メガネ生活のはじまり

高校卒業までは視力2.0だったのが、大学に入ってテレビゲーム三昧(初代ファミコン世代)で、わずか数ヶ月で近視になってメガネ生活が始まって以来、30年以上メガネが手放せない生活を送っています。私はメガネが格好悪いと思ったことは一度も無く、高校の卒業写真にはわざわざ友人のメガネを借りて写真を撮ったほど、むしろメガネが好きです。しかし、メガネ特有の鬱陶しさがあるのは事実です。購入時に調整してもらっても、使っているうちに徐々にゆがんできて、鼻パッドが片方だけ痛い、ツルの耳に当たる部分が片方だけ痛い、自分で修正を試みるとほぼ悪化する、などはどんなメガネを買っても必発の悩みです。

 

メガネ沼へ

15年ほど前に職場近くのメガネ屋にフラッと入ったのがメガネ沼にはまった運の尽きです。「メガネをかけていることを忘れるほどの軽さ!」と謳ったフレームが目に飛び込んできました。これは縁なし&超軽量ツルという、究極の軽さを実現したメガネです。

このメガネはとても掛け心地が良かったのですが一つ欠点が。それはツルが折りたためないため、外したときには場所を取るのです。メガネを外して新幹線の窓際にちょいと置いておく、みたいなことが出来ません。

件のメガネ屋は近くてすこぶる便利なので、少しでも掛け心地がズレた感じがすると直しにもらいに立ち寄っていたのですが、お店にとっては完全に葱を背負ってきた鴨状態で、結局通算で、6万円超のメガネを4本も買うことになりました。7年前に購入し、現在も使用中のものがこれです。

「お客さん、これすごく似合いますよ!ただでさえ男前なのに、超絶男前になりましたよ!」などと店主のオッサンにニコニコと褒めそやされ買うパターンが4回続いたことになります。しかし実際、このメガネにはほぼ不満がありません。Darwin by MARUMANのチタン製のフレームで、デザイン性も掛け心地も抜群です。軽いせいか作りが良いせいか、鼻パッドや耳部分が痛くなるということもほとんどなく、今に至っています。ただし、このメガネ屋は遠くへ移転してしまったので、調整が頼めなくなった反面、乗せられて新しいメガネを次々に買うという浪費もなくなったかに思われました。

 

第二次メガネ沼へ

しかし、次なるメガネ沼に突入しました。それは、趣味としてロードバイクを始めたことがきっかけです。ロードバイクを乗っている人をみると、多くの人がターミネーターかロボコップかイチローか、と見まごうばかりのアイウェアをしていることに気づくでしょう。オークリーなどが代表的ブランドです。ロードバイクは時速30 kmを超える高速で走るので、衝突物から目を保護する、余分な光成分を除去して視界を良化して安全性を高める、という目的のため必須のアイテムと言って良いでしょう。裸眼あるいはコンタクトレンズを使用している人は気に入ったアイウェアをそのまますれば良いのですが、メガネっ子はそうはいきません。コンタクトは若い頃何度もトライしましたが、寝る前に取り外すのを忘れて眠って、翌朝死んだ魚の目のようになった経験以来、恐ろしくてコンタクトを忌避するようになりました。メガネっ子がロードバイクで良い視界を得るために必要なのが、スポーツ用の度付きサングラスになります。スポーツ用というのは、より顔の形に沿うように一般のメガネより湾曲が強く、目への風の巻き込みが低減するというものです。そこで購入したのがpoliceの度付き&偏光入りのサングラスです(10万円!)。

これも極めて満足度の高いメガネで、特に偏光が効いて、眩しさを全く感じません。しかし、常にこのサングラスを掛けていないと近視ですべてがぼやけて見えてしまうので、飲食店などでイキッた怪しい人と思われる、ライドが夜に突入してしまったとき視界が暗すぎる、という難点もあります。特に、日の短い秋・冬のライドには向いていません。

ここで一度、理想のロードバイク用メガネを整理すると、

1. 偏光度が高い

2. 可視光透過率が低すぎない(低いと黒い;夜間の運転には75%以上が必要)

