担当:いみ

 

1航空業界の歴史

 

1-1飛行の開始

1-1-1 1903年米国ライト兄弟が世界初の飛行に成功する

1-1-2 1909年ドイツのDELAG社が設立され、世界最初の航空会社が設立

→翌年に飛行船による運行を開始した

1-1-3 1918年米国で郵便郵送の定期便が就航

1-1-4 1919年には英国の航空会社がロンドン/パリ間において世界初となる国際定期便を開設

1-1-5 1927年リンドバークによる初の大西洋無着横断飛行(ニューヨークからパリ)が行われる

1-1-6 1930年代後半になると欧米の航空会社のネットワークが拡大、1939年には大西洋横断の定期便も開設された

 

1-2終戦前の日本での飛行

1-2-1 1910年代々木練兵場での公開飛行が日本での初飛行となる

1-2-2第一次世界大戦後は郵便輸送を目的とする民間航空会社が誕生

1-2-3 1922年日本航空輸送研究所が大阪/高松/徳島間で水上機を利用とした郵便輸送が開始

1-2-4 1928年日本航空輸送により、東京/大阪/福岡線の定期旅客便や朝鮮半島、満洲行きの国際線が開設

←日本航空輸送は現在の日本航空とはまったく別会社である

1-2-5 1930年代末から政府出資の国策会社である大日本航空が日本の空を独占

1-2-6 1941年の太平洋戦争が勃発すると、民間航空の活動は完全休止へと追い込まれる

 

1-3終戦後の日本での飛行

1-3-1 1951年までGHQ(連合国軍総司令部)の支配下により、一切の航空活動が禁止される

1-3-2外国航空会社による日本乗り入れという形で戦後の航空輸送は開始された

→米国ノースウエスト航空、パンアメリカン航空、フィリピン航空、英国海外航空と次々と日本へ乗り入れた

1-3-3 1951年米国の占領政策の緩和

→日本独自の航空会社が設立される

1-3-45社が名乗り上げ、日本航空1社に免許交付される

←当初は、機材と乗員はノースウエスト航空からのリースで賄われ、日本航空は営業部門を担当するに過ぎなかった

1-3-6 1951年10月戦後初の国内民間航空機1番機マーチン202型「もく星号」が羽田から飛び立つ

→東京/大阪の基本運賃(普通運賃)は当時の金額で6,000円、東京/札幌は10,200円、東京/福岡は11,520円。

→運賃は高く、飛行機はまだ一部の人のための“特別な乗り物”だった

1-3-7 1952年4月サンフランシスコ講和条約の発効により、航空主権が回復

→羽田空港が「東京国際空港」として返還され、9月には日本航空が自主運航を開始された

1-3-8 1952年新しい「航空法」が制定される

→翌53年8月には「日本航空株式会社法」が施行

→日本航空は資本金20億円の半分を国が出資する特殊法人となり、ナショナルフラッグキャリア(国を代表する航空会社)として新たにスタートする

 

1-4民間航空の自由競争時代

1-4-1民間航空の自由競争時代を迎える

→定期路線の開設を目指す民間企業が次々に出現

1-4-2 1952年全日空の全身である日本ヘリコプター輸送や旧・日本エアシステムの前身である東亜航空が設立

1-4-3国策会社である日本航空は、政府によって国際定期便と国内幹線の運行を独占的に任され、政府の資金援助を受けながら、比較的安定した経営を続ける

1-4-4航空輸送がまだ一般的ではない中に新規参入会社が乱立した

→赤字経営を余儀なくされる航空会社は少なくなかった

1-4-5 1958年全日本空輸が誕生

←日本ヘリコプター輸送と極東航空が生き残りをかけて合併

1-4-6 1971年東亜国内航空が生まれる

←日本国内航空と東亜航空が合併

1-4-7統合・合併を繰り返しながら、日本航空、全日空、東亜国内航空の大手3社に集約された

1-4-8閣議了解と運輸大臣示達によりそれぞれ事業分野が定められる

←事業区分は「航空憲法」あるいは「45年―47年体制」と呼ばれる

a日本航空:「国際線と国内幹線」

b全日空:「国内幹線、ローカル線および近距離国際チャータ便」

c東亜国内航空:「国内ローカル線と一部の国内幹線」

→1985年まで継続され、3社はそれぞれの事業分野で安定した発展を続ける

 

