担当:いあ、され、きそ
第4章 消費者行動論の基礎
4-1 消費者と行動
4-1-1 消費者とは
a消費者行動論における消費者
=流通チャネル末端にいる最終消費者(図表4-1)
b最終消費者の考えや行動を理解することが消費者行動論の基本
4-1-2 消費とは
←モノを購買・使用・廃棄する1連のプロセス(図表4-2)
a購買前行動…消費者が抱える購買問題を認識する「問題認識」、抱えている問題に対してそれを解決するような情報を探索・収集する「情報探索」
b購買行動…探索した情報に基づいて、製品を選択し購買
c使用行動…購買した製品を使用・保管
d廃棄行動…使用した商品を廃棄
e「購買前行動」と「購買行動」を合わせた広義の「購買行動」に関する研究が多い
f 消費者の経験や合理的ではない消費を説明する
→「快楽消費」、「経験消費」
4-2 認知的な側面を重視したアプローチ
4-2-1 刺激反応型モデル(図表4-3)
① S-Rモデル
←外部から刺激を受けた消費者が反応(購買)するといった購買意思決定のプロセスを描写したモデル
b S(刺激)…テレビCMや雑誌、口コミ
c低価格で低関与な製品を対象
dブラックボックス
←刺激と反応の間で起こる心理的なプロセス
② S-O-Rモデル(図表4-4)
←心理的プロセスを明らかにするために開発された様々なモデルの総称
aハワード=シェスモデル(図表4-5)
←Sに入力変数、Oに資格構成概念と学習構成概念、Rに出力変数
b 前提となっているのは受動的な消費者
4-2-2 消費者情報処理モデル(図表4-6)
←能動的な消費者を説明するモデル
a消費者は自ら情報を収集し、必要な商品を店舗に探しに行く
b高価格・高関与な製品が対象
←より多くの情報を収集・検討し、慎重な意思決定を行うため
c合理的な消費者像のみを想定しているのが欠点
4-2-3 精緻化見込モデル(図表4-7)
a感情的な意思決定を行う消費者をモデル
b中心的ルートと周辺的ルート
←「精緻化の動機」、「精緻化の能力」によってルートが決定
c精緻化の動機…消費者の動機付けの程度
d精緻化の能力…消費者の「知識」
e自動車への関与が高く、収集した自動車の情報を理解→中心的ルート
f自動車への関与が低く、情報収集不足、情報の理解ができない→周辺的ルート
g現実の消費者は、中心的ルートと周辺的ルートの双方を併用
4-3 感情的な側面を重視したアプローチ
4-3-1感情的な側面を重視した消費者行動研究の系譜
a 80年代頃、「消費者経験論」をきっかけに発展
b「快楽消費研究」、「経験価値マーケティング」、その後の消費者行動研究
4-3-2 消費経験論
←対象が生産と消費の同時性を持つサービスや芸術鑑賞で、そこで生じた感情を伴う経験を説明
a「心的構成概念」…製品の使用による経験から得られた精神的な作用
b「製品クラス」…対象となる製品を示す(オペラ、映画、コンサート等)
c「製品の使用」
d「個人差」
4-3-3 消費経験論と快楽消費研究
a感情としての快楽消費研究
←消費者が経験する感情経験を対象にしたもの
b製品の消費時に感じる感情を対象とした研究
c消費者が買物行動において感じる快楽的価値と買物動機との関係性を捉えた研究
4-3-4 経験価値マーケティング
a「顧客の経験価値」に焦点
b経験価値…出会い、経験、様々な状況下で生活してきた中で生まれる
d消費状況に適した製品は何か、製品、パッケージング、広告がどのように消費経験を強化するか考える
e「戦略的経験価値モジュール」を提唱
←SENCE、FEEL、THINK、ACT、RERATE
f SENCE(感覚的経験価値)…五感を通じて感覚に訴えるもの
g FEEL(情緒的経験価値)…消費の最中に発生するブランドと結びついたポジティブな気分や感情を表しており、これらの感覚への訴求を行う
h THINK(創造的・認知的経験価値)…顧客の知性に訴求する認知的・問題解決的経験価値を表す
i ACT(肉体的経験価値とライフスタイル全般)…行動の成果、ライフスタイルや人との相互作用に訴える
j RERATE(準拠集団や文化との関連付け)…個人の自己実現の欲望を訴求する
k 5つの戦略的経験価値モジュールに「経験プロバイター」(コミュニケーション、環境、ウェブサイト、人間)を組み合わせ、「経験価値グリッド」を構築
←消費者に経験価値を提示
4-3-5 消費者行動研究における新たな潮流
aこれまでの消費者
←製品やサービスの認知的・感情的な価値を企業側から提供され、それを消費する
b現在の消費者
←企業から提供された価値を享受するのみならず、新たな価値を企業とともに共創する
cこのような「価値共創」の概念は消費者行動研究の観念を変える可能性
