会計事務所の一日 -10ページ目

大型連休中にもかかわらず、今日も国会では論戦が行われています。


東日本大震災関連に議論が集中するのは当然とは思いますが、それ以外の重要なテーマもたくさんあります。


私たちの仕事に直結するのは、今年度の税制改正の問題です。

いまだに法案が成立していないというのも異常な事態です。

個人的には、税制についての審議をする方法はあるんだろうと思います。

もちろん、震災関連税制の重要度が高いのは当たり前です。

しかしながら、それ以外の部分についての議論は十分可能です。


いつ成立するのか不透明な現段階では、お客様には「平成23年度税制改正大綱」についてご説明するしかなさそうです。



相続時精算課税制度その3では、必ずしもメリットばかりではないという点を指摘させていただきました。


ただ、それは納める税金面でどうなるのかということについてだけ触れたにすぎません。

しかしながら、「相続というよりも争続になってしまう」という現実に時々遭遇します。


相続を争った結果として、かえってそのためのコストがかかったり、税制上の優遇が受けられなかったりということはよくあります。

税制上の優遇が受けられないということは納税額が多くなってしまったということに他なりません。


さらには、相続財産を有効に活用できなかったための損失が大きかったというケースはたくさんあります。


何のためにこの制度を活用するかということがあくまでも基本です。

その上で、この制度のメリットに着目してはどうでしょうか。

有効な活用方法はあるわけですから。


ただし、税制改正に注意は必要です。




相続時精算課税の選択について、そのメリットが国税庁のホームページに掲載されています。

以前、ホームページのみご紹介しましたが、再度ご案内します。

こちらです。→相続時精算課税のメリット(その1) 相続時精算課税のメリット(その2)


Q&A方式になっていますのでそのまま掲載します。


○相続時精算課税のメリット(その1)

Q1 相続税がかかるほど親が財産が持っていない場合は、メリットがないのですか。

A1 相続時精算課税は、相続税が将来かからないと見込まれる親子間の贈与にもメリットがある制度です。従来の暦年課税制度の下では、相続財産の価額が相続税の基礎控除以下のため相続税額が算出されないケースであっても、生前贈与で資産を移転すると贈与税の負担が生じていました。相続時精算課税の下では、上記のケースで、特別控除額2500万円以内の生前贈与については贈与時、相続時を通じて税額ゼロとなります。(贈与税の負担をゼロにするためには、贈与税の期限内申告が必要です。)

また、上記のケースで、特別控除額2500万円を超える生前贈与では、超過額に対し一律20パーセントの税率で贈与税がかかりますが、相続時には申告をすることにより、先に納付した贈与税額が全額還付されます。


少し解説したいと思います。

まず、「相続税が将来かからないと見込まれる」という点です。

その後段で、「相続財産の価額が相続税の基礎控除以下のため相続税額が算出されないケース」とあります。

例示してみます。

親の相続財産の価額は7500万円、法定相続人が3人とします。

この場合の相続税の基礎控除は、5000万円+1000万円×3=8000万円となります。

したがって、相続財産の価額7500万円<相続税の基礎控除8000万円ですから、相続税額はゼロです。


次に、「従来の暦年課税制度の下では(中略)生前贈与で財産を移転すると贈与税の負担が生じていました。」という点です。

暦年課税制度では、贈与税の基礎控除は110万円です。従ってそれを超える部分の金額については贈与税がかかることになります。

しかし、相続時精算課税を選択すると特別控除額は2500万円ですから贈与税がかからないケースがあります。

例示してみます。

親から子へ現金2500万円を贈与したとします。

暦年課税制度では、2500万円-110万円=2390万円に対する贈与税がかかります。

しかし、相続時精算課税を選択した場合は、2500万円-特別控除額2500万円=0となり、贈与税はかかりません。

さらに、「特別控除額2500万円を超える生前贈与では(中略)贈与税がかかりますが(中略)先に納付した贈与税額が全額還付」とあります。

例示してみます。

先の例では、親の相続財産の価額は7500万円で、相続税額はゼロでした。

3000万円の生前贈与をした場合には、3000万円-特別控除額2500万円=500万円。

この500万円に20%の税率で課税されますから、贈与税100万円をいったん納めることになります

しかし、相続時に申告をすることことにより、いったん納めた100万円は還付されます


Q2 相続時に精算されるのなら、納付する相続税及び贈与税を合わせた税金の額は同じですから、将来、相続税がかかる人にはメリットがないのではないですか。

A1 相続時精算課税は、生前贈与を行いやすくなるというメリットがあります。相続時精算課税の適用により、相続を待たずとも生前贈与により贈与税の負担をすることなく、資産を子に渡したいときに渡せるようになることがメリットです。なお、相続時の精算では贈与財産は贈与時の価額で相続財産に合算されることになります。


少し解説したいと思います。

まず、Q2に「納付する相続税及び贈与税を合わせた税金の額は同じ」とありますが、必ずしも同じとは限りません。理由は、「相続時の精算では贈与財産は贈与時の価額で相続財産に合算されることになる」からです。

