成人の日の餞に/大晦日の友人の訃報/他 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

成人の日の餞に/大晦日の友人の訃報/他

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■正月休みの後でまた3連休
■成人の日の餞に
■大晦日の友人の訃報
■逃走杉本容疑者の末路

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正月休みの後でまた3連休

 長い正月休みが終わって、門松飾りを片付けたばかりなのに、また11日からの3連休、こんなに悠長な日々を送っていて日本は大丈夫なのかしら。オジサンは真面目に心配してしまうのです。
 
 働かなくても遊べるのはどうしたらできるのだろう?公務員や大企業に勤めるサラリーマンはいいが、巷の飲食店は困っているだろうな。人は休みが続くとどうしても家でゴロゴロしがちで、文字通り”暖衣飽食”でふやけてしまうのが怖い。
 
 休みだから~これぐらいはいいの、と自らを得心させる訳で、これがいけない。12日の日曜は荻野アンナ著「働くアンナの一人っ子介護」を寝床で読んでいたら面白くて(面白いは不謹慎か)止められずラジオ体操をずる休み。1日休めば、1日肉体は退化する。1日一生ですぞと、己を叱咤する。
 
 
成人の日の餞に

 13日は成人式だね。私の成人式は悲惨なものだった。電気工事会社の社員として、寮とは名ばかりの1階が工事関係の休憩所のような、そんな二階、風呂もトイレもない6畳間に住んでいた。
 
 成人式の便りは田舎からあったが、その日はテレビもラジオもない殺風景な部屋で、受験の本を開いていたら、昼過ぎに青山学院のアルバイト生が、お金を借りに来た。5000円だったと記憶するが、貸してやったら件の学生は「これで彼女とデートできる」と喝采を叫び部屋を出て行った。
 
 都会の片隅で、成人の日を過ごしたことがまるで昨日のように甦る。でも気概だけはもっていたね。青雲の志というか、いつかは大学に入ってマスコミ関係の仕事に就くんだ、と沸々足る願望を抱いていたね。
 
 「男子志を立てて郷関を出ず 
  学もしなるなくば、まだ還らず 
  骨を埋む 何ぞ期せん墳墓の地 
  人間至る処に青山あり」

 
 なんてエラそうに、そらんじてはいつも故郷福島の青い空に思いを馳せていたよ。「かにかくに 渋谷村は恋しかり、おもいでの山、おもいでの川」と詠った啄木の句じゃないが、故郷とは有難きものだ。新成人に贈る言葉?おめでとうございます。短い一生だから悔いのない人生を送って下さい、これが私の餞(はなむけ)の言葉ですね。己が遣りたいことがあったら、失敗を恐れず信念を貫くことです。キミの、貴方の人生に、神の御加護あらんことを祈ります。
 
 
大晦日の友人の訃報

 友人O君が暮の27日、大腸癌で亡くなったと、中学時代の同級生から連絡があった。葬儀は大晦日だという。O君とは小学から高校まで同級、同窓の間柄。訃報を耳にして私は思わず絶句した。彼も死の直前まで、故郷はいい、帰りたいと奥さんに語っていたという。
 
 中学時代は野球部で彼は投手で3番、私は一塁手で4番、福島県の郡大会で優勝した。中学時代は特に親しくなって、遊びごとはいつもN君と三羽鴉のように一緒だった。N君も数年前鬼籍に入っている。青春はぽろぽろと私の掌から落ちて行く。淋しいものだ。
 C'est La vie これが人生なのだ。
 
 葬儀は住まいのある埼玉県幸手市内の葬祭場で執り行われた。御家族には初めてお目にかかった。2人の御息女は目を見張るほどの美人姉妹だった。彼は由緒ある家の郵便局長の四男で、俳優池部良(故人)のようなルックスで女の子にモテた。彼の遺影を拝して、改めてその美男ぶりを実感した。遺影は明日の我が姿…私はいつも肝に命じて焼香する。
 
 火葬場は車で20分程離れた鷲の宮というところにあり、お清めの席で奥さんと語らう時間があった。病院で大腸癌と知らされたときには時すでに遅く、あちこちに転移した末期癌であったという。「入院して2カ月の命でしたが、一生分の濃密な時を過ごせました。ただ殆ど喰わずで死の10日程前からは、水も受け付けず不憫でした。鮫川(村、※故郷)は良い処だ、口癖のように語っていました。少年時代の想い出がよほど楽しい日々だったのでしょう。今一度鮫川に連れて行ってやりたかった。」
しんみり語った夫人の声が震えていた。
 
 荼毘(だび)に付される今わの際、夫人は天に轟くように棺の蓋を平手でパーンと叩いた。恰もそれは、人生の1本締めの如き音で、無念と永久の別れを綯交ぜた一撃に思えた。大晦日の東京への帰り、車中私はずーっとあの棺を叩いた音を思い続けた。明日は新しい年がやってくるというのに。大晦日の葬儀は格別に辛いものだ。友よ、さらば!思い出を沢山くれて有難う。安らかなれ!
 
 一切は過ぎ去って行く、ただ想い出をのこして―
 
 
逃走杉本容疑者の末路

 ゲッタウェーさながらの杉本裕太(20)容疑者の逃亡劇は、事件から47時間後にあっさり逮捕され終わった。集団強姦や強盗などの容疑で横浜地検川崎支部で取り調べを受けている最中、杉本容疑者は逃走。結局22㌔離れた雑木林で逮捕された。警察5000人を動員するなどものものしい捜査体制を敷いた逃走劇を私も、野次馬根性を丸出で推移を見守りました。
  
 野次馬はかってに想像を膨らませる。いまごろどこぞの夜行列車に揺られて東北地方へ。雪の五能線かなんか旅行客を装い逃走しているなんて思いを巡らせる。映画「復讐するは我にあり」の主人公演ずる緒形拳のように。実際は友人宅に行き衣類や携帯電話を入手、友人のハーレーならず、スクーターに乗って、ハンバーガーを食べたりしていたらしいから、私の想像は全く外れ。
 
 容疑者には何が何でも逃げ切るんだという蛮勇は無かったようだ。もっとも借りた携帯にGPS機能が付いていることを彼は知らなかったようだ。所謂位置情報機能である。何処ぞに居るか瞬時に分かってしまうのだから隠れようがない。容疑者はたちどころに捕まった。
 
 最近は駅の改札、街路灯の辺りと至る所に隠しカメラが設置されているからこの面でも、犯罪者を捕まえるのは容易になった。安全・安心、都市はまるごとセコム・セキュリテーにカバーされている。それでも性犯罪は無くならない。防犯とは難しいものである。とにかく一件落着です。スティーブ・マックイーンのように恰好よく無かったのは少々残念でありますが。
 
フリーライターを始めたころの写真。実家に里帰りした折。
 

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