興南・我喜屋監督は教育者の亀鑑/東京五輪エンブレム騒動/他 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

興南・我喜屋監督は教育者の亀鑑/東京五輪エンブレム騒動/他

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[甲子園] 100年目の甲子園はドラマに満ちて
 ~一瞬の夏、一球の夏~
[盗作] 東京五輪エンブレム騒動
 ~疑惑は広がるばかり~
 ~デザインは単純明快なものを~
[酒] 酒は天下の美禄なり
 ~熱燗が恋しくなる季節~
[今週の俳句もどき]

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[甲子園] 100年目の甲子園はドラマに満ちて 

一瞬の夏、一球の夏 

100年の節目の夏の高校野球は、東海大相模の45年振りの優勝で幕を閉じた。投打にバランスが取れていて、私は素人なりに同校が優勝候補と先般この項で綴った。その通りになった。左の小笠原、右の吉田二人の本格派投手の存在が大きかった。
 
準優勝の仙台育英は、佐藤投手一人で投げ切った。一度は同点に追いついたが、追加点を奪えず敗れた。東北に紫紺の優勝旗を、の夢は今年も叶えられず、恰も天下を睨みながら遂ぞ野望ならなかった、伊達政宗に通じるものがある。
 
一瞬の夏、一球に歓喜と涙あり。今年も幾多のドラマティックなシーンを見せてくれたが、私が特に印象深かったのは沖縄・興南の戦いぶりだった。
 
準々決勝の対関東一戦は、8回まで3-3の息詰まる攻防で、勝敗の帰趨、女神はどちらに転ぶのか私は固唾を呑んで見守った。興南の二年生左腕比屋根投手は、決して頑健とは見えない体から、独特のトルネード投法で強打の関東一打線を喰い止めていた。
 
そして9回二死、バッターはオコエ。私は何だか打つ予感がした。ベンチはもしかすると敬遠策に出るのでは、そう思った。
 
しかし興南は勝負に出た。比屋根投手の内角を突いた渾身の直球は、オコエの一振りに左翼席に消えた。2点決勝本塁打。その裏興南も1点あげ粘りを見せた。だが逆転できずに4-5で敗れ去った。
 
堂々勝負しての結末、バットを放り投げガッツポーズのオコエ、天を仰ぎ「やられた」とばかり苦笑いを見せる比屋根投手、明暗の中に高校生の純粋無垢なスポーツマンシップを見た思いがした。
 
興南・我喜屋監督は試合後に言った。「(オコエを)敬遠する手もあったが、全国を代表する打者と勝負させたかった。全力でやり、全力で打たれた。悔いはない。」(朝日新聞) どうです、この言葉、痺れます。
 
星稜・松井秀喜を5連続敬遠した明徳義塾指導者とは流石に格が違う。我喜屋監督こそは「グランドは教育の場」を実践した仰ぐべき指導者だ。かくてオコエはヒーローとなった。
 
試合中、テレビで垣間見るに我喜屋監督は選手を叱咤激励することもなく淡々と指揮を執る。心中はさぞ格闘があるだろうけど、表情を表に出さず、そこには孤高の品格が漂っていた。
 
さもあらん、同氏は、興南中・高の理事長&校長である。校長が高校野球の指導者というのは、私の知る限り興南高だけである。
 
「己を律して乱れず」まさしく教育者の亀鑑(きかん=かがみ)、さような監督に率いられる興南の選手諸君は幸せである。清々しさの残るチームと監督であった。高校野球の神髄はここにある。  
 
   
[盗作] 東京五輪エンブレム騒動 

疑惑は広がるばかり 

先般私はこの項で佐野研二郎氏(43)の東京五輪エンブレムが、パクリ(盗作)ではないかと書いた。そのほとばりが冷めぬのに、サントリーのトートバックが、30点のうち8点が盗作であることが発覚した。
 
制作はこれまた佐野氏の事務所である。桝添東京都知事は「エンブレムのイメージすら悪化しかねない」と懸念している。
 
疑惑のデパートの主がデザインするエンブレムを国民も企業も胸を張って使用できるであろうか。加えてベルギーのデザイナーは、「盗用」であるとして、もし使用すれば一回毎に5万ユーロ(690万円)のパテント料を請求する訴えを起こした(ハフィントンポスト)という。 
   
デザインは単純明快なものを 

裁判になれば長期におよびその間エンブレムは使用できない。ケチのついたこのようなエンブレム、この際バッサリ切り捨て、再度公募したらいい。
 
そもそも佐野エンブレムは、暗すぎるし躍動感がない。1964年東京五輪の亀倉雄策デザインは、分かり易くインパクトがあった。つまり後々まで印象に残るものがいい作品だ。
 
例えばこんな図柄はどうなの?「青空バックに富士山が聳え起ち、その下に金色の五輪マーク2020TOKYO」屁理屈こねて、何も難しくする必要なんかない。これなら外国人にも明解だ。Zapp!(デザイン会社)の白金社長、作ってみて!
 
 
[酒] 酒は天下の美禄なり 

熱燗が恋しくなる季節 

24日は台風の余波で涼しい朝を迎えた。あの猛暑が嘘のように一足跳びの秋到来。そういえば公園のハナミズキも知らぬ間に薄らと紅葉が始まり、鈴懸の葉も色褪せてきた。
 
そろそろ熱燗が美味しい季節になる。私はぬるめの燗が好みである。それには「黒牛」(くろうし=和歌山の酒造)が最適。「酒は天下の美禄なり」(貝原益軒)。ますます旧い友人が恋しくなる。酒は思い出を呼び友を呼ぶ。
 
われもなく冷たき 闇に沈むらむ。
つかぬ間の 夏の光よ、
いざさらば。
(ボードレール「悪の華」秋の歌)
  
  
[今週の俳句もどき]
 
湧く雲や歓喜と悲鳴連れて去り
 
凌霄花(のうぜんか)散りゆく先や虫の声
 
秋暑し風鈴の音や路地灯り

 
昭太郎


夏も終わり畑も片付け、トマトがくたびれ果て残る。
手前、薩摩芋。

 
  

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