こんにちは!

アラフォーからのライフスタイルを
提案する 山口朋子です

相変わらず、毎週映画館で映画を見てるんですが、
久しぶりの映画レビューになります。

広瀬すず・松坂桃李 主演の「流浪(るろう)の月」。

予告はこちら↓

 

友人が見て、良かったよーとSNSで書いていたので
京都から帰ってきてすぐに見ました。

ストーリーはこんな感じ。(公式サイトより引用)

 

帰れない事情を抱えた少女・更紗(さらさ)と、彼女を家に招き入れた孤独な大学生・文(ふみ)。

居場所を見つけた幸せを噛みしめたその夏の終わり、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となった。

15年後。偶然の再会を遂げたふたり。
それぞれの隣には現在の恋人、亮と谷がいた。
 

松坂桃李くん演じる文(ふみ)は、
孤独な大学生。

映画の中に出てくるシーンを見る限り、
友人はいなく、家族はいるがつながりがなく、
ただひたすら、一人で本を読み、
丁寧に家事をして(アイロンがけとか)、
一人で食事をしている。

その姿はどこか異様な感じがするけど、
その理由は映画の最後に明らかになります。

家に帰りたくない小学生の少女は、
広瀬すずちゃんが演じる更紗(さらさ)。

雨が降ってきても公園のブランコで
本を読み続ける更紗に、文(ふみ)が
「うち来る?」と声をかけるシーンで
この映画は始まります。

それがのちに女児誘拐事件として
世間を騒がせるのですが、

世間の想像と、二人に起きた出来事は
あまりにかけ離れていました。

 

少女が好きなロリコン男と、
被害にあった10歳の少女、という
ふたりに貼られたレッテルを

剥がせない理由が二人にはあったのです。

 

それは二人にとって、誰にも言いたくない秘密で
それを知られるくらいなら、

ロリコン男でいい、被害女児のままでいい、
となるのですが


こういうことって、世の中にはたくさんあるなと
思いました。

世間の好奇の目、
他人に無関心なくせに
変なところで詮索してくる人々、
家族でも世間体を気にして見てみぬふりする姿、
友達を装っても自分のことしか考えない人、
外面は良くてもすぐ暴力で解決しようとする人、
理解があるふりをして理解しようとしない大人たち・・・

更紗と文は世の中に絶望し、
二人だけは分かり合える世界にいたのに
引き離され、15年後に偶然再会し、
やはりまた惹かれ合うのです。

それは愛ではないかもしれないけど
やっぱり愛としかいいようがなく、
切ないけれど、世界に一人だけでも
理解してくれる人がいることは幸せなのだと
思わずにはいられないのです。

 

まわりの誰もがそう思わなくても
自分が幸せならいいんだって
この二人の姿を見て、思いました。

大人になった文は、喫茶店で静かに
コーヒーを淹れる仕事をしていますが、
その姿も美しくて。

彼の1つ1つの仕草の美しさには、
彼の中の絶望と諦めがにじみ出ていて


そうすることでしか時間をやり過ごせなかった
彼の幼少期からの痛々しい心が伝わってきました。

他の人と違う。
同じように成長できなかった、
親の期待に応えられなかった自分に対しての
せめてもの抵抗。

静かにひとりで暮らして行くことを
望む彼の心の中を想像すると、
「みんな、そっとしておいてあげて」
と言いたくなってしまう。

大人になった更紗の婚約者(横浜流星くん)は、
上場企業のエリート会社員・亮。

世間は、彼と付き合う更紗を羨ましがるけれど、
幼い時に母親がいなくなったトラウマから
女性に暴力をふるって縛り付けようとする亮。

横浜流星くんは好きな役者なんだけど
彼のことも嫌いになりそうなくらい、ダメ男で。

でも、こういう男っているよなーと。
世間的には評価は高くてもクズ同然の男が。

昔、私が婚約破棄した男性と少し重なる部分があって、
ハイスペック男子の闇を見た気がしました(笑)

文は少年院に入りますが、名前を変えて
静かに暮らしながら、新しい恋人らしき女性も
できます。(多部未華子)

それを更紗は喜びますが、
その女性ですら、文を理解することなく、
文は秘密を守り抜くために嘘までついて別れます。

 

出てくる四人、全員が傷ついて、

誰もHAPPYではないのだけど、
最後は悲しい中にも明るさがあって、

それが「自分のことをわかってくれる人が、

この世に一人はいる」という一筋の光。

 
それを、湖の上にある月が象徴している気がしました。
(写真はイメージ)
 
湖と月が、いろいろなシーンで出てきます。
ふたりが楽しく遊ぶ時。
警察に見つかって引き離されるシーン。
絶望して一人で水に入るシーン。
二人でいれば大丈夫という吹っ切れた気持ちになるシーン。

ただ淡々と世界を照らす月。

いろんな形になるけれど、
月は、月。

映像も美しく、胸が切なくなるシーンもあり、
俳優さんたちの演技も素晴らしく、
原作の小説も読んでみたくなりました。

 

 

派手さはないけれど、人間の心の機微が
丁寧に描かれている点で、好きな映画です。

私の評価 星★★★★★(4.7)

今年見た映画の中では今のところナンバー1です。