1-5大衆化する航空旅行

1-5-1 1960年ダグラス社のDC-8が国内初のジェット旅客機として登場

→日本航空が日本/ホノルル/サンフランシスコ線に就航させる

→日本航空は、客室に純日本風のラウンジや西陣織のシートを設置し“日本文化”をアピールするサービスで評判

1-5-2国内線でもジェット化が進む

→高度経済成長ともあいまって国内航空の大衆化を強力にバックアップ

1-5-3国内線の旅客数は、1960年は112万から10年後の1970年には1467万人へと約13倍に急増

1-5-4 1970年ボーイング社の大型機、747が登場する

←2階建の客室を持ち、従来の大型機の2倍以上の乗客を運べる画期的な大型機材

1-5-5急増した座席数と供給を埋めるために、航空各社はパッケージツアー用の運賃の大幅な値下げをする

←一般人でも比較的気軽に海外へ出かけられる環境が整う

1-5-6 1960年に10万人を超えた国際線の旅客数は、1968年に100万人の大台を超えた

 

1-6自由化への潮流

1-6-1 1985年日米航空交渉により、複数の日本企業の米国本土乗り入れが可能

→日本貨物航空が太平洋線を開設し、「国際線は日本航空1社という従来の役割分担の原則が破れる

→1985年にはまた「45年―47年体制」の廃止が決定

1-6-2 1986年「我が国航空企業の運営体制の在り方に関する基本方針」の最終答申が出される

→国際線の複数社制、日本航空の完全民営化、国内線の競争推進などによる利用者のサービスの充実、経営基盤の強化が挙げられた

→全日空、日本エアシステムは念願の国際定期便の運航が可能になった

→全日空は、86年に東京/グアム線で国際定期輸送へ参入、以降は急ピッチで国際路線を展開する

1-6-3事業分野のボーダーレス化が進み、主要各社の集客合戦は激化

1-6-4 1998年「日米航空交渉」により、日米間の航空路線や便数の拡大、共同運航などが実現

→日本の航空業界は開かれた自由市場の中へと踏み入れた

 

2世界の航空会社の概観

 

2-1アライアンスの定着

2-1-1アライアンス:航空会社が運航やサービスなどの面において、世界的な規模で協力関係を結ぶ提携グループ

2-1-2 1990年代後半以降、世界的規模で大手航空会社が提携グループを結成

2-1-3 1997年設立の「スターアライアンス」は世界最大のアライアンスである

→ユナイテッド航空、ルフトハンザドイツ航空、エア・カナダ、タイ国際航空、全日空、シンガポール航空など

2-1-4 1998年には「ワンワールド」が設立、南米やオーストラリアに拠点を持つエアラインが加盟する唯一のアライアンス

→アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空、カンタス航空、フィンランド航空、ラン航空、日本航空など

2-1-5 2000年に2つのアライアンスのライバルとして「スカイチーム」が発足された

→エールフランス航空、デルタ航空、大韓航空、アリタリア航空、チェコ航空、KLMオランダ航空、ノースウエスト航空、アエロフロート・ロシア航空、中国南方航空など

2-1-6現在、世界の航空市場の約3分の2は、3大アライアンスに加盟する約40社の大手航空会社によって占められるほどの影響力

 

2-2アライアンス加盟のメリット

2-2-1アライアンスを組むことによって、運航面とサービス面で大きなメリットがある

a共同運行やコードシェア便の運航などによる、自社ネットワークの拡大

→自社便では路線展開が難しい都市や地域へも、アライアンス各社と共同運航やコードシェアを行うと、コスト削減と顧客の利便性が同時に図れる

EX)全日空の北米線は、自社便は米国本土では5都市のみの就航だが、ユナイテッド航空などスターアライアンス加盟他社との間でコードシェア便を運航

→これらにANAの便名を付けることで、全米主要都市を網羅するネットワーク展開が可能

bチェックイン業務の共通化、空港ラウンジの相互利用など地上サービスを共通化

EX)成田空港には、スターアライアンス各社が利用クラス別に使用するチェックインカウンター、および多くの自動チェックイン機が設置されている

2-2-3アライアンス加盟会社同士では、マイレージサービス(搭乗距離等に応じて無料航空券などの特典がもらえるサービス)が提携されている

EX)マイレージの相互加算、特典の相互利用ができる

→利用者にとっての利便性が上がる

2-2-4アライアンスを組んでいても、原則として各社は独立した経営を行っており、競合する路線ではお互いがライバルであることは変わらない

2-2-5アライアンスへの加盟にはハードルが高く、細かく定められたサービス項目ごとに一定の水準に達しないとメンバーになれない

→利用者には安心感があり、アライアンス自体が“ブランド”になる時代である

 

