真央は夜叉になった/他 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

真央は夜叉になった/他

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■ソチ、印象に残るシンプルな閉幕
■浅田真央、失敗と蘇生と
 ~真央は夜叉になった!~
 ~敗者の気高さを示した~
 ~ソトニコワの優勝は異論なし~
■政治家の傲慢不遜な言葉

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ソチ、印象に残るシンプルな閉幕

 今月7日に始まった第22回ソチ冬季五輪は、2月23日、15日間にわたる大会を終了した。心配されたテロ事件もなく終った。御同慶の至りである。
 
 大会中、日本の首都は記録的な大雪に見舞われた。後世、我々は2014年ソチ冬季オリンピックを”大雪”と共に印象深く振り返るだろう。
 
 41才ジャンプ葛西の銀メダル、羽生のフィギュア金メダル、そしてメダルは逃したが真央の不死鳥のフリー。ことほどさように心を鼓舞された冬季五輪もない。
 
 特にマスコットキャラクターは粋な演出。別れを惜しむ白熊の流した涙が仄々として印象的だった。聖火を消したのも熊ちゃん、何と可愛らしい「お・も・て・な・し」だろうか。ソチ、有難う。


浅田真央、失敗と蘇生と

 浅田真央、その名の如くにソチでは当然「真中、中央」表彰台を目指したのに、ショートプログラムでは悪夢の16位。金縛りに遭ったように体が動かない。「心と体がバラバラだった」と後に彼女は述懐する。
 
 最初の3回転半ジャンプで躓いた。転倒、以後立ち直れず。あんな真央を私は見たことない。ボクサーなら差し詰めコチコチの状態。そこに相手のカウンターパンチを受けてもんどりうってダウン。意識朦朧としてなんとか最終回まで持ち堪えた姿だ。惨めな判定負けの状態。
 
 何が真央を狂わせた。思えば最終組最終滑走者に決まった、くじ運からして勝利の女神は遠のいた。彼女の前滑走者はソトニコワ。満点の演技で場内は自国観客で興奮の坩堝。それを引きずった。心の動揺。これが五輪というものだ。
 
 
~真央は夜叉になった!~

 フリーの真央は夜叉になった。失うものなしと腹を括った。出来なかった3回転半を全て成功させた。見事なジャンプ、風のように軽やかなダンス。自己最高142.71点、合計198.22点。16位から一挙に6位の奇跡の大躍進。ショートがもう少し点数が良かったらと悔やむ。
 
 ショートの不振はあれは何だったのか。屈辱の一夜から別人の彼女がそこにいた。素晴らしいのは、真央が自分の流儀を貫き通したこと。ショートで失敗した3回転半を普通は控える。二度失敗しないように、より無難な構成に。だけど敢然と己の目指して来た道を追求した。失敗を恐れずチャレンジした勇気。これは並大抵ではできない。
 
 彼女の流した涙はまさに達成感。感極まった慟哭の涙。初心貫徹、その結晶の涙。そして満願の笑顔。金メダル何ものぞ。敗北は人間を大きくする。浅田真央がそれをソチから伝えた。
 
 
 ~敗者の気高さを示した~

 NHK日曜討論会で清水紀宏教授(筑波大)次の言葉を引用した。「オリンピックは人間を高める場である。敗者の気高さを示す場である。」とクーベルタンは五輪憲章に掲げていると。敗者の気高さを彼女は世界に発信した。これぞ、ザ・レジェンド!
 
 優勝は逆転でソトニコワ(フリー1位149.95合計224.59)、2位キム・ヨナ(フリー2位合計219.11)、3位コストナー。誰が優勝しても可笑しくない。近来稀に見るハイレベルな戦に私は満足した。 
 
 審査員も難しかったろう。ただロシア審判委員の女性は、組織委員会の夫人だったという噂。残念なことだ。疑いを掛けられる人選は避けなくてはならない。
 
 その採点がおかしい、との疑惑に繋がる。キム・ヨナは金メダルを奪われた、と韓国のマスコミ、ネットユーザーから非難が殺到しているという。抗議の著名活動までしているらしい。
 
 
~ソトニコワの優勝は異論なし~

 採点は公正でなかったのか。私はソトニコワの後半のエネルギュシュな脚の降り、あの鉈のように振り下ろす演技の迫力には圧倒された。逆にキム・ヨナは後半力強さが失速していたように見えた。それが17才(ソトニコワ)と23才(キム・ヨナ)の内なる息吹、肉体の差。
 
 男女ともフィギュア・スケートの覇者は10代。という訳で、羽生も、ソトニコワも4年後の韓国では優勝できないというおそれも。さて年齢の壁をどう克服していくか今後の二人の命題になる。
 
 採点・判定は自国開催に有利に働くのか。自国選手に声援が多い分、確かに惑われやすい。ただ今回に限っては公正であったと思う。理由は先に述べた。次回は昌平(ビヨンチャン)。女子は4年後19才のリブニツカヤが雪辱を期す。韓国はソチの仇をビヨンチャンで討つか。だとしたら了見が狭い事です。
 
 了見が狭いというか、何様ですかあなたは、といいたいのは東京五輪組織委員会会長森喜朗元総理へ。ショートプログラムでの浅田真央に言及した次の言葉に対し私は、倍返し。
 
 
政治家の傲慢不遜な言葉

 「団体戦は負けると分かっているのに浅田真央選手を出して、恥をかかせることはなかった云々」「見事にひっくり返った。あの子、大事な時には必ず転ぶんだ」
 
 切って捨てたように言い放つ御人。政治家とはそんなにエライのかねえ。こんな人が東京五輪組織委員会会長とは品性が知れる。傲慢不遜とはこの言。流した真央ちゃんの涙でも煎じて飲んだほうがいい。
 
 さて浅田真央の今後の去就だが、3月26日(さいたまスーパーアリーナ)からの世界選手権に出場する意向。その後に引退か現役続行か決めるという。私は引退を勧めたい。ライバルのキム・ヨナも引退を表明した。ラストダンスをこの舞台で、私はそう願う。
 
 あと4年地獄の練習に明け暮れる真央ちゃんの姿はもう私は見たくない。これからはスケートを楽しんでください。気が向いたら後進の指導にあたり、第二の真央ちゃんを育ててください。
 
 いい人がいたら、恋もデートもして結婚も。あなたの市井人としての幸な生活を望みます。あなたは、私達に諦めない事、勇気を持つ事の大切さを教えてくれました。あなたは永遠に、我が心のアルバムに宿ります。
 

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