コロナ禍があけて、3年半ぶりの海外出張。今回は初のシンガポール。
観光的には、世界三大ガッカリと言われるマーライオンで有名だが、奇跡の人工都市国家、マリーナベイサンズ、美食の国としても知られる。諸々感心したところや思うところがあったので、備忘録に。
今回はZIPAIRで
同じアジアだから近いと思いきや、ほぼ赤道直下(北緯1.5度!)で、フライトは7時間もかかる。ということで、私的にはフルフラットシートでないと身体(と精神)が悲鳴を上げる距離。とはいえ、昨今の航空運賃・サーチャージの値上がりでANAやJALのビジネスクラスは高過ぎるので、今回は知人から評判を聞いていたJAL系のLCCであるZIPAIRで行くことに。価格はフルサービスキャリアのビジネスのおよそ1/3、ほぼエコノミー並みといったところ。機内サービスは基本的になく、食事やアメニティーなどが必要な場合は事前に有料で申し込むシステムだ。以前ANAのビジネスでロンドンに行ったときは、出発から到着までフルフラットで寝通しで、機内食も酒も全く口に出来なかった(誰か起こしてくれよ!)というもったいない経験もあるくらい、飛行機ではひたすら寝るのを得意とするので、ZIPAIRはぴったりだ。
久々の成田
これまでは羽田を常用していたが、ZIPAIRは成田からしか出ていないので、成田エクスプレスを予約。JR東日本のえきねっとサービスをこれまで使いこなしてなかったのが、チケットレスにすると35% offということを今さら知る。快適に成田空港第一ターミナル駅に到着。羽田に行くより少し時間とお金がかかるくらいで、成田に不便感はほぼない。しかし駅改札がカオスだった。乗客は八割方外国人だったが、多くの人が改札通過に失敗し、大渋滞。日本の切符のシステムはわかりにくすぎるだろう。日本人でも切符とスマホの組み合わせのときに、どの順番で読み取らせれば上手く通過できるのか、未だに訳がわからない。今回はチケットレスだったので、スマホだけで簡単に通れた。おもてなしの国としてインバウンド増加を狙うのなら、早急に改善すべきであろう。
出国審査に隔世の感
ZIPAIRカウンターでのチェックインは、預け荷物もなく、事前注文もないせいか、1分で完了。早い!感動したのが出国審査。顔認証ゲートで、パスポートとその場で撮影される顔写真を紐付けて、1分で完了。ちょっと海外に行かない間に、隔世の進歩。以前は、審査官がパスポートと実物の人を見比べていたのが、自動化されたわけだ。ただ、手荷物検査は相変わらずダルい。最近、非金属のズボンベルトにしたおかげで面倒がひとつ減ったのは救い。
ZIPAIRは必要十分
今回は17:00成田発、23:20チャンギ着の便。上述の通り機内食は事前に申し込んでおかないと出ない。今回は徹底したローコストを目指して、事前注文無しで、おにぎり4個とプロテインバーをあらかじめ調達。液体は保安検査通過した先の制限エリアで調達しなければならないが、制限エリア内のマクドナルドやコンビニには長蛇の列!しかも、おにぎりはほぼ売り切れ。このあたり、もっと工夫できるのではないかと思う。面倒な人は、事前予約で必要なものを揃えた方が良いと思う。それほど高くない(市中の2~3倍程度の料金)。
搭乗はとてもスムーズ。機体は787-8と立派。CAは、フルサービスキャリアCAと何ら変わず凜々しい(ただし接点はほぼないので、あくまでも印象)。残念だったのは、せっかく長蛇の列を並んでビールを調達したのだが、「自分で持ち込んだアルコールを幾内で飲むのは禁止!」との機内アナウンスが。アル中の人には耐えられないかもしれない。
定刻通り、17:00発。無料Wi-Fiを謳っていたが、iPhoneとMacBook Airでは全く繋ぐことが出来なかった。セキュリティ警告が盛んに出るので、AppleのOSとの相性が悪いのかもしれない。テレビモニターはないので、暇つぶしをしたい人は映画を自分のデバイスに取り込んでおくと良い。わたしは刑事コロンボと名探偵ポワロシリーズを全話入れている。
