晩夏に寄せる/スマホ天国、平和日本
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■晩夏に寄せる
■スマホ天国、平和日本
~マナーをわきまえなさい~
~本は廉価な娯楽である~
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晩夏に寄せる
空はすっかり秋雲の姿だ。せわしなく鳴く蝉も、逝く夏を惜しみ、我が身の命燃える尽きるを悟るかのようで、物悲しい。ツクヅクボウシが、混声合唱に割って入り一段と騒がしくなった。さながら別れの「第九」絶唱である。
猛烈な暑さと、猛烈な洪水に悩まされた異常な夏。お盆が終り、秋桜(コスモス)風になびき、秋の装いも一段と深まる。蝉に変わって、鈴虫、コオロギがナイトコンサートに精を出す。夏から秋への際(きわ)は、哀愁を帯びる。
山口洋子作詞「誰もいない海」は夏の終わりに寄り添うが如きメロディで、何だか夏を惜しむ鎮魂歌のようである。私のよく口遊む好きな歌である。
肩を寄せ合い晩夏の浜辺を散歩する老夫婦の光景は、この歌が似合う。夕日に光る海に、寄せる波引く波、ザザ~っという音、一瞬、時の流れが止まる。老夫婦を夕日が包む。一日の終わり、夏の終わり…。
今はもう秋 誰もいない海
知らん顔して 人はゆき過ぎても
わたしは忘れない
海に約束した
つらくても つらくても
死にはしないと。
夏から秋への秀歌を二首。
秋きぬと 目にはさやかに見えねども
風の音にぞおどかれぬる
(藤原敏行朝臣)
夏と秋と 行きかふそらの
通路は かたへすずしく
風やふくらん
(詠み人知らず)
いずれも好きな秀歌で、夏から秋へ移りゆくさまを繊細な心で謳いあげている。古(いにしえ)人とは、なんと素晴らしい感性を持つのだろうかと、ただ感服するのみである。
スマホ天国、平和日本
電車に乗ってもスマホ、自転車に乗ってもスマホ、喫茶店に入ってもスマホ、歩きながらもスマホ、此の世はスマホだらけ。
先般東京メトロで夕刻帰宅したら、席一列8人のうち7人がスマホを覗いていた。一人の男性は眠りこけていたが、右手にはしっかりスマホを手にしていたから全員だが、割合は女性5名、男性3名。
そっと移動しつつ盗み見したら、凡そゲームに夢中な男女3名、メールを打つ者男女各1名、facebook、LINEをチェックするものが女子2名。まあ、平和で長閑な光景である。環状線でないから、豹柄プリントのシャツを着たオバチャンはいなかったが…。
マナーをわきまえなさい
そうかと言えば向かいの席列に座る水商売風体の20代の女性はipodで音楽を聴き、しきりにリズムをとってはスマホでメール。兎に角、指で魔術師と思えるスピードで操る。
顔はというと、付け睫毛は、熊手のような代物で、そこまで目立たなくても...と、いい加減げんなりする。しかも膝には食べかけのパンらしきものもある。可愛いのに残念だ~。
「1億総白痴化」と評したあの大宅壮一氏が生きていたら今日のスマホ現象をどうみるだろうか。何はともあれ、駅改札や通路、とりわけ階段の上がり降りの時ぐらいは止めてよ!
急いでいるときに重大な進路妨害である。使うはカラスの勝手でしょ、か。でも場所をわきまえるのが最低限のマナーでしょ。それにしても本を読まないねえ~。
本は廉価な娯楽である
偶(まれ)に電車で本を読む紳士淑女を見るにホッとするねえ。電子本なんか、求(ほと)んどお目に掛かれない。あれはそんなに広がるもんじゃないと思うが。いずれにしても、本を読みなさい、と叔父さんは力説するのだ。
今読んでいる「風の軍師 黒田官兵衛」(葉室麟著=講談社文庫)でも、官兵衛のまたの名、如水の号は、ポルトガル語の”ジョスエ”に由来するという。また、クリスチャンネームは、シメオン。恥ずかしながら私は初めて知った。
何でもジョスエとは、預言者モーゼの後継者ヨシュアのことだそうだ。読書は何気なく読んでいても、こういった知識を与えてくれる。もっとも廉価な娯楽であろう。
空に浮かぶ雲も秋めいてきた
DVD『カンムリワシ具志堅用高』 第1部&第2部
DVD『日本ボクシング不滅の激闘史』いずれも絶賛発売中!!
