小さなホームページ制作会社を4年前からやっている。
今思い出しても、胸が痛くなる出来事がある。


信頼している男性スタッフがいた。
クライアント先にもよく同行して行っていたし、
我が家にもよく遊びに来て、家族同様の付き合いをしていた。

でも、彼のクライアント先での振る舞いに問題があって、
クレームを受けたとき、私は彼にそのことの重大さを伝えなかった。

取引先には、私が丁重に謝罪し、別の担当者を付け、
問題があった彼には、何事もなく別の仕事をしてもらっていた。

本当なら、彼にそのことを伝え、責任を共有すべきだったのだと思う。
でも、私はそれが面倒だった。
自分で先方に謝罪し、一人で済ませてしまった方が
早いと思っていたからだ。

ほかにも、彼がやるべき仕事も、少しややこしいものになると、
丁寧に教えてチェックして、ということをするくらいなら
やはり自分でやった方が早いと、徹夜をしてでも自分でやっていた。
まさに、「自分でやった方が早い病」だ。

会社はうまく回っていたように見えていたけれど、
私には疲労がたまり、なんとなく社内でも
孤立している雰囲気が漂い始めた。

そうしているうちに、彼は会社を離れていった。
私の力になりたかったけれど、
私のやり方にはついて行けない、と言って。
私は、何かを間違っていた、と気づいたけれど、もう遅かった。

彼に、もっとやりがいや責任を持ってもらえるようにし、
ともに成長しようとしていれば、
そんな結末にはならなかったと思う。

家族同様の付き合いだったのが、
まるで喧嘩別れのような悲しい終わり方になり、
今でも音信不通の彼のことを思うと、
自分の大きな間違いに胸が痛くなる。


それから2年たった今、私は、自分でやった方が早い仕事でも、
スタッフにやってもらうことができるようになった。
失敗しても、それもまたよし。
いい経験になった、次回はこうしようか、と言えるようになった。
余裕ができてきたのかもしれない。

小倉広さんによると、「自分でやった方が早い病」の原因は、
利己主義にあるという。

そうなんだ。
私は、2年前まで利己主義だった。
目の前の成果や時間にばかり気を取られて、
あげくの果てに自分も疲れて。

もうそんな孤独な成功者にはなりたくない。
仕事で関わる人たちにやりがいや責任も感じてもらって
共に成長していきたいと思う。

仕事がデキる人に多いと言われている「自分でやった方が早い病」。
予防にも、治療にも、再発防止にも、手元に置いておきたい。


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