進路 | 祐天寺りえのフレンチアルプス日常生活

祐天寺りえのフレンチアルプス日常生活

「フランスだったら産めると思った」(原書房)「食いしん坊の旅」(パラダイム出版)「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て」(小学館)・・・以来、単行本を出せていない祐天寺りえの、フランスの山の中での、ごく普通~の日々ブログ。

長女(17歳)の目下の悩みは「進路」らしい。

毎日、休み時間も足しげく高校の進路センターに通い、そこでPCによる適性検査をしつこいほどに何度も受けている。

なにしろ親が全くフランスの教育システムも教育機関も知らないのだから、自分でなんとかするしかない。

さぞかし大変なのだろう。


今のところ、進みたいのは政治経済学院らしい。

フランス国内に6校あり、そのうちの1つ、グルノーブル校ならば立地的になんとかテレマーク・スキーを続けられそうだと目をつけ、事務局にも電話で問い合わせたという。

「勉強との両立はかなりキツいとは思う。でも今年も1人、アルペンの選手が入った」

との回答を貰って帰ってきた。


政治経済学院への入学はとても難しい。

今、彼女は在学している高校の文系では成績トップだが、高校内ではなく地方でトップにならないと入れないという。

どうして、そんな「高望み」をするのだろう? 

正直、ため息が出る。


それこそ性分なのだろう。

長女は常に何に対しても「トップ」を目指す。

そしてそのための努力も惜しまない。

だから周りからは「立派」と讃えられ、親の私は羨ましがられたりもしている。


でも果たして良いことなのか。

その疑問が私の中ではこのところ確実に膨らみ始めている。


頑張り屋なのはいい。

根性があるのもいい。

まだ若いのだから、それくらいでないと困る・・・も解る。


でも、常に「精一杯やる」性分は果たして彼女を幸せにするのだろうか?・・・と。


親の願いは、ただ一つ。

我が子が幸せを感じながら日々生きられる人間になってくれること・・・だ。

だからついつい老婆心で想ってしまう。

そして、ついお節介も言ってしまう。


「ねぇ、もうちょっとカードラージュ(枠づけ)を考えてもみては?」

と。


絵も、幅がたっぷりある額縁に入れた方が、ゆったりとして、その絵の持ち味を引き出せることが多い。

生き方も同じではないかな。

精一杯やること。限界まで頑張ってみること。向上心に満ちていること。それはとてもいい。

でも、その精一杯より、もう少し余裕をみてヒィヒィ・ハァハァではない状態で頑張ってみる。

自分に向いている場所、伸び伸びと力を発揮できる場所で努力してみる。

そういう、少し楽な姿勢をとることも一つの方法ではないかな?・・・と。

ゴムだってひっぱり過ぎていると、いつか伸びきってしまうものだし・・・と。


例えば親の私から見ると、彼女は政治経済学よりも心理学を学ぶ方が向いているように見える。

そして心理学科ならば、今の成績でも楽に進学できるし、競技との両立も容易くできるらしい。

当人も「うん、多分、好きな分野だと思う」と言う。

だったら、そうしちゃえばいいのに・・・と、”楽な方楽な方へと進む”派の私は思ってしまうのだけれど、そこからはグッと我慢し

「ま、路は自分で選ぶものだからね。大いに悩むといいよ」

と自分を抑える。


それにしても兄弟でも三者三様。

次女は逆に「できるだけ楽な路でいきたい」派。

だから長女にはブレーキを踏ませようとするけれど、次女には「もう少~しアクセル踏んでみたらぁ?」と言わなければいけないのが、なんとも可笑しい。

末息子に至っては「今、目の前のことのみに全力集中!」それしか考えていないし・・・。


でも、いずれにしろ親のアドバイスは、あまりアテにしないように・・・とも3人には言ってある。

私自身は両親のことをとても尊敬しているけれど、でもその両親の教えは今思うとかなりズレたものだったので。

もし言われるとおりにしていたら、今のようにフランスでは暮らせていなかったに違いない。


”箱入り娘”風にしたかったのか、我が親は私が学生時代「アルバイト絶対禁止令!」を発令していた。

ところが、その箱に収まっていられなかった私は、親に隠れて数々のアルバイトをした。

まずは”すかいらーく”でウエイトレス。

しかしバレてすぐに辞めさせられ、でもすぐにマクドナルド。

これもバレて、次はモスバーガー。バレたけれど、すぐには辞めず厨房係に。バックサイドなら隠れて続けられるかな?と。

他にもペンションの住み込みや、交通量調査員、道路工事の旗振りなど、あらゆる職に手を出した。


でもそれらの経験がなかったら、フランスに移住してから大変だったろうなぁ~とよく思う。

ビザが取れるまでの10年近くは、ブラックワークしか出来なかったから、仕事のほとんどはベビーシッターか掃除婦だった。

ペンション住み込みで掃除やベッドメイク、子供の世話を経験していなかったら、きっと無理だったろうな~と。

レストランでのサービス業務やファーストフードでの衛生管理も、やっておいたから、こちらの小学校の給食でもすぐに働けたのだろうな・・・と。

つまりなんでもやっておくこと。それこそが世界で生きていく前準備じゃないか・・・と。


子供を「世界で活躍する国際的人間にさせたい!」と願う親御さん達。

色々なことをさせましょう。どんなことでも、したいと言ったらさせましょう。

どこでもどんな時でも汗水流して働ける。それが一番の武器にきっとなると思うので。


あとは道路工事の旗ふり・・・か。あの経験を活かせる日も来るのかな・・・(でも地方から出稼ぎできて働いているオジサン達と一緒に食べる大きな支給弁当はとても美味しく、今でもとてもいい思い出になっているので、ちょっとフランスでもやってみたい気もしている)。