マー君の無敗記録を育てたもの/常総エースの突然の降板に考えた/他 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

マー君の無敗記録を育てたもの/常総エースの突然の降板に考えた/他

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・感傷的世界陸上考
 ~長髪の米女子ランナー~
・マー君の無敗記録を育てたもの
 ~ハンカチ王子との明暗~
・常総エースの突然の降板に考えた

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感傷的世界陸上考
 
 モスクワで展開した世界陸上は括目ものだった。やはり世界のトップアスリートによる鬩ぎ合いには痺れた。陸上は人間の本能「より速く、より高く、より遠く」を目標とするもので、単純にして明快。一番早くゴールした者、一番高く跳んだ者、そして一番遠くまで投げ,跳んだ者が勝者、単純だから面白い、かつ奥行きがある。
 
 一瞬の勝負に肉体を爆発させる、芸術は爆発だ!ではないが、陸上は究極の魂と肉体の爆発です。だから見る者に感動を与えるのです。肉体が咆哮する、まさしく本能のスポーツです。
 
 ウサイン・ボルトは100、200そして400mリレーも制してロンドン以来チカラが衰えていない事を証明したし、リオデジャネイロでも彼のパフォーマンスがみられそうだ。女子短距離もジャマイカがアメリカを圧倒した。
 
 短距離王国は紛れも無くジャマイカになった。これ陸上の地殻変動。で、私が不思議に感じたのは、アメリカの女子ランナーの多くが長髪で、ゆさゆさ揺らせながらゴールに雪崩れ込む姿。
 
 ジャマイカもピンク色の派手なカラーに染めた、長い髪のランナーがいたっけ。ロック歌手のようでオジサンは面食らった。世の中変われば変わるもんだ。あれって邪魔にならないのかねえ。

  
  
~長髪の米女子ランナー~
 
 日本ならさしずめ部活から追放されるか、監督に強制的にハサミでバッサリ切られているだろう。秒速を争う競技だから少しでも風の抵抗を受けるものは避けるのが常識だ。なのにアメリカはコーチも女子メンバーも、全く気にしていない様子。個人の意思を尊重する、流石アメリカ。ジャマイカも右に倣えか。女子スイマーなどは下の毛も剃るのが当たり前というに。陸上女子は豪気なもんだね。
 
 女子やり投げ決勝はクリスティナ(独)が、本命のアバクモア(ロシア)を押さえて優勝したが、筋骨隆々たる女の戦いは、躍動美の極致、そのまま彫刻になるようなフォームである。喜びの表情、無念の表情はほれぼれするほどの野性美。中でも、地元ファンの期待に応えられず3位に沈んだアバクモアの悲痛な姿は切なくも神々しいものだった。強い女ほど魅力があるということか、美の定義が変わったようだ。
 
 男子マラソンはロンドン五輪優勝キプロティク(ウガンダ)リオまで健在であるかな。4位までアフリカ勢。あの走りを見ていると何となく得心するよ。陸上はもはや、中・長距離はアフリカ、短距離はジャマイカ、アメリカ勢と男女とも色分けされた感じがする。陸上王国アメリカは遠い日の夢になった。あのカール・ルイス、ジョイナーの活躍が懐かしい。  
 
 
マー君の無敗記録を育てたもの
 
 楽天田中将大投手の快記録が止らない。昨季から負けなしの21連勝、どこにそんな力を秘めていたのかと只々脱帽するのみ。でその勝利の原動力だが、勿論その強靭な肩、それを支える足腰の発条(バネ)にあることは言うまでもない。北海道の過酷な冬で培った我慢強さも忘れてならない。
 
 もう一つ加えるなら彼の投球リズム、テンポよく投げるので野手は守り易く従って、ファインプレーも生まれる。彼が例え打たれても、失点に容易に繋がらないのはこのバックの攻守のお蔭である。攻守はリズムから生まれる。
 
 快記録を驀進中なのにマー君には不遜な態度が全く見受けられない。いつもチームメートに感謝の言葉を忘れない。この人柄の善さも、マー君と野手の信頼関係を生んでいると推測する。
 
 投球のリズムがいいから、攻撃にも連鎖していくというわけである。野球は9人で守り打つチームプレイーである。幾らマー君が好投しても、バックの援護がなければ勝てない。

  
 
~ハンカチ王子との明暗~
 
 さて、マー君の連勝記録はどこまで伸びるだのだろうか。思えば、2006年の夏の甲子園、斎藤佑樹の早実に決勝戦延長再試合で敗れ、マー君(駒大苫小牧)は、悔し涙を流したものだ。奇しくも最後の打者がマー君であった。さぞトラウマとなって心の襞に残っていることだろう。
 
 歓喜の輪の中にある斎藤投手、うな垂れる田中…あの悔しさ、あるいは屈辱といったものが以後の野球人生に、少なからず影響を与えてるのではないか。敗北が彼の生き方を豊穣なものにした、と私は考える。人生負けから学ぶこと多多あり。
 
 あれから7年の時が流れ、二人の運命は大きく変わった。もう斎藤にはかつてのハンカチ王子の面影はない。いま日ハムの2軍で苦悩する日々。方や田中は、日本プロ野球NO1投手に成長した。人生とはげに分からぬものであります。斎藤に「喝!」

  
 
常総エースの突然の降板に考えた
 
 夏の高校野球も球児の健康問題で課題を浮き彫りにした。19日の前橋育英対常総の試合、9回常総のエース飯田が勝利目前にして突然脚の異常を訴えて降板した。
 
 一度ベンチに下がり治療して戻り、投球を再会して2球目で堪え切れず降板だったが、病名は熱中症による足の痙攣だったとアナウンスされた。急遽2年生投手がリリーフ、結果的には延長10回に育英に痛恨のサヨナラ負けを喫した。熱中症を軽く見てはいけない。血行不良になって脳梗塞、脳溢血に繋がる恐れもある。経験者は語る。
 
 炎天下の連日のフル投球、体に善いわけない。根性野球はそろそろ終わりにしたほうがいい。済美の安楽投手も延長10回、花巻東に打たれて散った。投球数175球…地獄的猛暑の中でこの投球数、将来有望な投手が肩の酷使で潰れた例は枚挙にいとまがない。アメリカなら文句なしに、
オオ、クレイージー!と絶叫するだろう。
 
 夏は試合を午前中で終わりにするとか、投手は1試合100球までに制限を加えるとか、球児を保護するルール作りを望みたい。高野連は真剣に考えるべき時期に来ているのではないか。死人が出てからでは遅い。と私は思うのですが。これって暴論ですか。

 
 
玄関に力なく舞い降りた油蝉、秋が忍び寄る

舟木昭太郎の日々つれづれ

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