担当:わさ、ぜま、やゆ、きの
 
以後 マーケティング= MK
   プロモーション=PM
   プロモーション・ミックス=PMM
 
第11章 PM政策
 
11-1PM活動の役割
a 広告をはじめとするPM活動
a-1自社の製品を知名してもらい、想起集合に含め、確信をもって正しく理解してもらう狙い
a-2 企業は多額の支出を投入、消費者の購買を導く
 
11-2 消費者の情報源とPM
a さまざまな情報源と接触し、情報を取得
b 消費者情報源の分類 
 
11-3 PM手段の6類型
a 広告
a-1きわめて広範囲の人々に情報を露出しうる方法
広告の媒体
←テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、交通(電車内の広告など)
b ダイレクト・メール
b-1受け手を特定したなかでのPMであり、きめ細かな情報伝達が可能
c 人的販売
c-1 消費者と直接接触して、人的情報源を通して消費者へのコミュニケーションに携わる
c-2 一対一の双方コミュニケーションによって、消費者への説明にあたれる特色
c-3 小売店頭スペースの確保が重要
d パブリシティ
当該企業による直接の支払いなしに行われるその企業の製品などについての情報提供を促進する活動
d-1 プレスリリースも含まれる
d-2 情報の送り手が企業ではなく第三者
←偏った物の見方なしで受け入れられやすい特性
e SP(sales promotion)
e-1 最終顧客や流通業者に提供される、主に短期的な効果を有する販売促進手段
←店頭ディスプレイ、試供品配布、クーポン、コンテスト、懸賞、プレミアム、実演など
e-2 消費者の注目を引き、試用を促進する
f イベント
f-1 オリンピックやワールドカップのようなスポーツ・イベント、娯楽や芸術のイベント、フェスティバル、フェアなど
f-2 イベントスポンサーによる知名度の向上、好イメージの形成が可能
f-3 コンテストや懸賞などのSPの機会も提供される
g PMM
g-1 これらのPM手段により、消費者に直接情報を提供する
g-2 コントロール不能な情報源に働きかける
g-3 消費者へ好ましい情報の伝達を促進
 
11-4 消費者情報源としてのインターネット
a 1990年代中頃、急激に普及・発展したインターネット
b 新たな購買場所提供や豊富な情報の取得が可能
11-4-1 インターネットにおける消費者情報源のタイプ
a 企業、組織、個人などが設置するホームページ
b 問い合わせを行う、ダイレクト・メールを受け取り
c 消費者生成メディア(CGM) (Consumer Generated Media)
c-1 多くの人々が情報を提供し、閲覧することが出来るCGMから情報を取得
c-2 この情報提供や閲覧の過程で、インターネット上にコミュニティが形成
←インターネット・コミュニティ(ネット・コミュニティ)
11-4-2 双方向性と個別性
a 消費者情報源としてのインターネット
a-1 非人道的、人道的情報源どちらにも機能する
b コミュニケーション手段としてのインターネットは、消費者情報源4類型のいずれにも事実上対応する
 
11-5 PM手段としてのインターネット
11-5-1 PM手段としてインターネットの諸形態
a インターネットは消費者の情報源であり企業のプロモーション手段
a-1ネットとリアル双方における多様な消費者情報源に働きかけるための、さまざまなPM手段を提供
c バナー広告
←ホームページ等で見られる細長い旗型の広告
d クロスメディア
←多様なPM手段(メディア)の相互作用を活用するやり方
11-5-2 PM手段としてのインターネットの特徴
a 到達顧客数が極端に少ない
a-1サンプル配布やダイレクト・メール送付は低コストで膨大な数の消費者に到達可能
b 消費者が入力する検索キーワード
b-1検索結果とともに関連の深い広告は提示する検索連動型広告
c インターネットの登場は新たな位置づけとなった
 
11-6 PMMとPM目的
a PM政策←様々なPM手段の統合的なあり方を定めるもの
a-1消費者の購買意思決定過程や代替案評価過程に基づいたPM目的を達成すべく策定される
a-2重要な6つの決定事項←補論11-1
b PMM
b-1 PM目的に大きく依存
c新製品の場合は広告の有用性が高まる
c-1広告の媒体特性
c-2低関与学習 exテレビやラジオなどの電波広告
c-3想起集合の形成につながる
d製品理解の向上の場合は店員の説明や現物の露出が有効
d-1店頭での人的コミュニケーション
d-2非耐久財はSPによる試用の促進
d-3印刷広告
e購買関与度が低い製品の場合は低関与学習が大きな役割を果たす
f電波広告
f-1時間が限られているため、メッセージのデザインが必要
g小売店頭での売り場スペース確保のため、メーカーの広告が小売業者に影響を及ぼす
 