相続財産に合算される贈与時の財産の価額が相続時にも同額であれば、納付する相続税及び贈与税を合わせた税金の額は同じになります。

例示してみます。

Q1では現金を生前贈与しましたが、ここでは、株式を贈与したとします。

親の相続財産の価額は8800万円で、内2500万円が株式。法定相続人の数は同様に3人とします。

この場合、現在相続が発生したとすれば8800万円-相続税の基礎控除額8000万円=800万円。

従って、この800万円に対して相続税がかかることになります。

次に、この株式を生前贈与した場合です。

この株式2500万円をすべて生前贈与した場合、贈与税額はかかりません。

問題は相続発生時です。

親の相続財産のうち株式以外については相続時の財産の価額は贈与時の財産の価額と同額の6300万円と仮定します。(=8800万円-2500万円)

ところが、株式については1500万円に価額が下がってしまいました

この株式の生前贈与がなかったとすれば、親の財産すべてを相続時の価額で計算することになりますから、株式以外の財産の価額は6300万円、株式の価額は1500万円です。

6300万円+1500万円=7800万円<相続税の基礎控除8000万円ですから、相続税はかかりません

一方、相続時精算課税を選択した場合の計算は異なります

贈与した株式2500万円は1500万円にその価額が下がっているにもかかわらず、贈与財産は贈与時の価額で相続財産に加算しなければなりません。

従って、この場合は6300万円+2500万円=8800万円と計算され、相続税の基礎控除8000万円を超える800万円に対して相続税がかかることになります


常に注意しておきたいのは、税制改正です。

現在国会に提出されている改正案では、相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。

この例では、法定相続人が3人と仮定しましたから基礎控除は4800万円に引き下げられることになります。


以上のようにメリットもありますが、結果的にそうならないケースもありますので複雑な事案については専門家への相談をお勧めします。



まず、「相続時精算課税の選択」についてです。


1.概要

相続時精算課税制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が無くなった時にその贈与    財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に収めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

財産の贈与を受けた人は、2の場合に、財産の贈与をした人ごとに相続時精算課税を選択することができます。

2.相続時精算課税を選択できる場合

財産を贈与した人→65歳以上の親。(住宅取得等資金の贈与の場合には特例があります。)

財産の贈与を受けた人→20歳以上の子である推定相続人。(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)

年齢は贈与の年の1月1日現在のもの。

3.適用対象財産等

贈与財産の種類、金額、贈与の回数に制限はありません。

4.相続時精算課税を選択する場合

①贈与税

贈与財産の価額から控除する金額→特別控除額2500万円。

前年までに特別控除額を使用した場合には、2500万円から既に使用した額を控除した金額が特別控除額。

税額→特別控除額を超えた部分に対して一律20%の税率。つまり、2500万円までは税額はゼロです。

②相続税

相続時に精算を行います。

財産を贈与した人が亡くなったときの相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額を加算して相続税額を計算します。このとき加算する贈与財産の価額は贈与時の価額です。

その際、既に支払った贈与税相当額を相続税額から控除します。控除しきれない金額は還付を受けることができます。

5.相続時精算課税を選択しない場合 

①贈与税 暦年課税

贈与財産の価額から控除する金額→基礎控除額 毎年110万円。

税額→課税価格に応じ贈与税の速算表で計算します。

②相続税

財産を贈与した人が亡くなった時の相続税の計算上、原則として相続財産の価額に贈与財産の価額を加算する必要はありません。

ただし、相続または遺贈により財産を取得した人が、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額は加算しなければなりません。


適用手続きについては省略します。

 

相続時精算課税制度では、将来の相続税の精算では贈与財産は贈与時の価額で相続財産に合算されるという点がポイントです。



住宅取得資金の贈与やその他の贈与に関連して、相続時精算課税の選択についても検討の必要があります。

相談者はまたしても私のいとこです。


まず、「相続時精算課税の選択」についてはこちらです。→相続時精算課税の選択

大まかな内容についてはこちらに掲載されていますのでイメージはしやすいかもしれません。→参考 相続時精算課税制度のあらまし

また、そのメリット等についてはこちらです。→相続時精算課税のメリット(その1) 相続時精算課税のメリット(その2)


さらに、住宅取得資金を贈与した場合の内容についてはこちらです。→相続時精算課税選択の特例

その際の具体的な贈与税額の計算についてはこちらです。→住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)


国税庁のホームページばかりを紹介してしまいましたが、これらの制度についても適用を受ける際のいろいろな要件があります。その要件をもれなく満たさなければ有利な税制を活用することができません。従って、国税庁のHPで確認していただくのが最も間違いのない方法なのです。