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■晩夏に寄せる
■スマホ天国、平和日本
~マナーをわきまえなさい~
~本は廉価な娯楽である~
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晩夏に寄せる
空はすっかり秋雲の姿だ。せわしなく鳴く蝉も、逝く夏を惜しみ、我が身の命燃える尽きるを悟るかのようで、物悲しい。ツクヅクボウシが、混声合唱に割って入り一段と騒がしくなった。さながら別れの「第九」絶唱である。
猛烈な暑さと、猛烈な洪水に悩まされた異常な夏。お盆が終り、秋桜(コスモス)風になびき、秋の装いも一段と深まる。蝉に変わって、鈴虫、コオロギがナイトコンサートに精を出す。夏から秋への際(きわ)は、哀愁を帯びる。
山口洋子作詞「誰もいない海」は夏の終わりに寄り添うが如きメロディで、何だか夏を惜しむ鎮魂歌のようである。私のよく口遊む好きな歌である。
肩を寄せ合い晩夏の浜辺を散歩する老夫婦の光景は、この歌が似合う。夕日に光る海に、寄せる波引く波、ザザ~っという音、一瞬、時の流れが止まる。老夫婦を夕日が包む。一日の終わり、夏の終わり…。
今はもう秋 誰もいない海
知らん顔して 人はゆき過ぎても
わたしは忘れない
海に約束した
つらくても つらくても
死にはしないと。
夏から秋への秀歌を二首。
秋きぬと 目にはさやかに見えねども
風の音にぞおどかれぬる
(藤原敏行朝臣)
夏と秋と 行きかふそらの
通路は かたへすずしく
風やふくらん
(詠み人知らず)
いずれも好きな秀歌で、夏から秋へ移りゆくさまを繊細な心で謳いあげている。古(いにしえ)人とは、なんと素晴らしい感性を持つのだろうかと、ただ感服するのみである。
スマホ天国、平和日本
電車に乗ってもスマホ、自転車に乗ってもスマホ、喫茶店に入ってもスマホ、歩きながらもスマホ、此の世はスマホだらけ。
先般東京メトロで夕刻帰宅したら、席一列8人のうち7人がスマホを覗いていた。一人の男性は眠りこけていたが、右手にはしっかりスマホを手にしていたから全員だが、割合は女性5名、男性3名。
そっと移動しつつ盗み見したら、凡そゲームに夢中な男女3名、メールを打つ者男女各1名、facebook、LINEをチェックするものが女子2名。まあ、平和で長閑な光景である。環状線でないから、豹柄プリントのシャツを着たオバチャンはいなかったが…。
マナーをわきまえなさい
そうかと言えば向かいの席列に座る水商売風体の20代の女性はipodで音楽を聴き、しきりにリズムをとってはスマホでメール。兎に角、指で魔術師と思えるスピードで操る。
顔はというと、付け睫毛は、熊手のような代物で、そこまで目立たなくても...と、いい加減げんなりする。しかも膝には食べかけのパンらしきものもある。可愛いのに残念だ~。
「1億総白痴化」と評したあの大宅壮一氏が生きていたら今日のスマホ現象をどうみるだろうか。何はともあれ、駅改札や通路、とりわけ階段の上がり降りの時ぐらいは止めてよ!
急いでいるときに重大な進路妨害である。使うはカラスの勝手でしょ、か。でも場所をわきまえるのが最低限のマナーでしょ。それにしても本を読まないねえ~。
本は廉価な娯楽である
偶(まれ)に電車で本を読む紳士淑女を見るにホッとするねえ。電子本なんか、求(ほと)んどお目に掛かれない。あれはそんなに広がるもんじゃないと思うが。いずれにしても、本を読みなさい、と叔父さんは力説するのだ。
今読んでいる「風の軍師 黒田官兵衛」(葉室麟著=講談社文庫)でも、官兵衛のまたの名、如水の号は、ポルトガル語の”ジョスエ”に由来するという。また、クリスチャンネームは、シメオン。恥ずかしながら私は初めて知った。
何でもジョスエとは、預言者モーゼの後継者ヨシュアのことだそうだ。読書は何気なく読んでいても、こういった知識を与えてくれる。もっとも廉価な娯楽であろう。
空に浮かぶ雲も秋めいてきた
DVD『カンムリワシ具志堅用高』 第1部&第2部
DVD『日本ボクシング不滅の激闘史』いずれも絶賛発売中!!
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