第5章 マーケティング・リサーチの基礎
5-1マーケティング・リサーチのデータと手法
5-1-1マーケティング・リサーチとは
a市場調査
bマーケティング課題を解決する手段
5-1-2調査主体によるデータの種類
a一次データ
←企業やマーケティング担当者が自らの目的で収集
b二次データ
←他者が別の目的で収集
5-1-3一次データの種類と調査方法
a実査
←アンケート調査(図表5-1)
b実験
c観察
d深層面接法・グループインタビュー
5-1-4二次データの種類
a別の目的のために、他者によって収集されたデータ
b国勢調査や広告代理店のレポートなど
5-1-5収集されたデータの形式に基づく分類(図表5-2)
a質的データ
←数字で表すことができないもの、数値化して扱うことが可能なものもあり
b量的データ
←数字で表すことができるもの
5-2定性調査
5-2-1定性調査の目的
a新たな仮説の発見や設定
b関連性や因果関係の構造化
cアイデアやコンセプトの導出
dアンケート調査のプリテストや結果の補助
5-2-2観察調査の概要とその手順
a概要
←人の行動や状況を観察し、結果を記述、分析することで消費者の実態に迫ろうとするもの
←選択されるのは観察の対象者が回答できないことを捉えたい場合や、観察の対象者が回答すると回答に歪みが生じる場合
b手順(図表5-3)
①観察課題の設定 ②観察対象の選択 ③観察手法の選択 ④観察項目の設定 ⑤観察場所・期間・日時の決定 ⑥観察 ⑦結果の整理と分析 ⑧報告書の作成
5-2-3深層面接法・グループインタビューの概要とその手順
a概要
←メリットは信頼関係により、回答者から真に迫った回答が得られること
←デメリットは調査にかかる時間と費用、インタビュアーにかかる負担が大きいこと
b手順(図表5-4)
①調査課題の設定 ②対象者の選定 ③インタビュー人数の決定 ④調査方法の選定④対象者の募集と依頼 ⑤日程や会場の選定 ⑥デプスインタビュー・グループインタビュー ⑦結果の整理と分析 ⑧報告書の作成
5-3定量調査
5-3-1定量調査の目的
a 記述
←行動の定量的記述(刺激に対する反応が例)と意識の定量的記述(顧客満足度調査が例)
b 探索
←調査仮説の探索
c 因果関係の発見
5-3-2実査(アンケート調査)の手順(図表5-6)
a 調査課題の設定
←解決すべき問題と調査課題との関連性を明確にすることが重要
b 関連情報の収集
c 調査仮説の設定とデザイン
d 調査対象の決定
e サンプリング(調査対象者の決定)
←任意抽出法(無作為に抽出)と有意抽出法(知人や男女比、年齢構成比などを考えて抽出)の2つ
f 調査方法の決定
g 調査票の作成
h プリテスト
i 実査(本調査)
←調査票の回収率向上に努めるべき
j 結果の整理と分析
←データをExcelに入力して記述統計量(平均、分散、標準偏差など)を求める
k 調査報告書の作成
5-3-3代表的な分析手法
a 重回帰分析
←因果関係を説明したい場合(広告・価格と売上との関連性が例)
b 判別分析
←目的はグループ間の違いを説明すること
c コンジョイント分析
←考え得る商品スペックの組み合わせを実験的に作成し、評価するもの
d 因子分析
←変数間の相関関係に基づき、その構造を抽出
e クラスター分析
←似ている者同士を集めてグルーピング
第6章 製品戦略の基礎
6-1製品戦略とは何か
6-1-1製品の概念
a企業にとって必要不可欠なマーケティング要素
bマーケティング要素を決定する際の起点
c製品:製造工程に着目し、原材料あるいは他の製品を加工することで製造された品物
d商品:流通過程に着目し、販売または再販売を目的として作られる品物を指す概念。
e製品の3つの階層(図表6-1)
f「製品の核」
←購入者が問題を解決するために必要とするベネフィットを意味する層
g「製品の形態」
←中核となるベネフィットを実現するための具体的な製品形態を表す層
h「製品の付随機能」
←中核となるベネフィットや具体的な製品形態を取り巻く製品の付随機能を表す層
6-1-2製品の分類
a生産財と消費財に分類
b生産財:購入後さらに加工を加えたり、業務を行うために使用する目的で購入される商品
c消費財:最終消費者自らが個人的に消費する目的で購入される商品
d消費財は、購買者の購買習慣に基づき最寄品、買回品、専門品、非探索品に分類
e最寄品:消費者が日常的に頻繁に購入する製品
f買回品:いくつかの価格、デザインなどを十分に比較検討して購入を決める消費財
g専門品:特別な努力を払ってでも購入しようとする独自の特性やブランドを有した消費財
h非探索品:消費者がその商品自体について知らない、必要とするまで購入を考えない消費財
