第二章 曇天の気持ち | 蒼いマンゴーが堕ちたら

蒼いマンゴーが堕ちたら

フィリピンを舞台にした単なるフィクションストーリーです。多分フィクション・・・・

その店は下が駐車場になっていて上が店舗という造りだった。駐車場横に短い螺旋階段があり、階段口の階段には店の名前とタレントの写真があった。



ヴィーナスというのが店の名前らしい。貼り出されているタレントの写真は二年以上前の日付になっていた。


螺旋階段を昇り、入口に手をかけるとドアが閉まっている。店内の照明が灯いているから誰かがいるのは間違いない。開店時間には早いのかと思った時に店の奥からネクタイ姿の男が現れた。男はドアの鍵を開けると



すみませんでした。ミーティングが今終わったので。どうぞ、いらっしゃいませ。



男はオレを店内に案内した。レトロな造りの店内は映画に出てくる70年代キャバレーの様だった。

形も色も古いソファーに座ると、男が店長だと自己紹介した。


オレの持つイメージの店長にしては若い。店長の男にそれを訊ねると、経営者の二代目で最近店長になったばかりだと言った。


初めての来店の為、女のリクエストは無いからと伝えると、店長はトイレ横のカーテンが引かれた部屋に入って行き、店の女全員をオレの前に列べた。


どの女も若く、タレントに見える。店長に訊ねると全員がタレントだと言う。入官の締め付けが厳しいのに全員がタレントと言う。店長は、多分これが最後のタレントだと笑いながら言った。


必然的に誰か選ばなくてはいけなくなったみたいだ。


オレは店長に一番日本語が下手なタレントをリクエストした。店長は一番最近に来日した女を指差し、残りのタレントをカーテンの部屋に戻した。


女はオレの横に座り言った。



ハジメマシテ。ライカデス。



オレは最近覚えたフィリピン語でライカに聞いた。



クムスタ ポ カヨ?



ライカはびっくりしていた。しかし、これ位までがオレの今のレベルの為、その後ライカが何を言ったか判らなかった。

言葉が判らないのがもどかしい。ライカとの会話は簡単な英語とお粗末な日本語がメインだった。



ワタシ ニホンゴ ゴメンナサイ。



一生懸命に伝えようとしるライカにオレもおどけて言った。



ワタシモ フィリピンゴ ゴメンナサイ。



ライカは恥ずかしそうに笑った。その笑った顔がアシュリーとダブって見えた。二時間でオレはチェックをして席を立った。ライカに携帯電話の番号を聞くとまだ電話を持ってないと言う。かわりにオレの番号を教えてくれと言った。オレはライカに電話番号を教えて店を後にした。


車に乗りしばらく走ると知らない電話番号で着信があった。電話に出るとライカだった。



サッキ アリガトナ



短い会話だったがライカの一生懸命さに好感が持てた。ただ、ライカの店まではちょっと遠いのが難点だった。この時オレはライカとの出会いが単なる暇潰しから立ち寄った店のタレントと客の関係だけ位にしか思っていなかった。



この時は・・・・・