ロンドン五輪まもなく開幕 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

ロンドン五輪まもなく開幕

ロンドン五輪まもなく開幕

 

 第30回ロンドン・オリンピックは7月27日に迫った。四年前の北京はつい昨日であったような気がする。ロンドンは3回目のオリンピックになる。同一国で3度目以上開催の国は英国と米国(4回)だけである。ロンドンは1908年(明治41年)の第4回大会、そして2回目の第14回大会は第二次大戦直後の1948年(昭和23年)であった。

 

 いずれの大会も日本は参加していない。2回目は戦争を引き起こした国としてドイツと共に除外されている。従って日本の代表チームが英国のスタジアムに行進するのは歴史上初めてになる。歴史を振り返ると何かしらジーンと胸に迫るものがある。意外と我々はこの事実について知らない。で、オリンピックの華といえば何と言っても開会式のセレモニー。今回はどんな演出が見られのだろうか。

 

 

英国の歴史絵巻を見たい

 

 18世紀末、イギリスは産業革命で、今日の資本主義経済の仕組みを造りだした国である。ゴルフ、サッカーの発祥の地としてもかの国の歴史は、きらめく星座の如し。イベレストに最初に登頂に成功したヒラリー卿もいる。グレイトブリテンのそうした絢爛たる歴史絵巻を開会式の作品として、是非スクリーンで見たいものである。

 

 そしてそして、忘れてはならないのは、ウイリアム・シェイクスピア

。御承知の如く同国の生んだ不滅の劇作家・詩人。4大悲劇「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」の作者といえば分かり易い。ロミオとジュリエット、ベニスの商人、夏の夜の夢…あとからあとから出てくる。

 

 シェイクスピアの戯曲を軸にイギリスが歩んできた道をプレイバックするのも味がある。産業革命の頃に遡って現代のロンドンの殷賑に、スポーツ、文化を織り込んだもの。演出を勝手にプロデュースして私は、一足先に開会式を楽しんでいるのです。


 

エリザベス女王在位60周年

 

 聖火台に点火するのはサッカーのベッカム選手だともっぱらの評判であるが、どうなんだろう。彼は金メダリストがやるべきだ、と先般インタビューで固辞しているが…。ベッカムはロンドン五輪招致に大いに貢献した。だからその任に彼は相応しいと私は思うが。

 

 今年はエリザベス女王の在位60周年、その記念すべき年にオリンピックを迎えることは御同慶の至りである。エリザベス女王が開会を宣言して、大会の幕は開く。ファンファーレが鳴る…かくて17日間(7月27日~8月12日)世界のアスリート達の極限の戦いは始まる。

 

 私が注目する競技に陸上100mがある。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が人類最速の男になれるか。北京に続きゴールドメダルを手中にできるかだ。ボルトは200も制してカール・ルイス以来の2冠王者だったが、再現できるかも関心がある。ジャマイカVSアメリカの400mリレーもみものだぜ。アメリカのリベンジなるかです。


 

ボルトは100m連覇できるか

 

 NHKテレビでボルトの走りに科学的にメスを入れた番組をみた。驚いたことに彼の背骨は曲がっている(病名=脊髄側弯症)。本来ならアスリートにはなれない体だと専門家は言う。

 

 走りで肩が上下に大きく揺れるフォームなのも背骨が曲がっているためだと。その欠陥を過酷なトレーニングによってプラスに変えてトップアスリートに登りつめたボルト。

 

 背骨の曲がりは肉体の色んな所に影響を及ぼしていて、いつ何時肉離れや致命的な怪我になるかも知れないというが、その危惧を強靱な筋肉を養うことで肉離れ等の発症からガードしているのだそうだ。

 

 欠点をプラスに転じ北京では30年は破られぬといわれた、9秒7のレコードをあっさり突き破り9秒69の世界新で優勝した。人間克己心が大事だよ、ボルトはそう我々に問いかけている。

 

 25才、195cm、99.89kg、サイボーグのような肉体が大きなストライドでゴールを駆け抜けるボルトの歓喜の見たいものだ。が、ジャマイカにはパウエル、ブレークといった金を狙う強敵も存在する。

 

 加えてアメリカ勢も不気味、特にタイソン・ゲイは侮れない。人類最速を決める戦いは、未曾有のデット・ヒートになりそうだ。だからオリンピックは最高の夢舞台なのです。


 

じゃが芋を収穫しました

 

 露地栽培のじゃが芋を16日に収穫。3月21日に苗を植えたメリークイーン。二畝だけを掘り起こしたら、今回は肥料(主に牛糞)を大量に土に混ぜたせいか、規格外に大きく育ってしまった。

 

 早速、朝食に蒸かしてみた。味は悪くはない。むしろ甘い。家内も、いいんじゃないの。メリークイーンは男爵のようにホクホクにはならないの、と講釈を聞かされた。

 

 味はそこそこいけるなら、近所のお世話になっている方々にお裾分けしても大丈夫。これから配るつもりだ。で、この日は午前中からかんかん照り、あと二畝残っているが諦めた。脳梗塞が怖い!
舟木昭太郎の日々つれづれ


 

 

サッカーファンは必読の本

 

 突然ですが、この本は是非読んでください。特にサッカーファンは必読です。違った角度からサッカーの面白さが味わいます。「サッカー審判員フェルティヒ氏の嘆き」(トーマス・ブルスィヒ著、粂川麻理生訳

=発売・三修社 定価1800円+税)です。

 

 サッカー小説ですが、主人公はFIFA公式審判員。全編独白によって構成されている。例えばピッチではいろんなことが起こる。スポーツの問題が、ときとして演劇の問題にもなる。「あいつは反則をした!」という芝居、「いや、やっていない」という芝居。

 

 「フリーガン・スタンドにはたいてい屋根がついているが、これは雨よけじゃない。騒音をよく響かせるためだ。フリーガンが集まるスタンド前にはマイクが設置されている。スピーカーでフリーガンの騒音を増幅させ、煽るためだ。BGMまで付いて流れるんだ」

 

 選手が引退するのは多くは靭帯を切断したり、半月板が外れた利したからではなくその騒音によって視聴覚障害になったためである…のくだりは腹を抱えたくなる。

 

 審判は九十分の間だけホイッスルで統治する。他の人間は一様に無力だ。俺がゴールといえばゴールなのだ。審判がサッカーに対してできる貢献で、誤審以上のものはないんだ、云々。兎に角アイロニーに満ちて愉快だ。

 

メルケル首相もお気に入り

 

 「八方の荒れ狂う連中にブーイングされ、糞野郎と野次られ、脅されても彼らの前で自らをしっかり保てることが審判為し得る最高にして最も偉大なる仕事…云々」と開き直り、ある時はのど元にマイクを突き付けるレポーターを最もくだらない生き物とこき下ろす。

 

 全編まったく改行がなくて、最初はそれだけで気が滅入ってしまうが、次第にその流れるような独白感が実感できるのだ。翻訳者・粂川さんは元ワールド・ボクシング編集部に在籍して、現在は慶応大学文学部教授。私とは旧知のなかである。翻訳も流れるようにリズムがあって読みやすい。

 

 メルケルドイツ首相のお気に入りの1冊だそうである。私は再度読み始めた。きっとさらに審判員の嘆きがよく分かるような気がします。今月は佐野眞一著「渋沢家三代」「鳩山家の金脈と人脈」の圧倒的な取材力に感銘しましたが、この「サッカー審判員 フェルティヒの嘆き」にはとことん楽しめました。ユーモア溢れる一流の小説です。