

その医師のことは苦手でした。

 

とにかく、言葉の端々にデリカシーがないというか

一言多いというか…

腫瘍のエキスパートではあるらしいのですが、

正直言って、あの先生には

うちの大事な母の手術をお任せしたくない…

それもあっての重粒子線選択だったのに…

 

元々の母の耳鼻科の主治医は、

若いけれど優しい女医さんだったのですが、

耳下腺がんだと判明したとたん、

いつの間にか、その先生に変わってしまって、

このありさま…

 

救いは重粒子線の若い先生と看護師さんが

とても優しい方だったということ。

 

耳鼻科の後、再度重粒子線センターに行った際、

先生は

「こちらの方は、気にしないでくださいね。

よく考えて、最善の方法を選択してくださればいいんです。

結果として、重粒子線の治療はやめるとなれば、

それでよろしいんですよ」

と言ってくださったとか。

 

さらに、重粒子線センターの看護師さんは、

耳鼻科で受けたショックに

待合室で泣いていた両親の話を聞いてくれて、

慰めてくれたんだそうで…

 

「耳鼻科の先生は、それだけご自身の技術に

自信がおありなんでしょうし、

親身になるあまり、きつい言葉になってしまうんだと思いますよ」

 

ありがとうございます、看護師さん…

 

そうですね、そう考えれば、

あの耳鼻科の先生も……

いい先生に…

 

……

 

思えない私は、心が狭い…の……か…?

 

 

どうやら最善の治療は、手術、ということになりましたが、

その口の悪い耳鼻科の先生が怒ってしまったため、

月曜日からは、最初の主治医の若い女医さんが

担当に戻るらしいです。

 

その女医さんに月曜日に再度、手術か、重粒子か

結論を伝えなさい、ということらしいのです。

 

母に、別の病院を受診することも勧めてみたのですが、

もう、そんな気力は残っていないみたい…

 

どんなに嫌でも、あの先生に頼るしかないのか…

 

口は悪くても、腕がいいなら、諦めはつくけれど…

 

病院で泣き、家で泣き、両親は今日一日で

へとへとになってしまいました。

 

ただでさえ、両親には酷な結果だったのに、

耳鼻科の医師、もうちょっと言い方は

なんとかならんかったんかな…

 

やっぱり、貞子化・伽椰子化して

病院を呪いで壊滅させることになっても

それで敷居がまたげなくなったとしても、

やっぱり、私が付き添っておけばよかった…

 

考えると、またまた私まで涙が出てきます。

 

不覚にも、私も今日は、両親の前で泣いてしまいました。

「どんな顔になっても、お母さんには生きていてほしいよ」

と伝えるのが、精一杯だった…。

 

奈落の底、ってこういうことなんかな…