曙の必死で稽古する姿を見て、私は応援したくなった…… | 舟木昭太郎の日々つれづれ

曙の必死で稽古する姿を見て、私は応援したくなった……

 佐山聡氏が主宰する「興義館」は東大のある本郷にあって、神保町の弊社から徒歩で15分程で行く。夕方ぶらりと道場を覘いてみると、大男が汗だくで稽古中だった。元横網・曙だ……。丁度師範の桜木裕司とスパーリングの最中で、二まわりも小さい桜木が、懸命にパンチを繰り出す。それを大男の曙が、必死でブロックするという図式。時にイライラして「この野郎! 来い!」と絶叫する。休憩の合間に佐山氏が曙にアドバイスを送る。「横網、左ジャブの後、すかさず右を出すタイミングが大事」身をもって手本を見せる。曙は素直に聞き入る。かくて5分×3ラウンド、山のような巨体は滝のような汗をマットに撒き散らしながら、稽古が終った。そのまま雑談になった。
 曙「スパーリングが楽しいよ。こんなに本格的にやるのは初めてだし、いままではサウドバックばっかりだったから……兎に角、はやく1勝したいよ。絶対勝つよ」
 佐山「横綱、大丈夫。あのパンチ力があれば勝てるよ。パワーが違うもの」
 私も話の輪に入った。「スパーリングが楽しくなった、というの分かるよ。パンチを受けて、目をつぶらなくなったからだね。だから相手のパンチもよけらる。これからスパーリングがどんどん楽しくなるよ。パンチが狙い通り当たるようになると、なおさらだ」と、やる気の曙にエールを送った。
 負けても、負けても、世間からバッシングを受けても、元横綱は、へこたれない。人は「無様な格好して、いつまでやっているんだ」と罵倒するだろうが、曙よ、「負けて、負けて、いつかきっと勝て!」それが本当の「金星」だ。すくなくとも、誰が何と言うと僕は応援するよ……素顔の元横綱に触れてそう思った。