担当;かゆ、なま、しし

 

3-0経済性分析 利益の最大化を目指す
3-1 限りある資金を有効に使う 3-1-1「利益をどのくらい上げることができるか」が 意思決定で欠くことのできない視点 ←一番利益が大きい選択を見極めるには計算が必要 3-2 Q3-1 友人にお金を貸す問題

3-2-1 3 人の友人に運転資金を貸してほしいと頼まれ ている状況
a 別々のスタートアップ企業を経営している根来、 山田、谷口の三人 →スタートアップ企業とは「革新的なビジネスモデ ルによって社会に変革(イノベーション)をもたら す企業」(NTT東日本)

b 3 人が求める金額はいずれも 200 万円、自分の手 元は 400 万円
c 条件は根来が年利 10%、山田が年利 15%、谷口が 年利 20%

d 3 人とも貸し倒れの心配はないとする
e 金融業を営む内田が、200 万円を年利 17%で貸す と提言
3-2-2 一番儲かるためには内田に借りず、利子の高い 山口と谷口に貸して、根来には貸さないという選択 a 3 人全員に融資しても損失は出ないが、3 人全員に 貸したら利益は最大にならない
3-2-3 山口と谷口にのみ融資をする理由
a 利子の高い順に手持ちの 400 万円を貸す
b 内田へ返す金利は 17%で根来からの金利は 10%の ため、根来に貸すと損をする
3-3-4 損をする理由を数字で表す
a 山田と谷口にのみ貸すとリターンは 30 万円と 40 万円で合計 70 万円
b 根来にも貸すと、儲けは 14 万円減り合計 56 万円 ←70 万円+20 万円(根来のリターン)-34 万円(内 田に返す利子分=56 万円
c 判断ミスをなくして、限りある資金を有効に使い 最大のリターンを得るために役立つのが経済性分析 →経済性分析は複数の選択肢の比較や、そもそもの 投資の必要性を判断するときに有効な方法 Ex)工場への設備投資、店の出店、投資

法政大学 社会学部

宇野ゼミ DM2 年

3-3 最も有利な投資ミックスを探す
3-4 Q3-2 3 つの投資案の組み合わせ
3-4-1 ある株式会社が X、Y、Z という互いに独立な 3 つの投資案から任意の組み合わせを選ぶ状況
a 各案とも一年間の投資で、それぞれの投資額と一 年後の獲得収益は表の通り
3-4-2 投資資金が 300 万、400 万、500 万の場合につ いて最も有利な投資ミックスを考える
a 300 万円の場合は利益率の高い X 案、二番目に高 い Y 案を選べばよい
b 400 万円の場合、X 案と Z 案の組み合わせを選ぶ と、X 案と Y 案の組み合わせより利益が 8 万円増 ←この場合、利益率が高くても、X 案と Y 案の組み 合わせを選ぶと 100 万円が残ってしまう
c 500 万円の場合は Y 案と Z 案の組み合わせを選ぶ と、X 案と Y 案の組み合わせより利益が 15 万円増 3-5 利益率の高いものから選び、「死に金」を減らす 3-5-1 利益を最大にするには利益率が高いものから 順に使える資金の範囲内で投資案を選ぶことが基本 3-5-2 手元に金が残ると、利益を生まない金を意味す る「死に金」が生まれる ←その場合、利益率は低くても、死に金が減る案を 検討して利益額が最大になるかを見ることが重要 3-5-3 投資案をビジュアル化
a 利益の高い順に左から投資案を並べる
b それぞれの四角形の面積は利益額を意味する
c 高さを見て利益率が高い順に投資案を選び、残り の資金で他の案に投資できない状態なら、面積を見 ながら投資案を入れ替えていく ←これを繰り返し、全体の面積が一番大きくなるよ うに投資案を選べばリターンが最大となる
3-6 資本コストで線引きをする(カットオフレート) →資本コストとはいろいろな手段で資金を調達する ために必要となる費用のこと Ex)投資家からの出資に対する配当、銀行の金利
a 資本コストは企業の信用力で変動する
b 信用力のある企業に比べ、先行きが見通しにくい スタートアップ企業への資金提供は尻込みされる ←その状況でスタートアップ企業は、投資家へのリ