2-3コードシェア

2-3-1コードシェア:1つの航空便を、複数航空会社の便名で運航すること

2-3-2 実際に機材や乗務員を用意して路線を運航する会社は一社である

←他社(提携会社)はそこに自社の便名を付けて座席を販売している

2-3-3運航会社にとっては販路が広がることで搭乗率向上が期待できる

2-3-4提携会社は機材や人的資源を消費することなく新路線開設や増便が可能になる

EX)日本航空が自社便を運行している米国の空港は10ヶ所だけだが、コードシェア便を含めると100空港に上る

3-3-5コードシェアは一般的に同じ航空連合に所属する会社の間で広く行われる

 

2-4マイレージサービス

2-4-1マイレージサービス:航空機やホテルの利用で得られる「マイル」を、マイル数に応じて無料航空券などと交換できるサービスのこと

2-4-2 1981年アメリカン航空が考案し、米国内の航空自由化による顧客流出を防ぐ目的でサービスを開始

2-4-3旅行関連のサービスだけでなく、日常生活で手軽にマイルを貯められるように、レストランや娯楽など異業種や、クレジットカード、電子マネーなどに提携先を広げている

 

2-5主な海外エアライン

2-5-1ユナイテッド航空

a アメリカ・シカゴに本拠を置く

b 運用機材数1,076機を毎日3000便以上、米国内を含む世界200以上の都市へ運航する

c世界初の女性客室乗務員の導入など、航空業界のサービスをリードしてきた

2-5-2ルフトハンザ ドイツ航空

a ドイツのフランクフルトとミュンヘンが拠点

b グループ企業が多く、主なものだけでも100社以上ある

EX)ルフトハンザ カーゴ(航空貨物)、ルフトハンザ シティライン(欧州内短距離旅客便)

c 機内高速インターネット接続サービスを世界で初めて導入

2-5-3シンガポール航空

a シンガポールに本拠を置く

b 採用後のクルーのトレーニングには、業界最長レベルの4ヶ月をかける

→高いレベルで平準化されたサービスを提供

2-5-4エミレーツ航空

a アラブ首長国連邦・ドバイ

b 最新鋭機を大量に発注している

c高水準の機内サービス

EX)電動ドア付き個室、全クラスにおいて600チャンネル以上の映画や音楽プログラムをオンデマンド方式で提供

 

3日本の航空会社の概観

 

3-1日本の航空会社の現況

3-1-1 2018年4月、日本では25の航空会社が定期路線を就航している

→代表的存在が日本航空(JAL)と全日本空輸(全日空:ANA)の二大グループ

 

3-2 FSCの航空会社

3-2-1 FSC:フル・サービス・キャリア (Full Service Carrier)の略で、機内食やドリンクの提供、多様な座席クラス、手荷物の無料預け入れ、マイルプロイグラム、遅延・欠航時の丁寧なサポートが特徴

3-2-2 FSCは日本航空と全日本空輸の大手航空会社を指す

3-2-3日本航空(JALグループ)

a設立:1951年8月1日

b路線数:国内線131路線,国際線66路線の合計197路線

c乗り入れ国/空港:68カ国/395空港

dアライアンス:ワンワールドに加盟

e売上収益:18,440億円(2024年度)

f使用航空機数:232機(2025年3月31日現在)

g従業員数:14,431人(2025年3月31日現在)

h地方空港に強いネットワークを用いて、国際線では特に北米路線に力を入れている

i提携しているLCC 3社→ ZIPAIR、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン

3-2-3全日本空輸(ANA) 

a設立:1952年

b路線数:国内線142路線,国際線52路線の合計194路線

c乗り入れ国空港:38空港

dアライアンス:スターアライアンス

e売上収益: 20,559億円(2024年度)

f機材数:278機(2025年3月31日現在)

g従業員数:13,636名(2025年3月31日現在)

hアジア路線が豊富で、国内線では羽田発着が利用しやすい

i提携しているLCC 2社→ エアージャパン,Peach

 

3-3新興航空会社

3-3-1規制緩和と東京国際(羽田)空港の発着枠増加を受けて、1998年以降に参入した会社を指す

3-3-2スカイマーク、エア・ドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーの4社である

3-3-3スカイマーク

a路線数:国内線23路線、国際線なしの合計23路線

b大手3社による寡占が続いた日本の航空市場への新規参入第一号である

3-3-4エア・ドゥ

a路線数:北海道内の6都市(札幌、旭川、函館、女満別、帯広、釧路)に就航

b北海道内の企業経営者ら29名が発起人になって設立された

3-3-5ソラシドエア

a路線数: 国内線14路線

bスカイマーク、エア・ドゥに続く3社目の新規参入エアラインであり、本社は宮崎県にある

4-3-6スターフライヤー

a路線数:国内線5路線

b主なターゲットをビジネス客とし、独創的なクオリティ高いサービスを提供しつつ、運賃面では大幅な割引運賃を実施

 