6-1-3製品ミックス
a製品ミックスの問題
←複数の製品を提供する場合、それらをどのように組み合わせるか
bアイテム:他の製品と区分できる最小の製品単位
c製品ライン:アイテムの集合
←「幅」と「深さ」という2つの次元が存在
d「幅」と「深さ」
←企業の製品多角化の程度を表す
eフルライン政策:製品ラインを拡大する政策
fショートライン政策:製品ラインを縮小する政策
6-2製品計画
6-2-1新製品開発のタイプ
a新製品開発:ニーズを吸い上げ、R&D(研究開発)によって具現化していく製品開発活動
bライン拡張(図表6-2):すでに一定の成功を収めているブランド名を使用し、軽微な変更を加え投入
cカテゴリー拡張:すでに一定の成功を収めているブランド名を使用し、改良した製品を新たなカテゴリーに投入
dマルチブランド:現在の製品カテゴリーに新たなブランドを追加的に投入
e新ブランド:新分野の製品カテゴリーに新たなブランドを投入
6-2-2新製品開発のプロセス(図表6-3)
a①アイディアの創出
←新製品開発のための「種」を模索する段階
b②アイディアのスクリーニング
←収集されたアイディアを目的に応じて絞り込むアイディア・スクリーニングを行う
c③コンセプトの開発とテスト
←絞り込まれた有望なアイディアを製品コンセプトに発展。コンセプト・テストの実施
d④事業収益性の検討
←製品コンセプトに基づく今回の企画がどれほど魅力的かを収益性の観点から検討する段階。
e⑤製品開発
←これまで積み上げられてきた抽象的な製品コンセプトを具体的に製品化する段階。
f⑥テスト・マーケティング
←本格的な市場投入前に期間限定的に特定の販売地域等を通じて現実的な市場環境で販売を行うテスト
g⑦商品化
←市場への本格的な導入段階。
6-2-3普及理論
a革新的な製品が市場にどのように受容されるか
←ロジャーズのイノベーションの普及プロセスの考え方が有用
b彼はイノベーションがどのように社会や組織に伝播・普及するのかについて実証的研究を行う
c採用時期によって採用者を5つのカテゴリーに分類(図表6-4)
dイノベーター:あまり情報が出回っていない新製品導入初期にリスク承知で採用する消費者
e初期採用者:その新製品が価値に見合ったものか判断し、新しい価値観や利用法を提示する
f dとeの層がイノベーションを採用した段階で、その後の普及率が決まると考えられている
g前期追随者:dとeからの意見を参考にして、新製品の採用を慎重に判断し受容していく消費者
h後期追随者:社会全体の半数の人たちが採用を始めた後で採用を始める消費者
i採用遅滞者:採用を決めることが最も遅く革新的な製品や考え方を受け入れるのが遅い消費者
6-2-4計画的陳腐化:自社製品の寿命を意図的に短縮することで新たな需要を喚起すること
a①構造的陳腐化:製品寿命を短縮させ耐用年数が長くならないように設計する手法
b②機能的陳腐化:軽微な変更を施した新製品を出し、いまだ使用可能な旧製品からの買い替えを促す手法
c③心理的陳腐化:流行から外れていると感じさせ、旧製品を古臭く感じさせようとする手法
6-2-5製品ライフサイクル(図表6-5)
←製品が市場導入されてから市場から姿を消すまでのプロセス
a①導入期:製品が市場に導入される最初の時期
b②成長期:消費者の認知度も徐々に高まり、販売促進効果等が働くことで需要が急速に伸び始める時期
c③成熟期:需要や成長性が鈍化し、競争企業も出揃う時期
d④衰退期:市場が徐々に縮小し、撤退する企業が表れる時期
6-3ブランド戦略
6-3-1ブランドの意義
aブランド:他社の製品やサービスと識別するために付与されたもの
bブランド・ロイヤルティ
←程度によりブランド認知、ブランド選好、ブランド固執の段階で捉えることができる
cブランド認知:消費者がそのブランドを見聞きしたことがあり、その存在を認知している状態
dブランド選好:複数のブランドの中から習慣的に好んで特定のブランドを購入している段階
eブランド固執:特定のブランドの購入を確定させている段階
6-3-2ブランドの分類
aブランドは開発の主体が誰なのかで2つに分類
bNB(ナショナル・ブランド):メーカーが製品を企画し製造するブランド
cPB(プライベート・ブランド):流通業者が独自の使用発注書に基づいて設定
dブランドはマネジメントの観点から総合ブランドと個別ブランドに分類
e総合ブランド:複数の製品ラインに共通して設定
f個別ブランド:個々の製品ブランドに設定
6-3-3ブランド構築の重要性
a企業は自社ブランドに中世的な優良顧客を育て上げたい
b固定客をつかむことで安定的な売り上げ確保
e 認知度の高いブランドを保有することでイメージが高まる