夕暮れがそっと

空を染めていく

あの日と同じように

風が吹いてる



俺は、会場の盛り上がりと曲の雰囲気に押され、
健くんとのことを走馬灯のように思い出す。



デビュー当時、おもちゃにされてたけど可愛がってくれた健くん。

頑張り屋で、振付を教えては何回も何回も確認して、でも間違えちゃう健くん。

男2人で観に行った満天の星空。

お互いに譲れないもので衝突した日。

台本読んでる俺の膝に乗って甘えてくる健くん。

キス出来そうな距離まで顔近づけちゃって…


期間限定と思いながら始まったこの世界。

メンバーがいて、健くんがいてくれたからここまで来れた。

俺の大切な人…


その全部が全部

愛おしくて

守りたくて

失いたくない


---ずっと側にいてよ、健くん。



胸の奥がきゅーっとなる。

ふと、健くんに視線を向けると、お互いの瞳が吸い込まれるかのように見つめ合う。

一瞬、時が止まったのかと、俺は息を呑んだ。



時間を戻せたら 君に会えたら

この腕でしっかり 抱きしめる

もう二度と君が

世界から消えたりしないように…



天を仰いで切なげに歌い上げる健くんが、
儚くも美しく、消えてしまいそうで怖くなった。

光そのものに吸い込まれて、すーっと溶けていく…



「健くん…っ!!」


だめだ、

行くな、

消えないでくれ…っ


俺は叫びながら、
思わず健くんに向けて手を伸ばしていた。