PRIDE29雑感―ヒョードルの次なる相手、あの男はどうだろうか? | 舟木昭太郎の日々つれづれ

PRIDE29雑感―ヒョードルの次なる相手、あの男はどうだろうか?

 やっぱりというか、予想通りというか、ヒョードルは強かった。ミルコの左ハイキックは全て想定内だったようだし、何よりも彼の凄いところは格闘技において最も基本的な相手を恐れない―という「闘魂」を忘れなかったことだった。
 ゴングが鳴ってのファーストコンタクト、最初に仕掛けたのは、なんとヒョードル。
ミルコもこれには当然、肝を冷やしたはず。なんとなれば普通、パンチャー、キッカー相手だと、相手は間合いを取り、タイミングをずらして隙をうかがうのが相場。ところがヒョードルは攻撃に打って出た。このファーストコンタクトとがこの試合の全てを物語る結果となった。
 あの立ち上がりにおいて、ヒョードルがアウトファイトに徹する耐久戦法を取っていたら、ミルコはストレート、ハイキックというコンビネーションを駆使して、ヒョードルをどんどん窮地に追いやって、早い回でKOに結び付けていたかも知れない。それほどヒョードルのファイティング・スピリットはミルコの攻撃のリズムそのものを狂わせたように思う。
 しかし、まかり間違えば、カウンターパンチを食らって、一発撃沈というあやうい場面がヒョードルには何度もあった。それを間一髪で乗り越えられたのはミルコより闘魂が上回り、先手先手と相手の懐に入って攻めたからだろう。まさに「虎穴に入らずんば虎児を得ず」のたとえそのもの。ミルコからテイクダウンを取れば、もうヒョードルのものだと思っていたが、パウンドに徹して殴りまくる姿勢もミルコの反撃の闘志の芽を掴んでしまった。
 とにかく「絶対に勝つ」という精神力の権化を見るような戦慄に私はとらわれた。凄い!これでノゲイラ、ミルコと制して、文字通り総合No.1! ミルコが勝てば様々なマッチメイクも可能だったが、さて、ヒョードル、次は誰とやるのか。リマッチはあるけど新鮮なカードは見当たらない。
 だからこそだ、「最強」を賭けてヒクソンとやったらどうか。ヒクソン本人も「大晦日には出たい」といって、5年ぶりの復活を宣言している。
 今までのヒクソンの試合は、どちらかというと試合前に大抵、結果予想がつくようなマッチだったが、ヒョードルはそうはいかない。
 45歳のヒクソン、29歳のヒョードル、確かに年齢差はあるが、試合となれば私は未だヒクソンが有利と見る。「闘う精密機械」ヒクソンはやはりモノが違う。UPPER第2号で、ヒクソン本人が「ヒョードルも、ノゲイラもミルコも私から見たらまだ足りないものがある」と断言した。その足りないものとは一体何なのか・・・是非、リング上で証明して欲しいと思うのだ。
 最も「100%勝てる相手としか戦わない」と酷評されるヒクソンが危うい相手と闘うのかどうか・・・、これも興味がある。ヒクソン×ヒョードルこそ、総合NO.1を決める一戦であると私は信じるがみなさんは如何か。
 アローナは予想通りシウバを倒したが、優勝は出来なかった。やはりシウバ戦で全てが燃え尽きた感がある。ショーグンとのリマッチが楽しみ。
 今回はテレビ観戦だが、PRIDEの放送は構成がしっかりしていて、観ていて愉しいし、わかり易い。