担当:ぜま

 

1ヒップホップ

 

1-1 ヒップホップの誕生

1-1-1ニューヨークのサウスブロンクス地区で誕生

aストリート・ギャングが多い

←市街地などの路地で活動する暴力的犯罪者集団の末端組織

1-1-2ディスコの流行

a四つ打ちのビートとファンキーなベースやパーカッションが特徴のダンスミュージック

bレコードに合わせてダンスを踊るクラブ

c麻薬の売買や使用の場

dダブル・ミーニングの衰退

←ブラックミュージックの特徴である歌詞の間接的表現

 

1-2ヒップホップの特徴

1-2-1スラム地区の影響

←極端な貧困や暴力、ドラッグ使用が多く見られる

a反抗心を表明する

bストリート的な価値観

c攻撃的な要素

1-2-2歌詞の内容

←自己主張や現実を訴える

a自慢話

b説教

c罵り

d批判(dis)

eビーフ(Beef)

 

2 ヒップホップの4要素
 

2-1 DJ

2-1-1 DJとは

aダンサー達が踊る音楽が途絶えないように曲をつなげる

bダンサーが満足するような技術を競う

2-1-2ヒップホップサウンドの特徴

aディスコ・ミキシング

←2枚のレコードをつなげてかける手法

bダブ・サウンド

←ジャマイカ発の音楽レゲエが発展したメロディーよりもリズム重視の音楽

cトースト

←DJがかける音楽のリズムに乗っておしゃべりをする

2-1-3ブレイク・ビーツ

aジャマイカ出身のDJクール・ハークが生み出す

b 3つのサウンドを組み合わせることに成功

cブレイクに注目

←メロディーを一時停止してベースやドラムなどのリズム演奏にする

dブレイクパートのみをつなぐことでダンサーが好む音楽を作成

eよりマイナーな楽曲のブレイクで場を盛り上げたものが賞賛される

2-1-4サンプリング

←過去の音源を新たな楽曲の一部にする

aあらゆるジャンルの音楽がブレイクビーツの素材

b掘る(dig)←レコードから音を探し競争する

 

2-2ブレイキング

←ダンスフロアで自分だけのスタイルを作り出す

2-2-1ブレイクダンス

aダンス・サイファー

←輪になってフリースタイルダンスを競い合う

b B-BOYの登場

←ブレイクダンスをする少年達をクール・ハークが命名

cギャングへの影響

←ダンスバトルの勝者が決闘の場所の決定権を保持

 

2-3ラップ

2-3-1ラップの起源

aラスト・ポエツ

←パーカッションに合わせた詩の朗読

b曲中に語りを挿入する黒人音楽

cモハメド・アリがメディアで披露した即興の語り

dトースト

e西アフリカの伝統グリオ

←世襲制の語り部

fダズンズ

←二人の少年が即興で韻を踏みながら悪口を言い合うのを数人のギャラリーが見守るゲーム

 

2-4グラフィティ

2-4-1グラフィティアート

aタギング

←貧しい子供が注目されるために街中に自分の名前を書き印す

b地下鉄など公共の場所になるほどアーティストのレベルも上がる

c絵を描くアーティストが増加

 

3 ギャングスタラップ

←ギャング団に属する若者達の文化が生み出したラップ

 

3-1ギャングの歴史

3-1-1ギャングとは

a奴隷解放後それぞれの都市で黒人居住地が出来上がる

b都市労働者たちの中から黒人ギャングが誕生

3-1-2ロサンゼルスのギャング団

aブラックパンサー党が勢いを失い若者が新しいギャング団を結成←ベイビー・アヴェニューズ

b LA最大のギャング団クリップスへと成長

←メンバーが3万人程の巨大ギャング組織

c 1970年代には勢いを失う

 

3-2ヒップホップの創始者

3-2-1アイスT

aニュージャージー出身

bサウスセントラルに移り住む

←ロスの中でも最も治安が悪いエリア

cクリップスとの関わり

d自らの体験談を誇張した歌詞

3-2-2アフリカ・バンバータ

a最強のギャング団ブラック・スペーズの総長

bギャング団の仲間を集め音楽中心のパフォーマンスグループを開始

cユニヴァーサル・ズールー・ネーションの創設者

←初のヒップホップ組織

dヒップホップの4大要素の提唱者

e暴力での抗争を止めるためにヒップホップ文化で仲間の団結を図る

 