さて、肝腎のシートだが、文字通り完全にフルフラットになり快適。ただし、寝ている姿が通路を歩く人から丸見えで、プライバシーの点ではいまひとつ。また、じんわり冷気が降ってくる(最初はエアコンの吹き出し口が全開で凍え死ぬかと思ったが、閉じてもじんわり寒い)ので、寒さに弱いひとはブランケットか上着を持参することが不可欠。実際大半の人がそうしていた。荷物ミニマム主義を掲げる私は、半袖シャツのまま、雪山の遭難者のような格好をしながら何とか眠った。ブランケットセットは有料で借りることが出来るので、荷物を減らしたい人は是非利用を(事前注文のみか?)。総じて、ビジネスクラスのサービスに過剰感を感じていた私にとっては、過不足のないドンピシャのZIPAIRフルフラット体験だった。
シンガポール初上陸
定刻通り23:20にチャンギ空港に到着。正確な運行もたいしたもの。入国審査は、成田で登録した顔写真+パスポート情報+事前にweb入力した健康情報SGA(シンガポール到着カード)が恐らく一括して自動で審査され、あとは指紋と顔写真撮影で、2分程度であっけなく完了。以前は、審査官がパスポートをじろじろ見て、何しに来たとか、何日いる、どこに泊まる、とかいろいろ質問されていた。真っ正直に仕事の内容を言うと面倒なことになりがちなので、いつも「観光」と答えていたものだ。合理化が進んで大変よい。
Train to Cityの表示に従って、シンガポール地下鉄MRTを目指す。外に出てみると、東京より湿度が高くムッとする。気温も夜にしては高い。通常なら、地下鉄だけで目的地のBuona Vistaに簡単にいけるのだが、深夜着で終電が終わりつつあり、Google Mapの誘導に従って、路線バスも駆使しながらの長旅になった。電車もバスも、apple watchに登録したクレジットカードでOK。交通機関に限らず、シンガポールはどこへ行ってもapple watchでほぼ支払いが完了する。チャージ式のEZ-Linkカードの購入をすすめる情報もあるが、他の人に聞くと、日本のクレジットカードではチャージが出来なかったとのこと。でもVISAタッチは日本のクジットカードでも使える、というやや謎の仕様。
バスは難易度が高いと思われたが、バスの系統番号もGoogle Mapで案内してくれるので、あとは降車場所さえ間違わなければ良い。ただし、停留所名をいちいちアナウンスしないし、読み取れないので、Google Mapで現在位置を把握しておいた方が良い。路線バスなのに二階建てで、もちろん二階の最前列に座って眺めを楽しむ。車はドイツ車と日本車(特にホンダとトヨタ)が強く、ヒュンダイもそこそこ、といった感じ。ということで、はじめてなのにほとんど戸惑うことなく、シンガポール郊外のホテルに1:30に到着。深夜にもかかわらず身の危険を全く感じることもなく、治安もとても良さそうだ。
想定外の湿度の高さ
ホテルは、湯船無し、シャワーのみの欧米スタイルのホテル。床と備え付けスリッパの相性が最悪で、少しでも濡れていると、まるでマンガのように滑ってひっくり返りそうになり、何度も危ない思いをした。そのうち死人が出ても不思議ではないくらい滑る。ちょっとテストしたら分かりそうなものなのに。計算外だったのが、エアコンを効かせても湿度が異常に高く、自慢のモンベルの速乾性下着ですら丸1日経っても乾かない。タオルに挟んだり、ドライヤーの熱風を当てたりして何とか乗り切る。朝食は、アメリカンブレックファスト風で、特に特徴は無かった。美味い地のものを食べるなら外で食べねばならない。
いざ、シンガポールの街中へ
一仕事終えて、MRTで30分ほどかけてシンガポールの中心街へ繰り出してみる。目指すはマーライオン。世界三大ガッカリなどといわれているが、愛嬌のある顔立ちでとても愛おしい。漢字で書くと魚尾獅、そのまんまだ。マーライオンの対岸にマリーナベイサンズが怪しく光る。カジノもあり、なんでも、大負けした人が毎晩のように飛び降りるから気をつけろとのことらしい。
ちょうど付近に屋台村(一般にホーカーズと呼ばれる)があったので、ともかく現地の名物を注文しまくる。ラクサ、バクテー、カヤトースト、チリクラブ、丸ごとココナッツ。支払いはapple watchでOK。現金を使う場面はこれまで皆無だ。しかし、チリクラブの食べにくさはトラウマレベル。チリソースに浸かったカニを手でつかんで、カニばさみを使って力を込めて固い殻を砕きつつ、身を取り出すのだが、正直重労働だ。日本のズワイガニ料理のようにはいかない。身をむいてくれる人がいればいくらでも食べられる美味さであることは間違いないのだが、滞在中にもう一度注文する気にはなれなかった。
