2003年11月6日⑤


 看護師さんが呼びに来て下さって、車椅子で病棟に行くことになりました。

 廊下に出たところでトムさんがちょうど来てくれて、安心しました。


 小児科外来と小児科病棟は、同じ階にあるのですが、建物の端から端まで行かなくては行けません。

 最後の角を曲がったとき、廊下の突き当たりが入院する病棟の入り口なのですが、その廊下がとても長く、100mくらいあるのです。外来棟はまだ新しいので明るいのですが、病棟は古いこともあって、目的地がすごく暗く、遠く感じられました。


 病棟までの間に院内学級があり、看護師さんから「ここが院内学級です。入院しながら学校に通えるんですよ。」と教えてもらったのですが、精神的な余裕のなさもあって、ゆかっちが通う姿が全く想像できず、聞き流してしまいました。


 病室は、4人部屋の窓際で、山がきれいに見えました。

 同い年の女の子Yちゃん、小学3年生の女の子Kちゃんの二人が同室で、あと一つのベッドは空いていました。


 実はYちゃんがガウン でした。

 通常、ガウンのお部屋には新規の患者は入院させないことになっているそうです。だから最初部屋がないと言われたんですね。

 

 朝からいろんなことがあって、私はおろおろするばかり。病棟には髪の毛のない子や点滴と一緒に廊下を歩いている子もいて、みんな大変な病気だろうに、付き添いのおかあさん方は、落ち着いていて悟ったような人ばかりに見えました。


 K大病院は、小児科だけは付き添いが許されています。小児科でも付き添いが許されない病院もあるのです。もし何かあっても最後まで一緒にいられたと自分を納得させることができる、こっちにしてよかったと思いました。

 

 病棟に来てから、採血したあと、心電図、レントゲンをとりに行きました。


 夕方、小学校に電話をしました。いつもは、「連絡は電話ではなく連絡帳で」と言われているのですが、こんなときはしかたないです。

 事情を説明して、「学習発表会に出られなくなって、みんなに迷惑をかけて、申し訳ない。」と言うと担任のY先生は、「学習発表会のことは気にしなくてもよい。ゆっくりみてあげてください。」というようなことを言われたと思います。