イカサマ手話通訳の顛末/力道山死して半世紀/他 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

イカサマ手話通訳の顛末/力道山死して半世紀/他

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■イカサマ手話通訳の顛末
■特定秘密保護法と生活
■真っ当な政治とは?
■力道山死して半世紀

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イカサマ手話通訳の顛末

 私もかの男は妙に恰好よすぎる、と実は感じていた。しかし全くのでたらめだったとは、恐れ入る。オバマ大統領の手話通訳をしたとなれば、末代までの名誉であるが、彼はそんな手柄より多分自己陶酔に陥っていたのかも知れない。
 
 大統領の真横でよくもシャラッと、ためらいもなくデタラメな手話ができたもんだ。聞けばこの男(34)は、過去に殺人で追訴され、その他婦女暴行、窃盗、強盗などの犯罪を繰り返していた。ズマ大統領の親戚であるというだけで、抜擢されたらしい。さすが南ア!まだこんな詐欺行為がまかり通っていた。
 
 まるで音楽に合わせるかように、リズムカルな仕草、手話通訳というよりも踊りに近いもので、私など思わず見とれてしまった。聴覚障害の方には失礼だが、敵ながら天晴れな騙し屋であった。あそこまで堂々とやれば、騙す方が偉い。
 
 人間の虚(きょ)を衝くとはまさに彼のこと。世間の常識を逆手にとった、彼こそ稀代の詐欺師で、彼は今後コメデアンとして食えるかも。いや~、世界には予期しないことが起こるもんです。
 
 全世界を騙した今回の手話通訳詐欺、あたかも白日夢の如き出来事でした。"オーシャンと13人の仲間"もさぞ仰天したことだろう。取りこみ詐欺とは、人間の一瞬の虚を衝くことがこれでよくわかった。用心用心。
 
 
特定秘密保護法と生活

 来年4月から消費税が8%になり2015年には10%にアップする。どうやら法人税(大企業)は減税され、一般家計は圧迫される。弱い者いじめとはこの事である。
 
 何故か焦って、拙速に成立した「特定秘密保護法」は一体どこまでが秘密であるのか判別つかない。物騒な世の中になる。実際、執行されたら真綿で締め付けるように国民生活を脅かしていくだろう。戦前の治安維持法に似ている。特にマスメディアが自己規制するのが恐い。
 
 ある日、特高が自宅に来て「御主人いますか、特定秘密法に触れている疑いがあります。署まできてください」なんて起こり得ます。見えない影に怯えて暮らす、物のいえない暗い日本になる日…いつか来た道を辿るような気がします。
 
 いまやらねばならないのは、特定秘密法案を通すことじゃない。国民の生活を守ること、原発問題遣るべきことは山積している。消費税アップは、国民医療保健や年金、いわゆる社会福祉のために役立てます、という公約は、いつの間にかトーンダウンしてしまった。国の借金1000兆円、国民一人当たり約790万円、アセアン諸国に1000億の大判振る舞いしている場合じゃない。
 
 
真っ当な政治とは?

 「江戸の忘備録」(磯田道史著・朝日出版)を読んでいたらこんな箇所がありました。細井平洲という学者が米沢藩の名君上杉鷹山の若かりし頃講義した話です。そのまま抜粋してお伝えします。
 
 「春秋左氏伝」哀公元年の条で、ここに政治家として一番大切なことが書かれていると。「国の興(おこ)るや、民を視(み)ること傷(いた)めるが如くす(中略)その滅ぶるや、民を以って土芥(どかい)となす」注:土芥=土とゴミ、ねうちがないもの。
 
 つまり、政治とは国民へのまなざしが大切で、政治家は傷をいたわるように国民を視る国、そんな国は必ず栄える。逆に、政治が国民をゴミのように無視する国、そんな国は必ず滅ぶ。
 
 含蓄ある言葉です。党利党略、あっちになびき、こっちになびき政争に明け暮れる昨今の政治家には、さぞ耳の痛い言葉でしょう。5000万受け取ったのにやれ、個人で借りたとか見苦しい弁明。挙句は来年1年の給料を辞退するからと、言外に許しを乞う。何んとも女々しいお方もござる。猪瀬都知事、あなたは「やはり野に置けれんげそう」だ。
 
 形はどうであれ、これ「賄賂」である。これに対して、真っ当な政治のことは「正路」(江戸の忘備録より)というのだそうだ。日本に上杉鷹山のような理念をもった、真っ当な政治家を期待する方がどだい無理のようです。
 
 
力道山死して半世紀

 力道山死して、この15日で50年、半世紀も経った。昭和は遠くなりにけりだ。力道山を刺した村田勝志(暴力団員)も今年4月亡くなっている。聞けば村田氏は力道山の命日には、2,3日ずらして池上「本門寺」へ欠かさず墓参りに行ったという。
 
 神保町の古書店「biblio」小野店主が言っていた。「格闘技ものでは、断然力道山ものが人気があります。最近も、東映撮影所から力道山がボール紙に書いた綺麗なサインがみつかりました。」英語と漢字でそれぞれ名前をサインしてある珍しいものです。撮影所のスタッフが依頼したものでしょう。1955年(S30年)のもので、biblioでは売値15万7500円だそうです。
 
 同じ神保町近くの格闘技ショップ「闘道館」には力道山のパスポート(300万)や、相撲時代の最後の場所に締めた化粧まわし等が売られている。まさに、虎は死して皮を残す、だ。


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