2024年5月24日

ターンを増やす必要があり、資本コストは高くなる 3-6-1 資金を調達して投資する場合の判断を考える (Q3-2 は手元にある資金での投資の意思決定) 3-6-2 リターンが資本コストより下回る投資をする と会社の価値が損なわれる ←「リターンがこれより上に達しない投資はしない」 という意味で、資本コストを「カットオフレート」 と呼ぶことがある

3-7 利益率だけで割り切れないことも考慮する 3-7-1 資金をどう配分するかと意思決定をするため には、どの事業にどれだけ金がかかり、リターンが 得られているかを数字で把握する必要がある
3-7-2 この手法を表したものが PPM(プロダクト・ ポートフォリオ・マネジメント) →「市場の成長率」と「市場シェア」の 2 軸で分け られ、「問題児」「花形」「金のなる木」「負け犬」 の 4 つの分類(ステージ)からなる
a 市場の動向や企業の戦略によりステージは移行
b 限られた資金をどの事業にどう分配するかを考え る必要
c PPM のコンセプトは市場が成熟化し、得た利益を 将来性のある事業に回すというもの
3-7-3 自分たちの会社にとってベストの資産配分は 何かを考えることが必要
a 単純に利益率だけを見ていくと夢のない企業に 4-0 現在価値を計算する
4-1 キャッシュフローのディスカウント
4-1-1 同じ「1 万円」でも資本コストを考慮すると「今 日もらえる 1 万円」と「1年後にもらえる 1 万円」 は価値が同じではない ←お金を銀行に預ければ利子がつくあるいは株式投 資に回せば利子、配当がそれぞれもらえる 4-1-2「1 年後の 1 万円」は、「現在の価値」に直し たらいくらか?
a 現在の価値×(1+資本コスト)=1万円
b 現在の価値=1万円÷(1+資本コスト)
4-1-3 今日 1 万円もらった方が 1 年後に 1 万円もら うよりも得
←1 年後に 1 万円もらえるとしても今の価値にした ら 1 万円よりも少ない
4-1-4「1 年後の1万円」を現在の価値に直すと資本 コストの分だけ価値が下がる ←この計算を「割り引く(ディスカウントする)」 という
4-2 Q4 特許の買収価格上限は?
4-2-1 愛知食品株式会社はバイオケミカル技術で定 評のある信州工業株式会社が開発した技術特許の買 収を検討している

a この特許を取得すればロイヤリティ(特許使用料) を支払わずに済む
b この際費用支出は毎年度末に発生
c この技術特許の法律上の有効期間は 12 年残ってい るが実際に経済効果が期待できるのは 7 年 ←経済寿命は 7 年

4-3 Q4 の答え
4-3-1 もし資本コストを考えないで投資の効果を考 えたら 7 年間毎年 2 億円ずつコストを削減できる ←2 億円×7 年間=14 億円
4-3-2 そこから 10 億円差し引いて 4 億円の効果 4-3-3 しかし 10 億円を増資で調達または銀行から借 り入れすると資本コストがかかる ←資本コストを考えた計算が必要
4-3-4 1 年後から 7 年後までの 2 億円の現在価値を資 本コスト 6%で計算しその合計金額を投資額と比べ ることで投資効果が計算できる
4-4 将来のキャッシュフローを現在価値に換算する 4-4-1 最初に 10 億円を投資するとキャッシュフロー は大きくマイナス
4-4-2 1 年後から 7 年後まで毎年 2 億円のキャッシュ フローが得られる
4-4-3 毎年の 2 億円を現在価値に換算すると金額は 減る
4-4-4 名目の金額(白い棒グラフ)と現在価値(黒い 棒グラフ)の差は毎年大きくなる ←7年後には3分の2くらい
4-4-5 キャッシュフローの現在価値を合計すると 11 億 1648 万円
4-4-6 そこから投資額の 10 億円を差し引くと投資の 効果は 1 億 1648 万円と算出できる
4-4-7 資本コストを無視して毎年 2 億円のリターン が 7 年続くから 14 億円の価値がある投資だと考え た場合に比べて投資効果はずいぶん減る ←資本効果を無視して投資判断をすると後で痛い目 に遭う
4-5 NPV と IRR
4-5-1「正味現在価値」
→(以下 NPV=ネットプレゼントバリュー) ←将来得られるキャッシュフローの現在価値の合計 額と投資額(キャッシュフローはマイナス)を合算 した金額
4-5-2 NPV=C0+C1/(1+r)+C2/(1+r)2+C3/(1+r)3+...+Cn/(1+r) n
a C0 は投資額
→この値はマイナス
b Cn は得られるキャッシュ

