担当:いあ、され、きそ
序章 マーケティング発想の重要性
0-1 マーケティングとは何か
0-1-1マーケティングの本質
←販売以前に「売れるための仕組み」を作り上げること
0-1-2市場経済と販売の偶然性
0-1-3市場経済
a市場において自由にモノやサービスの取引が行われる経済のこと
←私たちが日々の生活を、企業が事業活動を営むため
0-1-4販売の偶然性
a市場経済は、供給と需要との不一致が必然的に起こる経済システムである
←不確実性が支配する不安定な経済システムであること
0-1-5販売の偶然性とマーケティング
0-1-6販売の偶然性の緩和を目指すための方策としてのマーケティング展開
a「売れるための仕組み」づくりを体系的に行う
b絶えず改善もしていく
←販売の偶然性の解消
0-1-7販売の偶然性へのマーケティングによる対応
a販売の偶然性が完全に解消されることはない
←企業の終わりなき格闘を意味する
0-2マーケティングをどのように展開するか
0-2-1「プロダクトアウト」と「マーケットイン」
0-2-2プロダクトアウト
a自社が保有する優れた製造技術や製造設備等を活用して作られた製品を市場に送り込むシーズ志向に基づく生産活動方式
0-2-3マーケットイン
a買い手となる市場の潜在的購買者のニーズを汲み取り、自社の製造技術や設備を活用して製品化を目指すニーズ志向に基づく生産活動方式
0-2-4プロダクトアウトの時代(1950~70年代)
a企業が提案する優れた大量の製品を市場に流し込む
b物質的に満たされていなかった消費者に首尾よく受容させる
0-2-5マーケットインへの発想の転換(1970年代中盤~)
←消費者の量的な欲望が満たされ始め、消費者の潜在的ニーズに即した製品開発に舵を切る必要性
0-2-6「プロダクトアウト」から「マーケットイン」へという誤解
←2つの発想は同時代に併存し、優劣がつけられないため、プロダクトアウトからマーケットインへの変遷とみることができない
aプロダクト型の企業
Ex)Apple,Google
bマーケットイン型の企業
←P&G,アサヒ飲料
0-2-7マーケティング・マイオピア(T.レビット)
a製品の機能にのみ固着してしまうと事業を狭く定義することになり、変化に対応できず事業領域を失うこと
b企業は正しくマーケティングを実行できなければ、足元をすくわれてしまう
0-2-8マーケティング・マイオピアを超えて
a自らで自らの事業領域を狭めることのないように常に市場との関係において立ち位置を把握する努力が必要
b市場の変化に対応や順応できない企業や常に新たなことにチャレンジできない企業は、遅かれ早かれ淘汰されてしまう
第1章 マーケティング概念の変遷
1-1マーケティングの生成とその視点
1-1-1マーケティングの生成
a 19世紀後半から20世紀初頭のアメリカで誕生
b 始まりはアメリカ国内市場の停滞
←生産力に見合うだけの市場を見いだせない市場の問題によるもの
1-1-2 マーケティングの生成における2つの視点
a 社会経済学的な視点
←生産段階から消費段階まで商品がいかに流れているかに焦点
←対象にしているのは流通構造の解明や社会的効率性
b 個別企業的な視点
←各企業がそれぞれ生産する自社の商品をいかに流すかに焦点
←対象にしているのは円滑に消費者に商品を流すこと
1-2 マーケティング・コンセプトの変遷
1-2-1 生産コンセプト(生産志向)
a 経営者は生産及び流通の効率向上に重点をおくべき
←消費者は価格が手ごろで有用な製品を好む
b売り手市場の場合やコスト削減をしなければならない場合に有効
c 安さだけを消費者が望んでいるかについては注意が必要
1-2-2製品コンセプト(製品志向)
a消費者は品質と有用性に優れ、特徴のある製品を好む
→企業は常に製品の改良に努力しなければならない
b近視的マーケティングに陥らないように注意が必要
1-2-3販売コンセプト(販売志向)
a企業が相当な売り込みとプロモーション努力を行わない
→消費者はその企業の製品を多く購入しない
b顧客との長期的な関係よりも短期的な販売活動を重視する危険性
←販売活動に意識が集中
→注意が必要
1-2-4マーケティング・コンセプト(顧客志向)
a 標的市場のニーズと欲求を見きわめる
→競合他社よりも効果的、効率的に顧客に満足を供給すべき
b 顧客のニーズを常に考え、応えていくことが重要
1-2-5ソサイエタル・マーケティング・コンセプト(ソサイエタル・マーケティング志向)
a組織は標的市場のニーズを正しく判断
→顧客と社会の幸福を維持、向上させながら要望に沿う満足を効果的かつ効率的に提供すべき
b重要視すべきなのは、消費者、社会、企業の3者が長期的な視点で存続していけるための配慮
1-3マーケティング概念の移り変わり
1-3-1 生産から消費に至る財およびサービスの移転にかかわるビジネス諸活動(1935年、全国マーケティング教職者協会)
