蒼いマンゴーが堕ちたら -13ページ目

蒼いマンゴーが堕ちたら

フィリピンを舞台にした単なるフィクションストーリーです。多分フィクション・・・・

Max'sと言うレストランでリリィと食事をしている間も考えていた。


今回の旅行の大義名分・・・・・


オレの旅の理由は何時も後付けだ。


学生時代の夏休みにパイトで貯めた5万円を持って日本の端まで行こうとした事があった。結果として隣街のビジネスホテルに三泊して帰った寒い思い出がある。
未だに誰にも言えないこの旅行の理由は『一人になりたい』だった。




フライドチキンがリリィによって骨だけになりかけた時、後ろで奇声が聞こえた。
奇声の先には、かなり身なりの良い三十歳位の女が一人で座っている。テーブルにはフライドポテトが山の様にあり、他の料理は何もない。それを手掴みで食べる様はいかれているとしか言い様がない。
リリィはあまり見るなとオレに告げ、フライドチキンの仕上げに入る。


相変わらず綺麗に食べる女だ。

どうもオレは魚みたいに骨がある食べ物を上手に食べる人間を尊敬する癖があるみたいだ。

日本でリリィと食事に行くと決まって怒られていたものだ。オレの魚の食べ方は鳥並みらしい。


夕方に友達と約束がある為にホテルに一度戻る事にした。
リリィはホテルに持って帰るからと残りの料理をテイクアウトしている。


タクシーに乗り込み、ホテルに着いた頃にはタクシーの中は食べ物の匂いで充満していた。


ホテル近くのセブンイレブンで水とビールを買い、部屋に戻る。


旅の理由はまだ思い付かない。
オレの旅の始まりは思いつきとタイミングだ。

この突発性の病気にも似た行動は、周囲からは異質に見えるらしい。

二十歳の頃、プラッと家を出て5年間音信不通になった時は家族すらオレは死んだと思っていたらしい。





パーサーやキャビンアテンダントに見送られ機外に踏み出すとフィリピンの空気の成分が鼻に入ってくる。


厳密に言えば香りのせいなのだが、初めてのフィリピンに舞い上がっているオレには空気そのものが日本とは別のものと感じた。



なるべくベテラン風のオヤジ達の列に引っ付いて入国検査を済ませた。


右往左往しながら荷物を取ると空港内の両替商で換金を済ませた。


空港の外に出ると身体中が熱気を纏い、そこが異国であると教えてくれた。


出迎えの運転手がオレの名前が書かれた札を持って立っていた。


運転手は早いことオレをホテルに送り届けたい様子だが、出迎えのキャストがまだ足りない。


恋人のリリィが来ていない。

運転手にリリィの電話にコールを頼むと、彼女は空港を間違えたらしい。


彼女をピックアップする為にNAIAに向かう。


ゲート前によく知る顔が3人いた。


彼女のリリィと知り合いのタレントが二人。


二週間前に帰国したリリィは早くもフィリピンの日射しに晒され、日本にいた頃より色黒に見えた。


ホテルにチェックインするとオレは眠気に勝てずにキングサイズのベッドの真ん中で眠っていた。



空腹に目を覚ますとリリィが横に寝ていた。

バスで丸一日かけてマニラに来た疲れが出たのだろう。


起こさない様にベッドを抜けてシャワーを浴びた。


少し湿ったバスタオルで身体を拭き部屋の窓から下を覗くと11月だと言うのにクリスマスの飾り付けがされていた。


マカティの街のホテルにオレのフィリピンの一歩があった。



お腹空いた?



リリィの声が優しく響いた。