昔の聖書には「一角獣」の記載が有った部分が、現代では「野牛」に書き換えられている事を前々回に言いましたが、Wikipediaの説明を見ると、ヘブライ語を元にすれば「野牛」の訳で適切な気がします。
Wikipedia ユニコーン
現代の聖書では「一角獣」の箇所が「野牛」と訳されているため「一角獣」という訳語は見つからない。しかし当時はこのように「野牛」ではなくはっきりと「一角獣」と記されていた。紀元前3世紀中葉に古代エジプト王プトレマイオス2世(前308 – 246)の命によってアレクサンドリア近郊のファロス島に送られた72人のユダヤ人学者達は、72日間で原本のヘブライ語旧約聖書をギリシア語に翻訳し、ギリシア語版旧約聖書『七十人訳聖書(セプトゥアギンタ)』を作った。この時ユダヤ人学者達は原文のヘブライ語の「レ・エム」(רְאֵם, rěēm, 野牛)という単語に「モノケロース」(μονόκερως, monokerõs, 一角獣)、すなわち「一角獣」という訳語を当てた。古代ヘブライ語聖書の中で、レ・エムは「力」を象徴する隠喩として述べられている。ヘブライ伝承でレ・エムは狂暴な、飼いならすことの出来ない、壮大な力を持った機敏な動物で強力な角を持っているという。これに相当するのがオーロックス(Bos primigenius)である。この見解はアッカド語の「リム」(rimu)から裏付けられる。リムは、力の隠喩として使われ、力強く、獰猛な、大きな角を持つ野牛である。この動物は古代メソポタミア美術の中で、横顔で描かれ、あたかも一本の角を持った牛に見える。しかしこの頃「レ・エム」の語に相当する野生の野牛、オーロックスは既に絶滅していて、誰も実物を見ることは出来なかった。こうして、この『七十人訳聖書』から、ユニコーンは聖書の中に入った。ラテン語訳聖書『ウルガタ聖書』(405年頃完成?)はこれを引き継いだ。382年の教皇ダマスス(在位 366 – 384)の命により、当時の大学者聖ヒエロニムス(342? – 420)が中心となって完成させた。従来のラテン語訳聖書の大改訂版である。彼は「一角獣」を表すのに三つの単語を並列的に使った。すなわちギリシア語の「モノケロース」(monoceros, 一角獣)、「リノケロース」(rinoceros, 鼻の上に角を持つ者、犀)、そしてラテン語の「ウーニコルニス」(unicornis, 一角獣)を無作為に用いた。この使用は何百年もの間、慣習的なものであり続けた。ルター(1483 – 1546)も『七十人訳聖書』や『ウルガタ聖書』と同様に訳した。イギリス国王ジェームズ1世(在位 1603 – 25)の命によって、五十数人の聖職者や学者からなる翻訳委員が、1607年から11年の間に完成させた英訳聖書『欽定訳聖書(ジェームズ王の翻訳聖書)』(1611年)では、「ユニコーン」(unicorn, 一角獣)という訳語が使われた。実際にはサイやレイヨウに比定され、キュヴィエ(1769 – 1832)はその存在を否定した。
原文のヘブライ語聖書では、一度だけ額に一本の角の生えた動物が出てくる。預言者ダニエルが自分がスサの城砦に誘拐される幻想について語る『ダニエル書』第8章である。しかし、この無敵の一角獣も現在では「野牛」と訳されてしまっている。ダニエルはベルシャザル第3年にウライ川のほとりで二本の角のある雄羊を幻視する。
それに対して申命記に書かれている「野牛」は確かにヨセフの息子2人になぞらえれており、ヨセフ族の紋章に由来すると考えられてもおかしくはありません。
申命記33:17
「彼の牛のういごは威厳があり、その角は野牛の角のよう、これをもって国々の民をことごとく突き倒し、地のはてにまで及ぶ。
このような者はエフライムに幾万とあり、またこのような者はマナセに幾万とある」
ただ、紀元前3世紀の70人訳聖書に「野牛」と記載されていたならば、ヨセフ族の紋章は牛になってしかるべきです。
何故、ウルガータ訳で「一角獣」の訳語が当てられたのかが不思議です。
中世において、ラテン語で書かれた聖書は庶民には読めない場合が多く、解釈は全て教会に委ねられていました。
宗教改革時に、ルターが信仰を聖書に置き、誰もが聖書を読めるように翻訳を始めたのが先駆けですが、そのルターも70人訳とウルガータと同様に訳したとあるので、少なくとも、その時期までは、人々は聖書に一角獣が記載されている事を認めていた事になります。
つまり、一角獣の紋章を使用出来るのは、紀元前3世紀から、現代訳で訂正された期間となります。
ちなみにロスチャイルドがハプスブルク家から紋章を与えられたのは1822年。
天皇家の紋章がいつの頃からかは分かりませんが、狛犬も右の阿形が獅子、左の吽形には本来、角が有り、一角獣を表している事から、その由来は古いと思われます。
狛犬は「高麗犬」として朝鮮から伝わったという説や、中国の仏教と共に伝わったという説も有りますが、スフィンクス等にも見られる通り、聖地を守護する獣の基本は獅子であり、一角獣がどこから来たのかは謎に包まれています。
紋章を調べていると、スコットランド王家の紋章もロスチャイルドと同じほぼ同じ構図で、日本の紋章は日露戦争時代の日英同名によって、イギリスからもたされたと考える方が自然な気がします。
前々回の12支族の紋章は、ある画像資料を参考に列記したのですが、別の画像資料も発見したので、今後、それも元に考察したいですが、一角獣らしきものは有りませんでした。
ヘブライ語で書かれている部分を解読せねばならないので、ちょっと時間がかかりそうです。
ヤコブの遺言にも一角獣は有りませんし、後世の後付けである可能性は高いと思われます。
Wikipediaには、ポーランドとロシアの民話が書かれており、ユニコーンは傲慢な獣だったので、ノアの言う事を聞かずに船に乗らなかったので、現在では絶滅して存在しないのだそうです。
面白いですね。
もっと資料を漁る時間が欲しいですが、どうしてもWikipedia頼みになりがちになってしまいますね。
ちょっと毎日更新するのを控えて調べ物に集中しようか、とも思いますが、しかし、そうするとなかなかモチベーションが上がらないのです。
目標に追われないとやる気が出ないタイプでして…。
そんなこんなで。
お読み下さりありがとうございました。