a反映されているのは社会経済学的(マクロ的)な視点
bマーケティング固有の研究領域を示すもの
1-3-2 生産者から消費者ないしユーザーにいたる財およびサービスの移転を管理するビジネス諸活動の遂行(1948年、1960年、AMA)
a主体は生産者(製造業者)
b反映されているのは個別企業的(ミクロ的)な視点
1-3-3マーケティングの概念拡張論(1960~70年、AMA)
a社会責任としてのマーケティング
b非営利組織のマーケティング
1-3-4個人および組織の目標を満たす交換を創出するために、アイデア・商品・サービスの概念形成、価格設定、プロモーション、流通を計画し、実行するプロセス(1985年、AMA)
a主体は組織
b「交換」という概念
←非営利組織や個人も含むため
1-3-5顧客に対して価値を創出し、伝達し、提供し、また組織とのステークホルダーに利益をもたらすやり方で顧客関係を管理するところの、組織的機能でありかつ一連のプロセス(2004年、AMA)
aマーケティングが組織的機能で一連のプロセス
b顧客に対して価値を創出
1-3-6 顧客、得意先、パートナーそして社会一般にとって価値ある提供物を、創造し、伝達し、配送し、交換するための活動であり、一連の制度であり、プロセス(2007年、AMA)
a 顧客、得意先、パートナーそして社会一般
←マーケティングの主体の対象の広がり
b 価値ある提供物を提示
←2004年の定義ではうまく捉えきれなかったマーケティングの適用範囲の広がりに対処
1-3-6顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現させるための構想であり、プロセス(2024年、AMA)
a マーケティングが固有の研究領域の基盤を整備
b マーケティングの考えが普及、浸透
→適用範囲が広がる
1-4サービスを起点としたマーケティング的思考のフレームワーク
1-4-1マーケティングの基本的前提が財中心の論理(G-Dロジック)からサービス中心の論理(S-Dロジック)へと移行する動き
a G-Dロジック
←グッズを中心
←主要な経済交換は製品(売り手)と貨幣(買い手)
←有形な資源、取引、モノに埋め込まれた価値に焦点
b S-Dロジック
←サービスを中心
←価値は共創されるというロジックで、無形な資源、リレーションシップ、価値の創出に焦点
第2章 マーケティング・マネジメントの枠組み
2-1 マーケティング・マネジメントの考え方
2-1-1 マーケティング・マネジメントの理解
a 実行する売り手の企業とその買い手である企業または最終消費者との2者間の関係の中で展開
b 双方を取り囲むすべての市場環境が多大な影響を与える
市場環境…企業にとって統制不可能な要因
c 企業は統制可能・不可能な諸要因の統合的な管理が必要
←自社を取り巻く複雑化・多様化する市場環境要因に適応するマーケティング・マネジメントの展開が必要
2-1-2 マーケティング・マネジメントの概念
a 企業を取り巻く統制不可能な環境要因(1957、J.A.ハワード)
←需要、競争、流通機構、非マーケティング・コスト、マーケティング関係法規
b マーケティングの諸方策
←製品、価格、広告、人的販売、マーケティング・チャンネル、立地条件
c 統制不可能な要因(1960、E.J.マッカーシー)(図表2-1)
←顧客、文化・社会的環境、政治・法律的環境、経済・技術的環境、競争環境、企業の資源
d 4つのPを効率的に組み合わせたマーケティング・ミックスの展開
→標的対象となる顧客を取り囲んでいくマーケティング・マネジメントの展開
e 顧客志向性
←現代のマーケティングの中心課題
2-2 マーケティング・マネジメントの基本的枠組みとプロセス
2-2-1 マーケティング目標の設定
a 具体的な数値目標を立てる
Ex)売上高何億円、市場シェア何%
b 各部門が実行可能なレベルまで落とし込んで考えることができる目標の設定が重要
2-2-2 STP戦略
←セグメンテーション(Segmentation)、ターゲッティング(Targeting)、ポジショニング (Positioning)の頭文字をとったマーケティング戦略の考え方
①市場細分化(Segmentation)
←地理的要因(地域、人口密度等)、人工動態的要因(年齢、性別、収入、国籍等)、心理的要因(社会階層、ライフスタイル等)、行動的要因(使用機会、使用頻度等)を基準に消費者を分類し市場の特性を明らかにする
a 市場セグメント…細分化された市場
②標的市場の設定(Targeting)
←市場の特性を把握したうえで参入すべき特定の市場セグメントを標的とする
③市場ポジショニング (Positioning)
←競合他社の戦略を検討したうえで、自社製品やサービスが、優位性を発揮するために市場の中でどのような位置取りをするのか決定
2-2-3 4Pと4C
