具志堅は7回KOが何故多かったか?/名選手は独創性を有す/他 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

具志堅は7回KOが何故多かったか?/名選手は独創性を有す/他

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■具志堅は7回KOが何故多かったか?
 ~苦しい時こそチャンスあり!~
 ~名選手は独創性を有す~
■白内障の手術に至る
■秋爽の候きたり

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具志堅は7回KOが何故多かったか?

先週この欄で「具志堅用高選手は現役時代なぜ7回KO勝ちが多かったのか?」の答を明かしますと予告しました。改めて本人から伺った話を元に御紹介したいと思います。
 
具志堅選手が活躍した時代(1974年~1981年)の世界戦は15ラウンドでした(現在は12R制)。しかも試合当日朝の計量でした(現在は前日計量)から選手にとっては、過酷な条件下の戦いでした。
 
現役引退後しばらく経った或る日、食事の席で何気なく、私は御当人に尋ねてみました。「世界戦15戦の中に7回KOが4度(先週3度といったのは間違い)あるけど、あれって偶然なの?」と。
(例:’77年10月グスマン(王座奪取)’79年1月マルカーノ(防7)’79年4月ロペス(防8)’79年10月アベラ(防10)注/’79年は4戦して3戦が7回KO。) 
これに対して、具志堅さんは、よく聞いてくれたと言わんばかり、すらすら答てくれました。いままでマスコミが誰も聞かなかったことに、さも不思議だといった表情でした。
 
 
苦しい時こそチャンスあり!

具志堅さんはいう。「昔は15ラウンドだったでしょう。だから中盤(7回)あたりが最も苦しいわけ。自分が苦しいんだから相手も苦しいはずだと思って、力を振り絞って一気に攻めたのよ。敵は油断しているからね、慌てるよ。それでKO出来るんだ。試合は、苦しい時こそチャンスがあると思うよ。」
 
私が驚いたのは、計算ずくのKOだったことである。現役時代彼を幾度となく取材したにも関わらず、終ぞ質問しなかったことに、そのとき大いに悔やんだ。
 
最も現役時代は、敵に作戦を明かしたらまずいので、問われてもマスコミには、何も答えなかったのか、あるいは聞けなかったのか。ジム側の箝口令だった、ということもある。それは充分に考えられる。
 
兎も角、いま流行の脳学者に訊かせたいようなエピソードである。WBA世界L・フライ級13度防衛記録の裏にはこんな秘めたる「戦術」が有ったのだ。
 
 
名選手は独創性を有す

多分これはコーチや会長から教えられた「秘策」ではあるまい。具志堅選手自身が、身を挺して経験した中で自ら開眼した、戦術…ではなかったか。
 
後世に名を残す人物は、やはりどこか違う。余人には無い独創性、オリジナリティーを持つものだと改めて得心したのである。
 
苦しい時こそチャンスはある、はまさに箴言である。具志堅さんの見事な人間洞察力には舌をまく。この逸話こそあらゆる困難に立ち向かう時に、当てはまる名言ではないのでしょうか。
 
 
白内障の手術に至る

白内障に罹りとうとう手術することになりました。昨年あたりから左目が霞んだり、瞼の裏がゴロゴロしたり、特に読書の後には疲れ切ってしまっていました。近所の眼科で時折診察してもらっていたのだが、どうも不安になってきた。
 
そんなことで新宿の東京医大眼科を訪れ徹底検査してもらった。その結果は、手術の必要性を申し渡されました。手術日は2カ月後になりそうで、それまで辛い読書を余儀なくされそうです。何が不便かというと文字の小さい本は眼がしょぼしょぼして進まないことです。
 
白内障は年寄になったら多かれ少なかれ罹る病気だ、とかねてより伺っていましたが、自分にも遂に来たか、となんだか、老いを改めて実感いたしました。「終にゆく道とは、かねてききしかど」である。
 
幸い他の病気は見当たらず、総合検査の結果は「他は全く問題ありませんよ」と担当医か二重丸を頂いた。やはり早朝のラジオ体操と太極拳、ウォーキングなど、即ち体を日々動かすことがいいんだ、と自分で納得した次第です。
 
 
秋爽の候きたり

秋爽の候がきた。特に日曜日(14日)空は青く澄んで喝采を叫びたいような天候でした。蝉のオーケストラは、指揮者小澤征爾のタクトが止る如くに、ピタリと止んで、元のしじまに還った。
 
夏終わり宣言。間違っても一匹も鳴かず、見事な調和、フイニッシュでした。カーテンコールはありません。秋への彩のある舞台転換です。
 
空に浮かぶ巻積雲も天高くゆったりと漂い、確かな秋の訪れを知らしめる。全国各地で秋祭りが始まる。我が町では、代々木八幡神宮例大祭が9月22,23日開催される。
 
今年も勇壮に御輿が通りを練り歩くことだろう。担ぎ手の掛け声とともに、太鼓と横笛の音色のお囃子は、何ともいえぬ哀愁を響かせる。五穀豊穣を祝い、神への感謝の祭りは日本人の心の故郷でもある。瑞穂の国の、ときは秋なり。
 
このまよりもれくる月のかげ見れば 
心づくしの秋はきにけり

       古今和歌集(詠み人しらず)
 
  
空はあくまでも澄んで、漂う雲も秋を感じる

 

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