しかし、電車内でドリア禁止のマークがあったのには笑った。街中で沢山売っており、匂いを良くしたドリアの新品種も従来品種の5倍くらいの値段で売っていたが、食べられないリスクを考えて断念。海南飯店のチキンライスは食べ損ねたが、スーパーでチキンライスの素を買ったので、家で作ってみよう。
不思議なことに、シンガポール市街には蚊が全くといって良いほどいない。現地の人に聞いてみると、毎週煙るほど薬をまくそうだ。デング熱の流行にはかなり気を遣っているようだ。蚊がいないというだけで、暑くて湿度が高かろうが東京よりはるかに快適だ。各国の街中で猫をみるのも私流の旅の楽しみの一つだが、あいにく今回は1匹しか見かけなかった。とても人懐こく毛並みも良いので、きっとシンガポールの人達も猫好きが多いのだろうと想像する。
翌々日はセントーサ島へ足を伸ばしてみた。島全体がリゾート地となっており、入島時に木戸銭のようなものを払えば、島内の交通機関は無料だ。高い金を払って遊ぶ気はあまりないので、アジア大陸最南端の地に行ってみる。しかし、シンガポール自体はジョホール海峡で隔てられた島なので、大陸最南端と呼ぶ妥当性に大いに疑念が…。ということで、ポルトガルのユーラシア大陸最西端のロカ岬ほどの感慨は湧かなかったが、野生の大トカゲを間近で見られたので大満足。そのあと水族館へ。かなりの規模ではあるものの、美ら海水族館の方が断然スケールが大きく、シンガポールならではの展示もないので、優先度は高くしなくてよいかと思う。USJも大阪にあるし。ジップラインなどのアトラクション好きの人は楽しむところがいろいろある。時間切れで、植物園も動物園も行っていないので、次回の楽しみにしよう。
チャンギ空港で12時間過ごす
さて、帰国の日となったが、チャンギ空港出発が00:50。チェックアウト時間ギリギリにホテルを出発。街中に出て汗だくになるのもいやなので、空港へ直行し、11時過ぎに到着する。しかし、ZIPAIRはアーリーチェックインができず、出発の3時間前からしか管理区域内に入れない。しかし、チャンギの良いところは、管理区域外で素晴らしく遊べるところだ。
ジュエルは圧巻だ。屋根から流れ落ちる滝を中心に、緑を豊かに配置し、さらにその外郭にはあらゆるショップが充実している。マリーナベイサンズといい、シンガポールのきらびやかさは半端ない。滝をしばらくぼーっと眺める。全然飽きないが、滝の周りはエアコンの効きが悪く、蒸し暑い。滝は夜になるとライトアップされるので、夜また見に来ることにして、昼ご飯を食べて(こらえきれずラーメン!)、全ての階のショップと1から3まであるターミナルを隅々まで歩いて、ようやく夕方を迎えた。有料でラウンジにでも入れば良かったのかもしれないが、今回は節制が一つのテーマでもあるので、易きには流れない。空港内だけで10km以上歩いた。お待ちかねの滝のライトアップも見事だった。
21:50にようやくチェックインがはじまり、管理区域の中に。出国手続きもあっけなく、無人機で完了。面白いのが、管理区域内でもトレインでターミナル間を移動できることだ。車両そのものが、管理区域内外の客を分けて乗降させられるようになっており、とても賢いと思った。管理区域内のターミナルも隅々まで見ようと思ったが、あまり変わり映えしないのと、さすがに歩き疲れたので途中で断念。いくらなんでも12時間は長すぎた!でも5時間くらいなら持て余すことなく楽しめる空港だった。トイレも一部ウォシュレット付のものが必ず備えついている。欲をいえば、これだけ暑くて蒸す国なのだから、コインシャワーブースをあちこちに設置しておけばきっと盛況になるのにと思った。
戸惑ったのが、手荷物検査が搭乗口直前にあることだ。当然、液体は持ち込めない、がLCCなので飲み物を自分で用意したほうが良い。しかし、チャンギ空港には至るところに飲料水を汲む場所があり、手荷物検査通過後の場所にも必ずある。なので、空のペットボトルを持ち込めば水に困ることはない。親切にも、手荷物検査の場所で教えてくれた。
搭乗後は、少し寒いと感じつつもフルフラットで熟睡。あっという間の成田到着でした。日本入国書類と税関申告も事前にwebで済ませておけるようになっており、世の中の流れは早いものだとじじいみたいなことを考えたシンガポール出張でした。シンガポール産のピクミンは往復に70日以上かかるのも参った。














