電チャリを準備せねば

 普段ロードバイクで100〜200 kmの長距離を走っている身としては、電動アシスト自転車、略して電チャリの必要性など全く感じなかったのですが、昨年登山する際、登山口までのおよそ5 km, 200 mアップの林道をクロスバイク(非電動)で行こうとしたところ、全線凸凹・砂利だらけの悪路のうえに10 kg超の重い荷物を背負っているため、ほとんど前に進むことが出来ず、同行者の電チャリに牽引してもらうという、電チャリの偉大さを思い知らされた経験がありました。東京都内に住んでいる限り電チャリの必要性は感じなかったのですが、今年の夏も南アルプスへチャレンジ(昨年は計画するも台風のため断念)することとなり、その際、畑薙第一ダムから椹島ロッジまでの20 km, 720 mアップという、昨年比4倍の過酷な道を登る必要があります(専用バスは宿泊客しか乗れないらしく、我々はテント泊なので自力で行く必要あり)。ということで、急遽、電チャリを購入することとなりました。

 

電チャリ選定

 幸いGWなこともあり、丸1日かけて検索してみます。外せないポイントとしては、

・きつい上り坂20 km、平地換算で60 kmは走行可能なバッテリー容量を持っていること

・バッテリー切れでもある程度走行可能な自転車としての性能を持っていること

・15 kg程度の荷物を積載可能なこと

・車に積載できる大きさであること(27インチより20インチなど)

 まずgoogle検索してみると、聞いたことのないようなメーカーをはじめ、非常に多くのメーカーが参入していることが分かります。鉄板は日本メーカーで、パナソニック、ヤマハ、ブリジストンが定番で、これらを買っておけば品質的にもアフターサービス的にも間違いないと言われています。しかし、上記要件に照らし合わせると、可能走行距離、ギア数の点で満足のいくものは見つかりませんでした。

 ロードバイクメーカーも最近はe-Bikeと称して力を入れており、特にスペシャライズドのものが性能的にも価格的にもダントツで良いようです。しかし、35万円からと庶民には論外の価格。

 最近はYouTubeも情報のソースとしての価値が高まっています。しかし、YouTubeは案件動画(企業から提供された製品をヨイショする)だらけで、注意深くなる必要があります。厳しい目で見つつも目にとまったのが、中華電チャリのErway-A02 (https://erway.zepan.jp)というもの。クラファンやってるくらいの新興メーカーですが、絶賛の嵐です。スペック的には

・平地70 km走行可能なバッテリー(optionで130 km)

・信頼と高性能のシマノ製8段変速装備

・20インチの小振りサイズで、折りたたみのできるので車載が容易。

・荷台取り付け可能

と全ての要件を満たしています。それに加えて、

・油圧式(!)ディスクブレーキという高級ブレーキが奢られている

・フロントサスペンション装備!

・業界最強の350Wのハイパワー(通常は250W)

とスペック的には申し分ありません。

 定価は17万円ですが、Amazonのタイムセールでなんと12.5万円になっているではありませんか。自転車単体の性能としても安いくらいで、おまけに電動なら超お買い得といわざるを得ません。2時間ほど熟考した後、ポチッと。2日後には到着予定です。

 

問題頻発

 どでかい箱が到着しました、宅配便のお兄さんは軽々と持ち上げていましたが、自転車重量23 kgとかなりヘビー級です。中華製品の常として、取扱説明書はとても不親切です。若干戸惑いつつも自転車本体の組み立ては10分もあれば完了。

 ところがここで大問題が。バッテリーとモーターを接続するコネクタが全くハマりません。メーカーのホームページには何の説明もなし、YouTubeで組み立て動画が上がっていたので見てみますが、そこは1秒で何の苦もなく完了。しばらく頭を抱えますが、よくよくみてみると、コネクターに何か挟まっている!?何とか取り出してみると小さな石ころのようです。開封してからコネクターが地面に接したことはないので、出荷段階から詰まっていたのでしょう。このあたり、やはり中華だなぁー、と中華製品を買うリスクをヒシヒシと。その後難なく接続。

 しかし、バッテリーとモーターを接続したにもかかわらず電源が入らない!説明書には「電源スイッチがサドル下にある」と記載があるものの全く場所がみつけられず。しばしネットを検索して、神のようなサイトを発見。https://e-assistcycle.com/erway-a02-review/。電源ボタンがサドルの下にあって、それを押さないといけないようです。こんな場所分かるか!

 さらに細かいところでいえば、ハンドルバーと車輪が直角ではなかったので、調整する必要があります。これはハンドルポストの下の方にある2本のねじを緩めてから調整すればOK。

 また、座るとサドルが下がってくるので、シートポストのねじを締め増しすればOK。これでようやく乗れる状態になりました。

 最後に、後付けでOGKの荷台を増設。これで大きなザックも積むことが出来るようになりました。

電チャリの、ロードバイクとは違う楽しさ

 早速試走してみましょう。アシストは1〜5の5段階の強さを手元のボタンで切り替えられます。シマノの8段変速が優秀なので、バッテリーを節約したければ平地ではアシストは不要といえるでしょう。しかしせっかくなので、アシストレベルを1に。自転車で最も体力を使う動作のひとつともいえる停止状態からの発進が格段に楽になりました。平地では1〜2のアシストレベルで十分に電チャリらしさが味わえます。

 350Wの威力を試すために、ちょっと遠出して世田谷区で有名な激坂、勾配22%の岡本3丁目の坂へ行ってみます。アシスト2ではさすがに無理、アシスト5にすると、座ったままでグングン登ってくれます。これは感動的でした。ロードバイクは軽さを利して、自分の力で登り切るという喜びがありますが、それとはちがう種類の喜びです。何物も行く手を遮らないという、とてつもない開放感です。

 バッテリー消費は、ほとんどが平地でアシスト2、ときどき坂道を斜度に応じてアシスト3~5という使い方で、47 km走行でちょうど2/5消費。この使い方なら100 kmの走行は可能そうで、中華製と心配していたわりには能書き通りのバッテリー性能で安心しました。

今後の電チャリの活用方法

 電チャリでは、全く汗をかかずに10 km/h後半の速度で30 kmくらいは余裕です。しかし、アシストがルール上24 km/hまでに制限されていることもあり、軽快に走る喜びはありませんが、坂道が全く苦ではなくなるという精神的な安寧感は、行動範囲を拡げます。荷台に山ほど荷物を詰んでも楽ちんなはずです。まずは愛猫ちゃすみんのために、猫砂を大量買いしましょうかね。