スマートになりすぎたボクシング、ワンディにムエタイの迫力を見た | 舟木昭太郎の日々つれづれ

スマートになりすぎたボクシング、ワンディにムエタイの迫力を見た

 ワンディ・シンワンチャーvs嘉陽宗嗣のWBC世界L・フライ暫定タイトルマッチが10月9日に後楽園ホールで行われ、嘉陽が敗れた。ワンディが減量失敗して、嘉陽に有利かと思われたが、パワーが違った。さながら、ラジャダムナンでムエタイの試合を観戦しているような気分になった。確かに世界戦での契約体重1.5kgオーバーは絶対に許すことはできない。試合に勝っても、チャンピオンになれないというペナルティーがあったとしても。世界戦に水を差された。それでもワンディの迫力あるファイトは魅力的だった。
  嘉陽の教科書通りのスタイルに対して、ワンディは、力で押し切る八方破れのファイト。思い切り空振りはする、それでバランス崩す……しかしそんな事はお構いなし、その威圧感に嘉陽は次第に飲み込まれてしまうのだ。7回にはダウン喫してしまう。
 嘉陽もダウンから立ち上がり、よく反撃した。7回以降は人が変わったように手数を出して喰らいついていった。が、試合の流れを変えるまでには至らず、3-0の大差の判定。具志堅会長のタイトル奪取30周年の記念イベントを飾れなかった。あの死力の反撃が何故もっと早くで出なかったか。嘉陽に求められるのは、正に「倒す勇気」キラー・インスティンクト だろう。遠くは、藤猛、輪島功一、ガッツ石松ような……なにがなんでも勝つ、倒すという、泥臭さが必要ではないか。
 そういう試合見られなくなったの寂しい。スマートに勝つことを身に付け、逞しさ、荒っぽさが失われたように思うのだ。「これがプロだ!」という醍醐味を私は見たい。甘ったるい世の中だからこそ。これからのトレーナーは技術だけでなく、いかにして「荒ぶる魂」を鍛えるかも、大きな命題だ。だからして嘉陽よ、逞しくなって再びリングに戻って来て欲しい。