c r は資本コスト
d n は期間
4-5-3 NPV がプラスなら資本コストを考慮した収支 は黒字 ←将来得られるキャッシュフローの現在価値の合計 額が投資額を上回る
4-5-4 Q4 で特許の効果が続く期間が 7 年ではなく 6 年だったらどうなるか
4-5-5 7 年目で得られるはずだった 1.33 億円が無く なるので将来得られるキャッシュフローの現在価値 の合計額は 9.8 億円になり投資額を下回る
←NPV がマイナスになり損をする
4-5-6 現在勝ちの計算で鳥栖市するための条件を探 ることができる
4-5-7 特許の効果が 7 年続いても資本コストがもっ と高かったら
a 9%なら将来得られるキャッシュフローの現在価値 は10億659万円
←かろうじてペイできる
b 10%を超えると 10 億円を下回りペイしない
4-5-8 9%~10%の間に収支が過不足 0 の境目がある ←NPV=0
4-5-9 その境目に当たる数字を内部収益率という(以 下 IRR=インターナルトレート・オブ・リターン) 4-5-10 NPV と IRR は親戚 ←資本コストを決めて計算して出てくるのが NPV で NPV が 0 になる資本コストのことを IRR という 4-5-11 C0+C1/(1+r)+C2/(1+r)2+C3/(1+r)3+...+Cn/(1+r)n=0 ←この方程式を解き r を計算することによって IRR を求めることができる
4-5-12 エクセルを用いればすぐに答えを求めること ができる
4-5-13NPV や IRR の計算をする時には前提を変えな がら色々なパターンを試していくと議論がしやすい ←いろいろな想定をしながら数字に置き換えていく ことが重要
5-0 本当に儲かっている製品はどれか? 5-1「黒字製品」だけを生産すると儲かるのか? 5-2「赤字製品」が実は儲かっていた?
5-2-1 株式会社やまもと工業は製品 A 製品 B を毎日 それぞれ 1 ロット(100 個)生産している
5-2-2 どちらの製品も1ロット作るのにかかる時間 は4時間
5-2-3 材料費・変動経費は生産量に比例するコスト 5-2-4「直接労務費」
←月給方式での人件費を 1 日あたりに換算しこれを 実労働時間に比例して製品に割り振ったもの

5-2-5「間接経費」 ←月々固定的に生じる設備費用や営業経費
5-2-6 表 5-1 の利益計算
a製品Aの利益
←1日3万円
b製品Bの利益
←1 日マイナス 1 万円の赤字
5-2-8 表 5-2 の利益計算
5-2-8 赤字の製品 B をやめにして黒字の製品だけを 作ることにしてしまうと利益が出ない
5-2-9 表 5-3 の利益計算
←製品 B だけを毎日 2 ロットずつ作ると利益は 6 万 円
5-3 間接利益を割り振る前の収益力を見る
5-4Q5 の答え
←表 5-1 の間接経費の割り振りの方法では不適切 5-4-1 表 5-1 では間接経費を割り振るときにそれぞれ の売上高に比例した配分にしている ←2つの製品の収益性を比較するときは間接経費を 割り振る前の粗利を比較する必要がある
5-4-2 売り上げから材料費・変動経費と直接労務費を 引いた金額
←粗利
5-4-3 間接経費を割り振る前の粗利を比較すると製 品 B の方が大きい
5-5 ルール通りに会計処理した数字が意思決定に役 立つとは限らない
5-5-1 製品別の収支計算には色々な考え方がある 5-2-2 個々の製品に間接経費を分ける場合その分け 方が重要
5-2-3 間接経費の配賦は自由で正解がない
5-2-4 どちらが儲かっているかを知りたいなら間接 経費を配賦する前の利益を比較した方がいい