3-3時代背景

3-3-1ビルボードの変化

a順位の計算方法を変更(1991年)

bコンピューターのバーコードスキャン導入

←全米展開のモールのチェーン店の数字も加味

c郊外のモールは白人中産階級が購買層

d R.E.M. 『アウト・オブ・タイム』(1991年)

←変更前の全米アルバム売り上げ1位

e NWA『ニガズ4ライフ』(1991年)

←変更後全米アルバム売り上げ1位

fヒップホップが白人に広がる

3-3-2ロス暴動(1992年)

aスピード違反で逮捕された黒人男性に20以上の白人警官が暴行を加えたが無罪判決

bロサンゼルスのアフリカ系アメリカ人が暴動

c 50人以上の死者

d 3600件以上の放火

3-2-2ロサンゼルス

a南部のスラム化

←地元の工場撤退が原因

b黒人若年層の貧困化

←1980年代後半失業率45%

cクリップス、ブラッズの誕生

←サウスセントラル地区を支配したストリートギャング

d麻薬売買、暴力行為の日常化

 

3-4実際にギャングだったアーティスト

←多くの黒人ギャングスタ・ラッパーは中産階級出身

3-4-1 NWA(Niggaz Wit Attitudes)

aイージー・E

←メンバーの中で唯一のギャング

bイージー・Eがドラッグ売買の金でレコード会社設立←ルースレス・レコード

cアイス・キューブ

←本人はフェニックス工科大学出身で不良経験がないが仲間の話を歌詞にするリリック担当

d独立系会社プライオリティから100万枚以上売り上げ

e激しい反発的な歌詞が不況で厳しい生活を強いられている若者から支持を集める

fラジオ局が放送を自粛したりとプロモーション活動が少ないにも関わらず口コミで売り上げが伸びた

g音楽業界のヒップホップに対する認識を一新

 

3-4-2 NWA内紛

aグループの儲けをリーダーであるイージー・Eが独占

b不満を抱いたアイス・キューブが脱退(1990年)

c NWA「100 Miles and Runnin’」 (1991年)でアイス・キューブを臆病者扱い

dドクタードレーも脱退しソロ曲「The Chronic」でイージーを口撃

eイージーは全曲をドレーへの攻撃に費やした「It’s On(Dr.Dre)187um Killa」を発表(1993年)

fイージー・Eはエイズの合併症で死去(1995年)

g病床でイージーとドレーは和解

 

3-5メディア進出

3-5-1白人層からの人気

←不良のイメージがヘヴィ・メタルからヒップホップへ移行

3-5-2 MTV『Yo! MTV Raps』(1988年)

←白人ロックファンが主要な客層

3-5-3『ヴィレッジ・ボイス』(1988年1月)

←「ヒップホップ・ネーション」と題した特集を組む

3-5-4ヒップホップ専門誌『ソース』

aハーバード大学のユダヤ系白人学生2人により創刊

bネットを利用して全米規模の情報ネットワークを作成

cミュージシャン、プロモーター、ラジオDJ、CD小売店、ファンを結びつける画期的な雑誌

 

3-6特徴

3-6-1歌詞のイメージ

a暴力的

b女性蔑視的

c西海岸の風景を活かした詩的表現

d実生活に忠実な表現

3-6-2音の特徴

a残響効果のある音

bカーステレオで聴きやすい響くサウンド

←ロサンゼルスの車社会の影響

 

4 東西抗争

4-1レーベル間の対立

←東海岸バッドボーイと西海岸デス・ロウ

 

4-2ビーフ

←アーティスト同士がお互いの楽曲を通して批判や罵倒して戦う

 

4-3 2PACとノトーリアスBIG

4-3-1 2PAC

a西海岸を代表するラッパー

b両親がブラック・パンサー党員

←1960年代から1970年代にかけてアメリカで黒人民族主義運動、黒人解放運動を展開していた政治組織

c映画『ジュース』(1992年)で銃を手に入れ狂気に陥るティーンを演じ私生活もギャングスタのようなイメージが定着

dファンへの強姦容疑で起訴

e裁判の前日に何者かに射撃された

fデス・ロウのオーナー、シュグ・ナイトが保釈金を支払い移籍

gラスベガスで何者かに射殺(1996年)

hアルバム「マキャベリ」(1996年)

