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両陛下ひざまずき「お大事に」
表紙に大きく掲載されている写真には、両陛下が被災者に膝を折って声をお掛けになる姿が写っている。
「国民と困難を分かち合いたい」と、これまで皇居・御所で自主停電を実行されたり、那須御用邸のお風呂を開放されたりといったニュースは耳にしていたが、実際に避難所を訪問し、膝をおって国民と同じ目線でお話されている様子を見ると、心から心配をなさっている両陛下の気持ちが伝わってくる。
以前、障害者スポーツ大会の会場に両陛下がお見えになったときのことを思い出した。僕はそのときボランティアで競技審判をしていたのだが、両陛下が僕の真後ろで立ち止まって競技をご覧になっていた時間は何ともいえない空気に包まれた。いわゆる“オーラ”を感じた。普段は自分のペースでいろんな声や音を発している知的障害者の選手たちが穏やかにプレーをしていたのも印象に残っている。
日本の象徴とされる天皇陛下がひざまずきながらお見舞いをされる姿を見て感じたことは、こんなときでもまとまらない議論を繰り返している国会議員たちが同じ事をできるのかという疑問だった。今回のお見舞いの案内は石原都知事だったようだが、両陛下と同じように膝を折って国民と同じ目線になったのだろうか。
障害者スポーツ大会のボランティアをするときに心がけることは目線を合わせコミュニケーションをとることだ。そうすることで初めて相互に気持ちが伝わる。小さなこどもやご老人とコミュニケーションをとるときも同様だ。
人は地位や権力を手にするとどうしても目線が上からになることが多い。もちろん戦略上、立場上、そうすることも必要なときはあるが、今この状況では同じ目線に合わせることが大切だと強く感じた。

精神力
センバツ高校野球大会第6日目。
宮城県の強豪東北高校が登場した。
一時は出場も危ぶまれたこの状況下で、いろんな思いを背負っての出場。
甲子園という大舞台に立つ緊張に加え、日本中の期待や願いが集まっている。
16、7歳の高校生にのしかかる複雑な重圧を考えると自分の胸も張り裂けそうになる。
東北高校の選手も、対戦相手の大垣日大の選手も全力でプレーした。
試合中にTVに移る選手たち。
東北高校主将、上村健人選手の表情が終始厳しかったことが印象的だった。
また上村選手と同じくらい厳しい表情を見せていたのが大垣日大の阪口監督だった。
懸命に闘う東北高校も、勝負に徹する大垣日大も、美しかった。
試合後の上村選手はこう語った。
「悔しい気持ちはありますけれど、自分たちのやることはやったと思います。まだ苦しんでいる人がいるので、もう一回、ボランティア活動や、周りの助けを求めている人に自分たちが手を差し伸べることができるように頑張りたい」
こんな強い若者がいる限り、日本は決して倒れないと確信した。
希望の誓い
春の選抜高校野球が開幕した。
ずっとスポーツの世界で生きてきたからか、自分自身が高校球児だったからか、甲子園開会式の選手宣誓が毎年心に響く。
今大会は創志学園高の野山慎介主将がその大役を務めた。
宣誓。
私たちは16年前、阪神淡路大震災の年に生まれました。
今、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。
被災地ではすべての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。
人は、仲間に支えられることで大きな困難を乗り越えることができると信じています。
私たちに今できること。
それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。
がんばろう!日本。
生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。
心に響く。
選手たちの清々しい全力プレーが、日本に勇気を与える。