3-4格安航空会社(LCC)

3-4-1 2012年以降に就航し、ロー・コスト・キャリア(Low Cost Carrier)の略である

3-4-2 JALグループのZIPAIR  、ANA系のエアージャパン、ピーチ、海外LCCグループ系のジェットスター・ジャパン、春秋航空日本など

3-4-3 ZIPAIR 

a設立:2018年7月31日

b路線数:国内線なし、国際線10路線の合計10路線

c日本航空グループの国際線中・長距離ローコストキャリアでありながら太平洋横断を積極的に乗り入れている

3-4-4エアージャパン

a設立:1990年(平成2年)6月29日

b路線数:国内線なし、国際線3路線の合計3路線

c ANAグループのLCCとFSCの間に位置する顧客にアピール

3-4-5 Peach Aviation

a設立:2011年2月10日

b路線数:国内線25路線,国際線15路線の合計40路線

c日本初のLCCである

3-4-6ジェットスター

a設立: 2011年9月5日

b路線数:国内線18路線,国際線4路線の合計22路線

cアジア各国でジェットスターブランドを展開する豪カンタスグループと日本航空、三菱商事などが出資して設立された

3-4-7 SPRING JAPAN

a設立:2012年9月

b路線数:国内線3路線、国際線9路線の合計12路線

c中国初の民間LCCである春秋航空と日本の投資会社などが出資して設立された

 

3-5 地域航空会社

3-5-1地方都市間を結ぶ路線を中心に運航し、座席数100未満のリージョナルジェットを運用

3-5-2アイベックスエアラインズ、フジドリームエアラインズの2社

3-5-3アイベックスエアラインズ

a設立: 1999年(平成11年)1月29日

b路線数:  国内線13路線

c日本ではじめてリージョナルジェットを導入した会社

3-5-4フジドリームエアラインズ

a設立: 2008年6月24日

b路線数:  国内線29路線

c全国に路線網を持ちながら首都圏と関西圏に就航しない唯一のエアライン

 

3-6 コミュータ系

3-6-1本土と離島間や離島同士を結び、座席数10以下から50席程度までのプロペラ機やヘリコプターを運用

3-6-2オリエンタルエアブリッジ、天草エアライン、新中央航空、東邦航空を指す

3-6-3オリエンタルエアブリッジ

a設立:1961年6月12日

b離島の多い長崎の足として活躍し、全便が全日空とのコードシェアである

3-6-4天草エアライン

a設立:1998年10月12日

b熊本県や天草地域を拠点とする地域航空会社である

3-6-5新中央航空

a設立:1978年12月15日

b東京の調布飛行場から伊豆諸島の大島、新島、神津島、三宅島への路線を運航

3-6-6東邦航空

a設立:1960年7月7日

b伊豆諸島の6つの島を結び、日本で唯一のヘリコプターによる輸送を行っている

 

3-7貨物航空会社

3-7-1貨物専業の独立系航空会社

3-7-2日本貨物航空

a設立:1978年

b日本で唯一の貨物航空会社

 

4日本の空港の概要

 

4-1 日本の空港

4-1-1日本には全国で97箇所の空港がある

4-1-2日本の空港は、「空港法」という法律の中で、「公共のように供する飛行場」と定義されている

 

4-2拠点空港

4-2-1国際/国内線の主要な路線網を構成する空港のうち、拠点となる空港で、設置管理者によりさらに3つに細分化される

4-2-2会社管理空港:特定会社が設置管理する空港

→成田国際、関西国際、大阪国際、中部国際

4-2-3 国管理空港:国(国土交通大臣)が設置管理する空港で、東京国際(羽田)、新千歳、福岡、那覇など19ヶ所

4-2-4特定地方管理空港:国が設置し地方自治体が管理する空港で旭川、秋田、山口宇部など5ヶ所

 

4-3地方管理空港

4-3-1地方自治体が設置管理者となる空港のうち国際/国内線で重要な役割を果たす空港

→神戸、岡山、石垣など

 

4-4その他の空港

4-4-1地方自治体が設置管理者となる空港のうち、

地方管理空港に含まれない比較的小規模な空港

 

4-5共用空港

4-5-1防衛省または米軍が設置管理する軍民共用空港で、小松、徳島、米子など計8つ

 

4-6ハブ空港

4-6-1ハブ空港:航空ネットワークの中核となる空港のこと

4-6-2 ハブ(hub)とは、車輪の中心にある部品や構造のことを指す。そこからスポーク(棒)が伸びてタイヤを支えている構造。それに例えて、この名前が付けられた。

4-6-3日本では東京国際空港と成田国際空港が主要なハブ空港にあたる