←イタリアの政治思想家マキャベリが敵を騙すために死亡説を流したことから2PACが生き返った噂が広まる

4-3-2ノトーリアスBIG

a東海岸を代表するラッパー

b通称ビギー

c 2PACと一時期親交があった

d 2PACが起訴された事件に居合わせる

e事件直後に「Who Shot Ya?」誰がお前を打ったのかな?をリリース

f 2PACはビギーが自分を殺そうとしたと思い込む

gノトーリアスB.I.Gが射殺された(1997年)

h死後セカンドアルバム「Life After Death」をリリース

 

5 デフ・ジャムの影響

 

5-1デフ・ジャム

←1980年〜1990年代に活躍したヒップホップレーベル

5-1-1誕生の背景

aブラックミュージックの発信源は貧しい黒人居住居住地帯

bブラック・ベルト

←都市部を出た黒人中産階級が住む郊外の新興住宅地

cブラック・ベルトで生まれ育つ子供たちが生みだしたレーベル

5-1-2誕生(1984年)

aユダヤ系白人のリック・ルービンと黒人ラッセル・シモンズによって設立

b人種の壁を越えることを方針に多人種を雇用

cポップミュージックとの融合を試みラップの購買層拡大に成功

 

6 現代のヒップホップ

 

6-1購買層の変化

←ラップアルバムの購買者の70%が白人(2002年)

 

6-2ヒップホップアーティストの特徴

←富を手にしたアーティストの増加

6-2-1ファッション

aオーバーサイズの服

bキャップやバンダナ

c独自のブランド

←服だけでなくレストラン経営や不動産事業も展開

 

6-3エミネムの登場

6-3-1エミネム

a白人のギャングスタラッパー

b貧困層の強調や人種差別的な言葉の使用を拒絶

←黒人ラッパーは歌詞の中で人種差別的な用語をあえてポジティブに用いる

c暴力的、女性蔑視的表現は使用

d NWAのドクタードレーと密接な関係

6-3-1二面性

aヒップホップアーティスト

←性差別的かつリアルな言説

bロック・ミュージシャン

←アメリカ白人青年としての内面の率直な表現

6-3-2ビーフ

←黒人と並ぶラッパーとして認められるきっかけに

aエミネム対ベンジーノ

b白人ラッパーエミネムに対しボストンのラッパーベンジジーノは白人だから売れたと批判

c自身が経営に参画する『The Source』誌を通じて執拗に攻撃

dエミネムはミックステープで応戦

eベンジーノはエミネムが黒人女性を差別的に批判した未発表の楽曲を入手し雑誌の付録にする

fエミネムは16歳の頃に黒人女性にフラれた衝動で作ったものだと弁解

g『The Source』のやり方に批判が殺到し収益が悪化

hベンジーノが経営から外れる

 

7 女性ラッパー

 

7-1女性ラッパーの4タイプ

←シンガーとしても活動する民族音楽学者シェリル・キーズが分類

7-1-1クイーン・マザー

aアフリカの宮廷文化のイメージ

(ex)皇太后が権力を保持する16世紀ナイジェリア

bアフリカの王族風ファッション

cアフリカ系アメリカ人女性の地位向上を訴える歌詞

dクイーン・ラティファ

←1989年にデビューした女性ラッパーの第一人者

7-1-2フライ・ガール

a女性らしいセクシーなファッション

←ミニスカートやハイヒール

b独立心のある強い女性

c現在の黒人女性アーティストの主流

dヨーヨー

←女性権利運動でも活躍する女性ラッパー

7-1-3シスタ・ウィズ・アティテュード

a攻撃的、傲慢、反抗的

b差別的な用語をあえて歌詞にすることで肯定的な意味に変える

cリル・キム

7-1-4レズビアン

a 90年代後半に出てきたタイプ

bクイーンペン

←白人のレズビアンには許されている音楽表現が黒人女性には認められないと発言した女性ラッパー

 

7-2歌詞中の女性

←あくまで批判的、攻撃的なヒップホップの特徴に過ぎない

7-2-1歌詞に描かれる女性

a男性の成功を阻害する

b過剰な母性信仰

(ex) 2PACの「ディア・ママ」(1995年)

 

7-2-2ラップのフィクション性

aダズンズの名残

←いかにクリエイティブに悪口を言うか

bアーティスト自身が女性差別者というわけではない