私がこの夏に聞いた音楽は、記憶の中でバズり続けている。
記憶の中にあることが喜ばしいが、記憶の中だけでしか再生できないことを少し惜しくも思って、これを書いています。
ところで、今回改めてググって驚いたのは、『ザ・ベストテン』は1989年9月に、『歌のトップテン』は1990」年3月終了していたこと。えーなんか、もっと長い間、放送していた気がしていたのだけど。ということは、光GENJIもデビューから2、3年くらいしか出演してなかったのか。光GENJIは毎週出ていたし、当時自分は子供だったから、一年が今よりもっと長く濃く感じていたのだろう。私は懐古主義ではない方だが、あの頃は歌番組が好きだったなあ、毎週楽しみだったなあ、と振り返ることはある。
さて、それではまず、2024年の夏に聞いた思い出の一曲…の原曲を。
アメリカのロックバンドThe Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)が1973年にリリースした”Long Train Runnin'”です。フォークロック?ファンク?寄りでもあるのでしょうか、ちょっとアコースティック感もあるような。
ドゥービー・ブラザーズはアメリカ西海岸・カリフォルニア出身で、ロックのサブカテゴリ―としてはウェストコースト・ロック(←主に日本で使う言葉らしい)に入るのだとか。ウェストコースト・ロックは、イーグルスにも代表される、あーそう言われたら、なんかわかる。
そうだ、今回これを書くにあたってググって驚いたことが、もうひとつありまして。ドゥービー・ブラザーズは1970年にデビューし1982年に解散したが、1987年に再結成している。そして、2023年には日本武道館などでもライブを開催していた。2023年?去年!そんな最近か!メンバーチェンジは何回も繰り返しているものの、バリバリの現役バンドだった!勝手に「70年代のレジェンド。」と思っていた…すみません。。
いやあ、でも音楽って、本人がやりたいと思って体力気力がともなってさえいれば定年なく長く続けられていいよね。私は長く走り続けている人生の先輩たちを本当にまぶしく心強い存在に思い、私の最愛のミュージシャンの「これから」にも期待を寄せながら、どこかその人の未来図と重ね合わせて見ているところがあると思う。
“Long Train Runnin'”は、当初インストルメンタルで、歌詞は後からついたのだそう。確かに曲だけ聞いてもくせになりそうだが、歌詞が加わったことによってアメリカの大地を無骨かつ果敢に走る貨物列車が浮かび上がり、「愛なしで、どこにいる?」との問いかけに心が揺さぶられるようになったのではないか。
70年代に生まれたこの名曲は、メンバー交代をしながらも継続する本家ドゥービーによって歌い続けられるだけでなく、カバーバージョンもいくつかあるらしい。
私が実際に聞いたことがあるのは、2024年夏に川崎や大阪で歌われた“Long Train Runnin'”。
そう。私の中でバズり続けるのは
Kazumi Morohoshi・Akira Akasaka
Special GiGz 2024 X1
の、2曲目の“Long Train Runnin'”に他ならないのです。
X1、前半はカバー曲が多く、初見ではどう展開していくか見当がつかない、嬉しい戸惑いがあった。
最初は気づかなかったけど、2曲目は、直前のナレーション(かーくんパート)がしっかりと伏線を張ってから歌に入っているんだよね。これまでのステージにはなかった選曲だけれど、さすが歌唱力には定評のある二人、またもや「これ、ずっと二人で一緒に歌ってましたけど?」とばかりに魅せてくれました。
この “KAブラザーズ”によるLong Train Runnin’ は、艶っぽさと重さを加えたアレンジをしつつも、基本的には原曲をがっちりキャッチした作りだと思った。パーカッションもハーモニカも、オリジナルへのリスペクトを感じる。
一方でビジュアルや振り付けでは、ドゥービー・ブラザーズとも光GENJIとも違うノスタルジーと、ギラついたダンディズムがあふれ出ていた。
サングラスに
メンカラの派手なジャケット
ギラギラの手袋
エルビスマイク
幕が開いて2曲目にして、この華美で退廃的な色気!ふたりが50代の今だからこそ、きまるスタイルだと思う。
特に晃くんにこういう渋ギラのイメージはまったくなかったけど、いいね。新しい魅力の発見ではないかな?
かーくんはさすがに板についている。
英語の歌を自分のものにできることは知っていたけど、歌ってない時の華々しくチャラい(褒)動きが、これまた人を惹きつけてやまない。デュオだと歌唱をパートナーに任せる時間があるので、その間いつもとちょっと違う振りが見られるのが良いです。スタンドマイクでのパフォーマンスだから上半身メインの動きだけど、地味に体力使いそうな振りをキレッキレにキメていた。
X1の振り付けは、いわゆる“シンメ”なものが多い。「二人」が同じ動きっていうのは団体戦とも個人戦とも違う魅力があるものですね。そして片方が「センターしか知らない」育ちのためか(笑)シンメベースでありながら、粒立ちの良さ(対照的な個性)もまた印象的だった。
晃くんは、歌っても動いてもクールでスマート。かといって冷たいわけでなくて、奥の方に青い炎になる芯があるタイプ。
かーくんは…一言で表せる日本語が思いつかなかったから、外国語を借ります―flamboyant。
英和で見ると、[華々しい、あざやか、まばゆい]という訳。【語源】flamboy-(炎)+ -ant(~の特性{とくせい}を持つ)
Flamboyantは、ちょっと[けばけばしい]といったイメージもある形容詞だと思うけど、この英英がうまくまとめている。
[(of a person or their behaviour) tending to attract attention because of their exuberance, confidence, and stylishness.]
(人またはその行動が)活発で、自信に満ちて、スタイリッシュであるがゆえに、注目を集める傾向がある。
かーくんは、エルビスマイクを離したり引き寄せたりしていた。今年のディナーショーでも見たマイクパフォーマンス、めちゃくちゃカッコよくて好き!あのマイク、突き離されても“自分の意思で”かーくんのところに戻ると思う。かーくんにはそれくらいの求心力がある。
初めてのX1では、選曲の意外性に圧倒されてぼけ~っと見ていた感があったけれど、後半は、ちゃんと一緒に貨物列車に飛び乗って、シンメの手の振りにも対応できるようになりました。
Where would you be now
Without love
なぜ
どうして
このパフォーマンスが、毎週見られないのだろうか?
毎週見たいよ!
毎週ベストテンとかで見られない世界線の方が間違っている!
自分が今生きている時代が、令和6年/2024年であることはわかっていても、
結構、本気でそう思っています。