4月2日秋田大曲講演原稿 | 舟木昭太郎の日々つれづれ

4月2日秋田大曲講演原稿

前田日明氏の講演会にて、私も一言述べさせていただきました。

以下はそのときの内容です。

この講演会の詳細は5月27日発売「UPPER」誌に掲載いたします。

お楽しみに!

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私の大好きな言葉に、終わりの始まり――という言葉があります。

あらゆることに於いて、終わったと思った時点で、次への準備を怠らないということです。

分かりやすく申せば、「只今!」と家に帰ったときに、実は明日が始まっているというわけです。

 

 この中で、お家に帰って、靴を揃える方は果たして何人いますか…出掛ける方へ靴先を向けて揃える人が。子供は親の背を見て育つと申しますが、しっかりと実行している子供は、まず一カドの人間になれますよ。つまり、この家庭は既に明日に向かって力強く始動しているわけです。余談ですが、私の倅が中学の時も5人ほどで友達の家に遊びに行ったところ、翌日お母さんから、妻に電話がありました。「太郎君(ウチの倅の名前)は立派よね、靴をちゃんと揃えて。」たかが靴を揃えただけですよ。ことほどさように、ちょっとしたことが他人を感動させたり、人間性が見られるんです。

 

 さて、「終わりの始まり」の本題に入りましょう。みなさん、よく御存知の具志堅用高さん。13度防衛したボクシング界のヒーローですけど。私は彼の現役時代をずっと取材していますけど、その影響を少なからず受けました。ちなみにこの具志堅さんとは親交があり前田さんを敬愛しているんです。

 タイトルマッチに備え、ゴルフ場などでキャンプを張るんですけど、彼は寝る前に、すべて明日の用意を枕元にするんです。ランニング用の全てのものをです。靴下、パンツ、帽子、それは見事にもずらっと枕に並べてあるんです。そして休みます。

 で、翌日、4時半位に起床して5km位走るんですが、誰よりも早く起きて支度して、もう外でウォーミングアップしてるんです。他の同行選手はというと、靴下がないあれがないと毎朝、大騒ぎするんです。結局、キャンプの間、他の選手はずっと同じことを繰り返すだけです。グレートになる人は日常の姿勢が違うんだなあと。で、後年一人の選手が、具志堅さんを見習うんです。具志堅の歩いた道をマネしていくんです。いわゆるmoderingですね。それが、渡嘉敷君――トカチャンです。やはり自分を見習ってくれるわけですから、可愛い後輩なわけです。志ある者に将来に託すんですね。スパーリングパートナーとして、どこへでも渡嘉チャンは帯同して、やがて彼は世界王者となるわけです。

 

 ヤンキースの松井さんは、風呂に入るとどこよりも足の裏、指の間を入念に洗うそうです。水虫にならないようにと。試合が終わってシャワーを浴びて、足を洗う中ですでに体も心も明日への戦いが始まっているわけです。彼も五本の指の靴下を愛用していますね。守備について、痒ければそれだけ集中力が落ちるわけでしょう。超一流は、我々が何気なく見過ごしているところをしっかりやっているわけです。

 

 イチローも、試合後に自らのグローブを自分でしっかり磨くんです。グローブを磨きながらあるいは「明日も頼むよ」と「願」をかけているかも知れません。志が違うんです。

 

 かように、超一流は、「終わりの始まり」を見事に実践しているわけです。さぁ皆さんもとにかく靴を揃えることから始めてみましょう。