桜の花に誘われて何処へ 忘れ得ぬ故郷の山桜・・・  | 舟木昭太郎の日々つれづれ

桜の花に誘われて何処へ 忘れ得ぬ故郷の山桜・・・ 

 東京などに桜の開花宣言が出た。花に誘われて、今年はどこぞの桜を見に行こうか。代々木公園、千鳥が淵・・・思い巡らせば心は乱れるのだ。桜ほど日本人に愛でられる花もあるまい。或いはそこに「ものの哀れ」「死生観」を感じるからなのかもしれない。
 「願わくは花のしたにて春死なんその如月の望月のころ」と西行も意味じくも詠んでいる。
 私の脳裏にいまも鮮烈にあるのは、ふるさと福島県鮫川村の山桜。まだおふくろが健在な頃で、結婚したばかりの妻を連れて実家を訪れた。折りしも桜の候、母が作ってくれた弁当を持って出かけ、小高い丘の上で花見の宴を開いた。兄弟、甥、姪たちに囲まれて、そこには大きな山桜の木が聳えていて、風が吹くとひらひらと舞い降りて来てはお重の煮物に降りかかった。
 山桜の花の色は染井吉野のように艶やかでない。素朴な、田舎娘のような花だ。山里の春にひっそりと咲き、ひっそりと散って行く。
 あの日の山桜を亡き母と重ね合わせて、いまでも思い出す。山間の小高い丘の上で、あの桜は、今年もひっそりと咲くだろう。 最後に桜賛歌をもう一首。「敷島の大和心を人問わば、旭日に匂う山桜花」(本居宣長)
 人それぞれの桜の季節、あなたの楽しみ方は・・・。