a 4P: 製品 (Product)、価格 (Price)、流通 (Place)、プロモーション(Promotion)の各マーケティング要素展開戦略
b 4C: 顧客が求める価値(Customer value) 、顧客が負担する費用(Customer cost) 、利便性(Convenience)、双方的なコミュニケーション(Communication)
c 4Pと4Cの対応関係(図表2-2)
d 4P概念の重要性は失われていない
e 顧客視点の考え方が不十分だという考え方に基づき4C概念が提唱
←マーケティングの展開において顧客のニーズを重視することが企業の市場地位を確保するものとして重要課題であるため
2-2-4 マーケティング・ミックス
←4Pの最適な組み合わせのこと
a 4Pの各要素が顧客視点の立場から相互に結び付き、全体として適切でなければならない
2-2-5 マーケティング・ミックスの内的一貫性
←4Pにおける諸要素間の整合性が取れた状態
aどのような製品をどのように販売するかを策定する際、様々な要素を加味した想定が必要
b Product(製品)
①すでに市場において一定の支持を得ている製品
②まだ市場にはない新たなカテゴリーに製品を投入
c Price(価格)
①低価格帯で参入
②高価格帯で参入
d Place(流通)
①コンビニエンスストアやスーパーで販売
②百貨店や専門店で販売
③インターネット販売
e Promotion(プロモーション)
①テレビや雑誌などのマス媒体
②SNSやTwitterなどのインターネット
③店頭での販売員の推奨
2-2-6 マーケティング・ミックスの外的一貫性
←マーケティング・ミックスの諸要素がそれらを取り巻く企業の外部環境と整合性が保たれている
a「消費」…顧客の興味・関心の動向を注視しながら、常にニーズを満たす
b「競争」…競合会社との差別化を図り、優位性を保つ
c「取引」…より良い取引相手を探す(広告代理店、流通業者等)
d「組織」…これらを実行する能力を持っているかの検討
2-2-7 マーケティング・ミックスの実行と点検
a 以上のプロセスを経て策定されたマーケティング・ミックスを実行
b マーケティング・ミックスの点検
←マーケティング目標の達成度、実行中の外部環境の変化、対応の問題の有無などを追跡的に注視
c マーケティング・ミックスの完結はない
←市場は変化し続けるため
第3章 現代のマーケティング環境
3-1統計データから見る消費
3-1-1家計調査
a総務省が実施
b世代別の毎月の支出と品目別支出金額や増減率を知ることができる
c時系列で詳細なデータが得られる
d家計調査のデータを通じて、支出が何によって促進あるいは抑制されるか知ることができる
e 個人消費の増加が国の経済成長を支えている
←GDP(国内総生産)の55%が個人消費(家計最終消費支出)であるため(図表3-1)
f 消費支出全体は微減の傾向(図表3-2)
g 財とサービス(図表3-3)
←財60%、サービス40%
3-1-2基礎的支出と選択的支出
a 基礎的支出…食料、家賃、光熱費等
b 選択的支出…教育費、教育娯楽用耐久財、月謝等
c 選択的支出が抑えられている (図表3-4)
→消費支出を増加させ、GDPにおける家計最終支出の割合を大きくしたいならば、選択的支出を中心に増加する必要性がある
3-1-3消費支出で顕著な変化が見られる項目
a「被覆及び履物」(図表3-5)
b「通信費」(図表3-6)
3-2消費マインドと消費
3-2-1消費者態度指数(図表3-7)
a 消費者が自身の「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」に対する見通しを5点尺度(良くなる・やや良くなる・変わらない・やや悪くなる・悪くなる)で指数化したもの
b 実際の消費金額ではなく半年後の見通しを聞いたもの
←消費マインド
c 近年の消費マインドは40~50の間を推移し、安定した傾向
←支出に対して慎重
d 雇用環境における指数は大きく変動
e 消費者態度指数の各項目はほぼ連動
←各項目間の相関は高い
f 読み取れるのは消費者が周囲の環境に対する見通しに大きな影響を受けるということ
3-2-2物価の見通し(図表3-8)
a 「上昇する」と答えた人が8割
←支出が保守的になる
b 消費者行動は堅実かつ軟調
3-3新しい消費行動とマーケティング環境
3-3-1若者の消費行動の変化
a消費者意識基本調査(図表3-9)
←現代の若者の消費行動の特徴として体験重視、タイムパフォーマンス、コストパフォーマンスの3点が高齢者を上回る
bリキッド消費
←様々なものを「所有しない」選択をすること、「短命性」「アクセス・ベース」「脱物質」の3つの特徴
3-3-2環境・社会に対する消費者意識
a環境問題は、消費者・企業・社会に根付いている
b若者と高齢者の間で環境問題への関心にあまり差はない
c環境問題を重視する若者に何を訴求するか、企業は考える必要がある