11-7プッシュ対プル
a PM目的が同じであっても、製品タイプや対象とする消費者の特性が異なればPMMは変わる
11-7-1プッシュとプルの違い
aプッシュ型←消費者のPMにあたり、小売店舗での販売説明や推奨販売に重点をおくやり方
a-1流通チャンネルの行動をいかにコントロールしていくかが重要
bプル型←自身の製品力と広告による消費者の働きかけによって指名購買を導き、それを元に流通チャンネルによる取り扱いを確保することに重点をおくやり方
b-1メーカーからの直接的な働きかけにより消費者が製品を買う気になれば、小売業者、卸売業者にもその製品を取り扱う意欲を高める
c現実にはほとんどの企業がプッシュ型活動とプル型活動の双方を行なっている
11-7-2製品間比較や時系列的傾向
a上記よりプッシュ型とプル型の違いは、製品間や企業間あるいは時系列的な比較において語られることが多い
bインスタント食品と自動車
c戦後日本のMKはアメリカと比べるとプッシュ型を取る場合が多くみられた
d家電流通では中小小売店がプッシュ型であり、量販店がプル型
11-7-3消費者製品判断力
aプッシュ型とプル型を左右する1つの大きな要因は購買にあたっての消費者が当該製品に詳しいかどうかである製品判断力
a-1消費者の製品判断力が低くなればプッシュ型、高ければプル型
11-7-4企業側要因
aプッシュ型とプル型のバランスは企業の経営資源やMK戦略によっても規定される
bいかなる流通チャンネルを有しているのかは大きな影響を与える exパナソニックとソニー
 
11-8インターネット環境でのPMM
11-8-1インターネット環境でのPMMのあり方
a考慮すべき第1はPM目的であり、それに応じた形で、インターネットを含めた様々なPM手段が選択される
bインターネット環境のもとでも、消費者の製品判断力が高い時はプル型
b-1詳細な情報をネットなどで伝達
b-2ホームページを中核に置いた情報提供
d消費者の製品判断力が低い時はプッシュ型
d-1個別のコミュニケーションを重視
d-2店頭での人的コミュニケーションの重要性
d-3リアルの世界における情報提供
cネットにおいても電子メールなどのツールを用いてコミュニケーションをとることは、ある程度までは可能
11-8-2ネット・コミュニティの活用
a CGMの構造や運用のやり方によって、消費者の製品判断力が高い時、低い時どちらにおいても情報提供手段となる
b企業以外が主宰のネット・コミュニティ←直接的なコントロールが及ばない可能性
c企業が主宰であってもコントロールを強めるとネット・コミュニティの機能が低下
11-8-3ネット・PMの今後
a個々のPM手段の特性が変化、新たなPM手段が登場する可能性
 
11-9まとめ
a PM活動
a-1 PM活動に関する適切な政策
補論11-1PMの6Mモデル
a Market PMの標的←当該製品の標的市場の中で、どの部分へ情報提供を行うか
b Mission PMの目的←市場で販売を促進する上で、どの部分への働きかけが最も有効であるか
c Message PMによって伝えるべき情報内容←送るべき情報内容はPM目的で決まる
d Media PM手段の組み合わせと投入時期←いかなるPMを構成するか
e Money PM予算←PM活動の予算をいかにするか
f Measurement PM効果の評価方法←データ分析
 
第12章 流通チャネル政策
 
12-1 流通チャネル政策の特質
aメーカーと流通チャネルは雇用、契約、人間関係によって半ば固定的に結ばれる
b模倣や変更が困難であり、優れた流通チャネルは重要な競争優位の源泉
c消費者の購買行動との適合が求められる
d日本のMK展開は囲い込み←メーカーが流通業者との間で固定的な取引関係を結ぶ
e 1980年頃から量販店のような多数メーカーの製品を扱う流通業者が優勢
g 2000年代インターネットの普及により流通チャネル政策のさらなる展開
 
