ファイルNo,630 エリミネーター250SE メンテ完了。
UPS-TAKU 大塚です。
数年前にキャブのO/Hを当店で行ったエリミネーター250ですが
出先で突然エンジンストップ。
セルも回らずどうにもならないとの事で
当店に入庫したのは昨年の事です。
当初はセルモーターかステッチマグネチック当たりの
トラブルではないかと思いまして
一先ずパーツ単体にして点検する事になったのですが
セルモーターは単体での動作確認OK。
スイッチマグネチックは要交換。
しかし・・肝心のエンジンですがクランクが回りません。
焼き付きかどうか判りませんが最悪の事態です。
結果的にこのエンジンには手を付けず
中古エンジンを探して頂き換装する事にしました。
当店ではかなり先まで作業日程が詰まっていますので
一度イレギュラーが発生するとすぐに対処する事ができませんが、
エンジンが入庫してから作業日程を絞り出し
いざ換装作業へ・・・
中古エンジンを販売した業者で
厳重に梱包されていた木箱を解体すると
エンジンはまさかの横向き状態になっており
漏れたオイルでギトギト。
オイルを抜かずに何故横向きで梱包するのか判りませんが
必要以上に手間がかかる=料金が発生しますので
車両オーナー様にとっては優しくない状態でした。
↑左が下ろしたエンジン。
右がお客様に手配して頂いたエンジン。
↑元々のエンジンやラジエター関係関係から
移植するパーツや新規に調達した配管関係等
換装前後でやる事がそれなりにありましたが
もう細かくは画像を残しておりません。
エンジンの換装他、粗方の作業を終えたところで
大問題が発覚!!
なんと右シリンダープラグホールのネジが
バカになっているじゃないですか~
実働エンジンと記載して販売されていても
ヤバいのは幾つもありますが
残念ながら泥沼にハマってしまった様です。
車両オーナー様と打ち合わせをした結果
取り合えずシリンダーヘッドを下ろして
リコイル作業を行いましょうと言う事になりました。
ただ他の作業予定もありますので一旦中断です。
↑作業開始
左側がNGです。
湿り具合が違いますねぇ
ネジは完全にバカになっていたわけではありませんが
規定トルクはかけられない状態です。
↑リコイルパイロットタップを使用して下ネジを造ります。
このヘッドのネジ穴はヘッドカバー取り付け面に対して
垂直に立っていませんので
パイロットタップが無いと面倒ですね。
↑下ネジ穴加工完了。
↑リコイル完了。
↑プラグを仮組。
問題ありませんね。
今回はヘッドのO/Hではありませんので
バルブシールの交換その他細かい作業は行いません。
↑それでまたまた問題発生。
リコイル作業の時にカムシャフトやロッカーアームを外すのですが
ロッカーアームが段減りしています。
↑画像じゃ分かり辛いですがけっこう凹んでいます。
↑カム側も虫食い
いや~ これは参ったなぁ・・と
↑で元々のエンジンから部品を調達しようとヘッドカバーを開けたら
なんとロッカーアームが砕けていました。
↑8個のロッカーアームが全部オシャカです。
しかも破片が一部見当たらない。
これでやっと腑に落ちました。
走行中にロッカーアームが砕けて
タイミングチェーンが通るホールから落下、
ギヤに噛み込んでエンジンストップの流れだと思います。
ネットでも同様の事例が報告されていたので
このエンジンの弱点の一つかもしれません。
それで新品パーツが出るのか検索したら
カムシャフトは当然廃版。
ロッカーアームは欠品。
仮にロッカーアームだけ新しくしても
カムシャフトが片摩耗していれば
また早期にトラブルが発生する可能性もあります。
しかし現状では中古パーツに頼るしかないので
ネットオークションで調達。
↑調達したロッカーアームです。
それなりに消耗していますが
これ以上の程度を望むのも無理でしょう。
↑同じエンジンから取り外したカムシャフト
↑カム山に傷が入っています。
ですが元のカムに比べたら状態は良いです。
それぞれの面を整えて使います。
↑新品パーツ
何だかんだありましたが
ロッカーアームの調整も終え
エンジン始動まで漕ぎつけましたが
こんどは電源が入りません。
バッテリーは充電済み
周辺の配線やメインキーも調べましたが問題無し
最期に残ったのは新品交換したスイッチマグネチック。
↑見た目は元々のスイッチと一緒です。
ただし品番変更の代替品となっておりました。
↑で原因判明。
見た目は一緒なのに+と-が逆になっていました。
たしかに樹脂部分を見ると表示はあるものの
+と-が逆になると配線の取り回しも不自然になるんだこれが・・
カワサキ純正の代替品に詳しくなかったので
しっかりトラップに引っかかってしまいました。
本日テスト走行をした結果ですが
特に問題もなくスムースに走りました。
しかしこのエンジンの構造から察するに
オイル管理はシビアにですね!!
↑そうそうアース関係の配線が改造されていましたが
画像の通りもげるところでした。
↑そのままでは危険なので処理しておきました。
長くなりましたが終了。
文章を見直している時間が無いので
誤字脱字があれば申し訳ございません。
※リコイル作業に関しては通常単発では受け付けておりませんので
ご理解のほど宜しくお願い致します。