カンボジアで特殊詐欺拠点の大規模な摘発があり、日本人を含む805人が拘束されたというニュースを見ました。
摘発はシアヌークビルのカジノホテルで、国籍は日本、アメリカ、韓国、中国、フィリピン、パキスタン、インド、カンボジアの計8カ国。
押収物されたパソコンは約650台、携帯電話約1,000台。
場所はシアヌークのカジノ関連ビルの18階と19階が拠点。
今の反社組織資金源の多くは特殊詐欺や強盗なんですよね。恐ろしい時代です。このようなハイテク組織犯罪が増えた事で、実は昔のヤクザの時代よりも恐ろしい時代になってしまっているんです。
昔のヤクザの資金源は、政治家、芸能界、風俗、水商売、土建業、ギャンブル、総会屋など目に見えるところで(看板のある事務所)、暗黙のルールのもと収入をあげていました。
ヤクザ組織は「必要悪」を自称し、盃(さかずき)を交わした運命共同体なので、ある種の統制がありましたが、今の組織はルールの存在もなく、ただただITを駆使して、「自宅にいる善良な高齢者や一般市民」から、命も金も根こそぎ奪おうとするため、社会的な恐怖の質が変わってしまいました。
なぜ、シアヌークのカジノホテルかというと、この地域、かつて中国資本でカジノが大量に建設されましたが、オンラインカジノの禁止やコロナ禍で多くのビルが廃墟になりました。その「ネット環境が整い、大人数が収容できる空きビル」を詐欺組織が安く買い叩いて拠点にしたのです。
このように犯罪組織にとって、カンボジア、シアヌークは好都合な条件がそろった場所だったんです。
「打ち子(うちこ)」は「闇バイト」「高収入案件」というネットを通じて集められ、免許証写真などを送らせて「逃げたら家族を殺す」と脅し、組織から抜け出せないようにさせます。あるいは人身売買で集められた打ち子もいるようです。
米国国務省の調べによると「政府関係者が人身売買や詐欺拠点に関与し、利益を得ている」という信憑性の高い報告もあり国際的にも問題となっていました。
カンボジアは「腐敗認識指数」が世界180カ国中160位前後と、極めて低く汚職警官が「賄賂」を渡されて法律を無視する事が、社会構造として深く根付いています。
これに対し、アメリカやイギリス、韓国などが「これ以上放置するなら経済的なペナルティを与える」とカンボジア政府に強い圧力をかけました。
今回の特殊詐欺拠点の大規模な摘発はこれに政府が反応した形です。汚職警官もいよいよまずいと思ったのでしょう。
ちなみに日本人がターゲットにされやすい理由もあるのです。欧米と比べるとキャッシュレス化が遅く「タンス預金」という巨大な埋蔵金が自宅に眠っている。
日本人は、人を疑わない美徳の文化があり、核家族化が進み、孤独な高齢者が増えたので詐欺にかかりやすい。
欧米では、見知らぬ人間が玄関に来ても鍵を開けないのが常識ですが、日本では「お届け物です」と言われると、つい開けてしまう危機意識の低さがあります。治安が良い社会だけに犯罪が身近に起こる気がしないのです。
今回のカンボジアでの摘発で、少しでも「日本への攻撃」が減ることを祈るばかりです。
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