久しぶりの石持作品、読了。

悪くはない作品だったけど、初期作品群の月の扉や水の迷宮、ベストだと私が思っているセリヌンティウスの舟の衝撃波には残念ながら、及ばなかったというのが感想。

最後までいってその意図はわかったものの、9人のメンバーを閉じ込めるべき密室があまりにも狭い。トレーラーハウスって。普通なら最初の事件で、全ての家探しするところだと思うし、そしたら冷蔵庫は確実に開けるでしょ、まず。
いや、そうでなくとも人間、泊まる場所に来たら最初にまずは、すべての部屋を確認して冷蔵庫をあけたり戸棚を開いたりするもんだと思うんだけど。

よくもまあ、1時間の間何もしないよねあんたたち、そんだけトラップ、しかも針とか画鋲なら、狭いんだから全部探しなよ、って思うし。

最後に、画鋲の入ったケースを身につけてる記述がでてくるけど、そんな、歩けないほどの画鋲の入ったケースを身につけていたら、確実に、歩き回ったりしたときにガシャガシャいうでしょ、とか思う。
最後のシーンも、いや、トレーラーハウスって普通の車の何倍も重たいし、事故や盗難防止に固定されてたとおもうんだけど‥

とか、推理部分の精緻さに比べて、登場人物たちの動作がすこしずさんに見えた。最初に人が死んでいたら、そんなくだくだやってないでもっと真剣に逃げる方法を考えるのが人じゃないのかなあ。動いたらさっさとすべての情報を集められて、犯人を追い詰められたんじゃないのかな。

途中から、登場人物のありえない優雅な動きがすこし鼻についてしまった。これが推理ゲームならまだしも、怪我だけならまだしも。

と考えるとあたしからしたら、最初に死亡しなくて良かったように思うのだけど、この死は必然だったんだろうか?
むしろ最初のショックでパニックになるべきがなっていない、しゃにむに逃げようとしない不自然さが際立ったともとれないだろうか。

などなど、なんだか少し、煮えきらなかった。月の扉くらいの大きな理由がせめて、ほしかった気もする。舞台が小さいのは仕方ないにしても、理由と最後の決断に、割り切れなさも感じてしまった。
ファンではあるのだが、精緻な組み立てはさすがなのだが、どうしても舞台の小ささ、物理的な制約、登場人物の過度な冷静さが少し物足りなかった。