3. 適度な湾曲(一般のメガネはカーブ2~3なので、それ以上のもの)

スポーツサングラスを取り扱っているお店をいくつか訪ねて調査をした結果、1と2の両立は不可能だということが分かりました。つまり、偏光度を高くすれば必然的に可視光透過率も低くなるのです。偏光度も可視光透過率もそこそこ、みたいな商品もあるものの(タレックスのモアイレンズなど)、例えば偏光度20%なら裸眼と大差なく意味がほとんどない、というのが専門家の一致した意見でした。

そこで妥協策として、調光レンズはどうかと考えたわけです。これならサングラスの欠点は解消できるのでは。そこでZoffで購入したのがこれです。

一般メガネよりは少しだけカーブが強いようですが、強すぎず、普段使いも出来そうです。カーブが強い度入りメガネを普段使いにするのは難しいというのも専門家の一致した意見でしたが、この程度なら問題なさそうです。Zoffなだけに、とても安かったです(1万円程度)。ただ、1万円だからなのか、掛けていてもどうにも情熱が沸き起こってきません。また調光には調光の欠点があって、色の戻りが遅かったり、まだ薄暗い冬の朝には真っ黒になりやすいということが挙げられ、全てを解決するものではありませんでした。

このように、ロードバイク用のメガネで困り果てていたところ、国産スポーツサングラスメーカーのSWANSから「自転車通勤用メガネ」と銘打ったJobSport-βという新開発フレームのモニターキャンペーンが実施中だったので応募したところ、何と何百分の1の確率(販売店談)で当選してしまいました。3万5000円相当のフレームはプレゼントされますが、レンズは自腹になります。自転車通勤にも使えて、そのまま職場で使ってもOKというのが売りで、東大出身のアマチュア超強豪ヒルクライマーの森本誠さんも推奨していたくらいなので、非常に大きな期待感を持って、6万円超のレンズ(遠近両用クリアレンズ)を奮発しました。ツルの先端部が巻かずに真っ直ぐというのが、スポーツアイウェアっぽさを物語っています。

さて、実力やいかに、ということですが、諸々問題が露呈してきました。

1番こたえたのが、「お前にはそのメガネ全然似合わねーよ」という職場の同僚の心ない&容赦ない&恐らく悪気なく本音を口に出した言葉が刺さりました。メガネの機能の観点だけ言えば、もちろん職場で全く問題なく使えます。しかし、ここまで言われて職場で使うほど私の心は強くありません。メガネの似合う似合わないは死活問題です。メガネを作製するときに、「似合ってますか?」と半ば冗談でお店の人に尋ねたのに、ただ笑っていただけだったのはこういうことだったのか、と今さら気づかされます。しかし、この点はjobsport-βの責任というより、デザインを選んだ私の責任です。次の点は、縁が太いのが災いしてか視界が普通のメガネより狭いです。自転車乗りにとって視界は極めて重要ですが、これでは何のために使っているのか、ということです。さらにいえば、湾曲(カーブ)が一般のメガネと全く変わらず、従って風の巻き込みに関してのメリットは皆無です。自転車用途を謳うのであれば、度入りにしても通常利用に差し支えないくらいのギリギリのカーブにチャレンジして欲しかったです。ではこのフレームのどこが自転車用らしかったのか?唯一のポイントは真っ直ぐなツルでしょう。このおかげでヘルメットとも干渉せず、つけ外しも大変スムーズです。真っ直ぐツルは初体験でしたが、これは快適でした。ただし、耳に引っかけるタイプと違って、側圧だけで支えるので、メガネがズレないようにと側圧を強くしすぎると、頭痛を誘発します。側圧の調整が意外にシビアなのがこのタイプのツルの取扱いの難しさでしょう。ということで、結局jobsportβは、秋・冬のライド用のメガネとして運用しています。たまに職場でも使っていますが、心ない同僚にはなるべく会わないようにしています。

ということで、現在6本のメガネが手元にあり、楽しんで使い分けているというお話しでした。次のメガネどんなの買おうかな。