Part2 不確実性のマネジメント
6-0 ライバルの出方を想像して打ち手を考える 6-0-1 競争上の意思決定
a 自分の打ち手よりもライバルの出方
6-1 Q6 牛丼店チェーンの値下げ競争
6-1-1 牛丼店チェーン大手3社
6-1-2 吉野家
a 一番の老舗
b かつてはメニューが牛丼のみ
6-1-3 松屋
a バラエティー豊富なメニュー
6-1-4 すき家
a バラエティー豊富な牛丼の具
b ファミリーで入りやすい店舗展開

6-1-5 すき家、松屋が牛丼を値下げ 6-1-6 牛丼並盛りの価格
a すき家 350 円→280 円
b 松屋 380 円→320 円

6-1-7 吉野家の決断
a 牛丼並盛り 380 円
6-1-8 値下げする
a 松屋並に値段を下げる
→味噌汁の有無
→ターゲットが同じ顧客層
b 320 円まで下げる →価格競争に終わりはない
c サイドメニューを充実させ、牛丼は最安値に d メニューを絞り、牛丼単品に

→年間利益は共に 100 万円
b A 社が駐車場を大型化、B 社は現状維持
→A 社の年間利益が 150 万円に増加、B 社の年間利 益は 70 万に減少
c A 社は現状維持、B 社が駐車場を大型化
→A 社の年間利益が 70 万円に減少、B 社の年間利益 は 150 万円に増加
d 両社とも駐車場を大型化
→年間利益は共に 120 万円
6-3-5 両社とも相手の出方関係なく駐車場を大型化 する方が有利
6-4 前提が変わると予想される結果は変わる
6-4-1 大型化してもあまり利益が伸びなかった場合 a 両社とも現状維持
→年間利益は共に 100 万円
b A 社が駐車場を大型化、B 社は現状維持
→A 社の年間利益が 120 万円に増加、B 社の年間利 益は 60 万に減少
c A 社は現状維持、B 社が駐車場を大型化
→A 社の年間利益が 60 万円に減少、B 社の年間利益 は 120 万円に増加
d 両社とも駐車場を大型化
→年間利益は共に 80 万円
6-4-2 両社とも大型化すると「共倒れ」
6-4-3 まずは競合の出方を予想するべき
6-5 囚人のジレンマ
6-5-1 逮捕された 2 人組の銀行強盗
a 2 人とも黙秘
6-5-2 警察が示した条件
a 2 人とも黙秘を続ける
→2 人とも懲役 1 年
b 1 人が自白
→自白した方は無罪放免、もう 1 人は懲役 8 年
c 2 人とも自白

→ローコスト
e 商品によって価格帯を分ける
Ex)250 円、380 円、500 円に分け、最安値の 250 円
で引きつける
6-1-9 値下げしない
a 牛丼で利益を出す必要性
6-1-10 様子を見る
6-2 値下げする場合の分かれ道はどこか?
6-2-1 顧客セグメント
a安さ
b 非価格要因
6-2-2 競争相手の動き
6-2-3 業界外も含めた顧客の動き
→牛丼の総需要
6-2-4 ゲームは繰り返される
6-2-5 実際の吉野家の決断
a 値下げしない
6-2-6 2010 年上半期の各社の業績
a 客単価
→すき家−10%、松屋−11%、吉野家−1%
b客数 →2人とも懲役5年

→すき家+25%、松屋+12%、吉野家−14% c 売上高 →すき家+12%、松屋+−0%、吉野家−14% d吉野家の1人負け

6-3 競争相手より利得を増やす
6-3-1 ゲーム理論
→数学的な分析手法
6-3-2 マトリックス形式による分析 →自社とライバルの 2 者が競い合っている場合の意 思決定問題が対象

6-3-3 近隣で競い合っている小売店の A 社と B 社 6-3-4 両社とも駐車場の大型化を検討
a 両社とも現状維持

6-5-2 2 人とも自白する可能性が高い →お互い「裏切り」を選択
6-6 半数の人は「裏切り」を選ぶ
6-6-1 2 人とも黙秘 →これからも共に強盗をやるような関係だった場合 6-6-2 自分だけ黙秘 →相手に対する力関係が弱い場合

6-6-3 半数近くが「黙秘」を選ぶ →人間は必ずしも「合理的」な意思決定をするわけ ではない
6-6-4 半数近くが「裏切り」を選ぶ →相手からの「裏切り」も想定内に入れて意思決定 する必要性