電話相談でもよさそうなものですが、結局は適用の可否を判断するために自分なりのチェックシートをつくることになるでしょう。


私もひとつひとつの要件について確認します。

もちろんそれが王道なのですが、なかなか大変な作業であることも間違いありません。


このままでは、あまりにわかりにくいと思いますので次回は少し説明を加えたいと思います。





マイホームの取得に関連して、今回は「住宅取得資金の贈与を受けた場合」について取り上げます。

相談者は私のいとこです。


ちなみに、贈与税については2月1日から申告の受付が始まっています。

期限は3月15日です。


前日のブログで、マイホームの売却時には「事前の検討」が重要だと申し上げました。

贈与の場合も同様です。

ただ、贈与の場合は事前に検討した上で実行するケースがほとんどだと思いますのでそれほど心配は必要ないかもしれません。


まず、住宅取得資金の贈与の内容についてはこちらです。→住宅取得資金の贈与を受けたとき


これらのうち、直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合について触れます。

詳しい内容はこちらです。→直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税


平成23年の贈与についても、この制度の適用を受けることが可能です。

ぜひ、ご検討をお勧めします。


平成21年分でこの制度の適用を受けた方もいらっしゃると思います。

注意点は、贈与のあった年によって非課税となる金額が異なる点です。

詳細は「6 非課税となる金額」に説明があります。

それぞれのケースに当てはめれば非課税金額の計算を行うことができます。


ただし、平成21年分で非課税の特例を適用している場合又は平成22年分で所得制限の要件を満たさないときの非課税の特例(限度額500万円)を適用している場合は、平成23年分で非課税の特例を適用することができません

ご注意ください。












二日間にわたってマイホームを売却した場合の税制上の特例について触れました。


ここでは、これから確定申告を行うという段階で適用関係について検討しています。

つまり、税制上の特例が適用可能かどうかという検討を今行っているわけです。


以前のお話ですが、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用が可能かどうかについて確定申告の際にご相談を受けたことがあります。


当然、要件について一つ一つ確認を行うという作業になります。


この制度の適用要件の中に「住宅借入金等の範囲」という要件があります。

その中には「償還期間が10年以上云々」というものがあります。


このご相談者の場合、「償還期間が7年」となっていました。

その他の要件はすべてクリアーしていたのですが、この要件だけは税務上の要件を満たしていませんでした。

結論は、残念ながらこの制度の適用は受けられないということです。

結果は、この方のケースでは「還付される可能性のあった税金が還付されないばかりか、将来の税負担も大きくなったことになります。」


このように、確定申告の際に検討しても税制の優遇措置を受けることができないというケースによく遭遇します

どうすれば良いのか。

事前相談を行い、税制上の優遇措置も含めた上で売却の検討を行うことが重要です。

いざ確定申告という段階になっては、手の打ちようがありません。




昨日と似たケースの質問です。


内容は、「住宅ローンが残っているマイホームを売却した結果、損失が生じてしまった。」ということです。

異なるのは、マイホームを買換えていないという点です。


このケースでは、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越制度」の適用を考えます。

詳しくはこちらです。→住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき


この制度の適用を受けるためにも、いろいろな要件がありますのでしっかり確認します。


マイホームを買換えた場合と同様の要件もありますが、異なる点もありますので注意が必要です。



マイホームを買い換えた方からのご質問です。

相談者は法人の経営者で給与所得のある方です。


内容は、「マイホームを売却して住宅ローンにより新しくマイホームを購入したが、旧マイホームの売却で損失が生じてしまった。」というものです。


このケースでは、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度」の適用を考えます。

詳しい内容はこちらです。→マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき


この制度の適用を受けるためには、いろいろな要件がありますので一つ一つ確認する作業が必要です。

個々の要件を満たしていなければこの制度の適用を受けることができません。


もう一点は、ローン控除の適用です。

今回はローン控除については詳しく触れませんが、ダブル適用が可能な場合もありますので確認を忘れないようにする必要があります。



本日から平成22年分所得税の確定申告の受付が始まります。

このブログでは、私たちのお客様からあった具体的な相談の内容について触れて行きたいと思っています。

守秘義務の関係上、上手にお伝えできないところがあるかと思いますがご容赦ください。


スタートです。


まず、ご自身が以下の二つのどちらに該当するのかについて確認します。

1.確定申告をしなければならないのかどうか

2.確定申告をしたほうが良いのかどうか、確定申告をすることができるのかどうか


1に該当する方は必ず確定申告が必要です。

2に該当する方は必ずしも確定申告は必要ありません。


確定申告が必要かどうかについてはこちらをご参照ください。→ 「申告書の提出が必要な方」


2に該当する方は確定申告の必要はありませんが、確定申告をしたほうが良い場合があります。

例えば、「医療費をたくさん支払った」、「住宅ローンでマイホームを購入した」、「青色申告者で事業が赤字だった」、「株式等の取引で損をしてしまった」など数多くあります。


必ず確定申告をしなければならない方の場合は、申告書作成の過程で様々なことを検討することができます。

しかしながら、必ずしも確定申告の必要のない方の場合は確定申告を行うことが得か損かの検討から行う必要があります。

面倒くさいからといって検討すらしない方もいらっしゃるようですが、実はこちらの方が重要です。

なぜなら、税務上「得」になる場合がほとんどだからです。

税金の還付を受けられたり、将来払うべき税金が少なくなるかもしれないのです。


時々、脱税や申告漏れなどのニュースを耳にすることがあります。

しかし、ここで申し上げることは国税庁が定めたものを活用して節税するという意味です。

せっかく、一定の要件に該当する場合には「税金を安くしましょう」と定めた法律です。

ぜひ活用するようにしたいものです。