昔ながらのカーブ | 祐天寺りえのフレンチアルプス日常生活

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「フランスだったら産めると思った」(原書房)「食いしん坊の旅」(パラダイム出版)「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て」(小学館)・・・以来、単行本を出せていない祐天寺りえの、フランスの山の中での、ごく普通~の日々ブログ。

先週金曜日に,またドッカリ雪が降ったメリベル雪


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台所のじゃが芋が底をついたので、今日はムッシュー・アルベルトのカーブに。


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我が家のアパートにも一応カーブはあってワインもお米もストックしているのだけれど、ただ、畑の主アルベルト翁、曰く

「芋の保存にはウチのカーブが一番ヨロシイ!」

のだそう。

だから秋に収穫した我が家のじゃが芋は全部、アルベルトのカーブに置かせてもらっている。


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2、3週間に一度くらいの頻度で、じゃが芋をとりにいくのだけれど、

その度に、ついカーブ探検を愉しんでしまう。
祐天寺りえのフレンチアルプス日常生活 燻製ソーセージが棚の上にあったり


祐天寺りえのフレンチアルプス日常生活 アルベルトの飼っている3頭の牛の乳から作ったチーズも。来るたびに熟成が進んでいるので味も刻々と変わっていて(毎回、つまんでいる祐天寺にひひ)。

祐天寺りえのフレンチアルプス日常生活 石壁にはチョークでアルベルトのメモ。何月何日にチーズを塩水で拭いた・・・とか、このリカーは何月何日以降に開けるべし・・・など。


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このアルベルトのカーブには我が家のじゃが芋だけでなく、近隣のお年寄りのじゃが芋や玉ねぎ、長ネギ、瓜類なども預けられていて、皆、毎日のようにそれを取りにやってくる。


「昔は皆、そうだった。ウチのカーブに保存食品は置いて、パンや肉を焼くのは共同の外釜。野菜や洗濯物は共同井戸で洗って・・・そうやって何をやるにも皆で一緒にやって、水も大切にし、光熱費も抑え、そうして火災も防いだ」


その名残もあって今もお年寄り達はアルベルトのカーブを遣っているらしい。


「でも今の50代から後は、もうそういうのは”煩わしいから”って、やらん」


畑仕事をする家庭が減ったせいもあり、じゃが芋もスーパーでその都度買うようになったから・・・というのもあるけれど、それ以上に

「人との関わりを”面倒がる”人間が、確実に増えとるから」

とアルベルトは嘆くでもなく、淡々と言う。


「ごく自然なこと。皆、忙しくなったからなぁ~。それに昔と違って色々便利になったから人に頼まんでも金でなんでも事足りるようになったし」


お年寄り達は逆に、単に物を取りに行くためではない。

取りに行く度にアルベルトと世間話をしたりする。

そういう”関わり”をするためにカーブを利用しているようなところがある。


私も古くからの、いかにもフランスの田舎人らしいアルベルトの暮らしぶりや、彼の哲学に触れたいから、じゃが芋を取りにワクワクと出かけているようなところがある。


でも確かにそれは私が外国人だからで、普通のフランス人にとっては”煩わしい”こと・・・になるかもしれない。

私だって日本にいたら、わざわざお年寄りの納屋やお蔵に物を預けたりはしないだろうし・・・。


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だけど、アルベルトの台所では、こんな昔ながらのオーブンにも触れられるし、
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「Rie.コレを持って行きな」

と自家製のパテをくれたりもする。

アルベルトの老いた乳牛の肝臓から作ったもの。

乳牛からさばいた肉やパテは旨くない・・・とグルメ本などには書いているけれど、でもそういうのは既製品や商売用パテの話。

自分の牛達を最後まで愛しむ。そのアルベルトの愛情が入っているパテ。

フォアグラやパテ類は普段は苦手とする我が家なのだけれど、アルベルト製というと、子供達まで有り難がって食べるのが常。

このパテも大事に頂きますラブラブ