12-2 流通チャネル選択の諸側面
12-2-1 流通サービス水準
aメーカーの製品が消費者に消費されるための流通機能 ex 所有権移転,在庫,輸送,マッチング(品揃え形成),取引条件に関する合意形成,金融
b分業によって生産者と消費者が分離している限り流通機能は必要
cチャネル・メンバー←チャネルを構成する流通業者
d最終消費者との間の機能分担が必要
eメーカーや流通業者の分担が大きく消費者が少ないと流通サービス水準が高い
fロットサイズ、空間的利便性、配達時間、製品多様性、付随サービスによって測定
g流通サービス水準が高くなれば流通費用、価格も上昇
12-2-3 流通チャネルの広さ・長さ・開閉基準
a直接流通か間接流通かの決定
b流通チャネルの広さ←いくつの小売店で販売するか
c取扱小売店数減少で流通政策は開放的から選択的に
d特定地域や製品に独占的販売権を与える排他的流通
e購買関与度、販売時の説明の必要性、在庫費用が低いほど広いチャネルが適切
f流通チャネルの長さ←メーカーと小売店の間にいくつの卸売業を介在させるか
g流通チャネルの長さと広さは密接な関係
h流通チャネルの開閉基準←個々の流通業者の総仕入れ量に占める当該メーカーの比率
i比率が高い方がメーカーにとって流通業者へのコントロールが容易
jどのような業態の小売店で販売するかとも密接に関係
k複数のチャネルを同時に採用、インターネットと小売店の双方で販売する場合もある
 
12-3 延期と投機
a延期と投機←チャネル・メンバーに最も効率的に機能を配分するための手立て
b延期←流通チャネルのメンバーが流通機能の遂行とリスクを他に転嫁
c投機←リスクを引き受ける
d投機のメリット←小売店は一括大量購入でコスト削減
e投機のデメリット←半年先までの需要を見込むリスク
f延期のメリット←一週間ごとに需要動向を見直せることでリスク減少
g延期のデメリット←少量発注の為生産や物流のコストが割高
hメーカーからコンビニに至る流通チャネルでは延期型の取組が盛ん
 
12-4 流通チャネルのタイプ
aメーカーと各チャネル・メンバーとの関係は総合システム、市場システム、管理システムに区別
exメーカー→小売店というチャネル
総合システムではメーカーが小売段階を垂直統合
市場システムではメーカーが市場取引で小売店に販売
管理システムでは小売店に対しメーカーの流通系列化
12-4-1 垂直統合への制約
a 最終消費者への販売をメーカー自身が行うことで小売段階を自由にコントロール
b垂直統合は難点が多い
c多数の小売店が必要になり膨大な固定費がかかる
dインターネットによる通信販売は固定費削減が可能
e最終消費者の販売に伴うリスクの分担、吸収が不可能
f複数メーカーを扱う小売店に比べ収益性が低下
12-4-2 市場取引
aメーカーが小売店との間を市場取引に委ねる
b小売店は特定メーカーにこだわらず自由に営業活動
c消費者への販売における不確実性が分担
12-4-3 流通系列化
a小売店が固定費を自己負担し消費者への販売におけるリスクをメーカーと分担
b系列関係により小売店から優先的な扱いを得る
12-4-4 流通チャネル・タイプの選択
aメーカーがどの流通チャネルを選択するかが重要
b様々な組み合わせの中から実行可能なものを選択
 
12-5 流通チャネル管理
12-5-1 流通チャネル管理とは
a流通チャネル管理←間接流通においてメーカーが流通業者の行動をコントロールする
b自社製品の取扱と優先的販売努力の確保が目的
12-5-2 パワー資源
a報酬、制裁、正当性、一体化、情報、専門性の五つの要素から成るパワー資源
b報酬←メーカーが流通業者に提供する報酬
cマージン(売値と仕入値の差額)やリベート(メーカーから支払われる販売奨励金)といった金銭的報酬
d制裁←報酬の削減
eメーカー依存度(流通業者の仕入額に占める当該メーカー製品の比率)を高める必要
f正当性←メーカーとの資本関係やメーカーとのフランチャイズ契約
g一体化←メーカーとの歴史関係の深さ、風土や戦略の
類似性などによる一体化の感情や欲求
h情報・専門性←当該メーカーによるコントロールの見返りに得られる情報やノウハウ
 
12-6流通系列化とパワー資源
12-6-1パワー資源確保の具体例
a流通系列化に際して、メーカーにとって多くの場合必要なのは、メーカー依存度を高めること
bメーカー依存度を高めることで報酬と制裁のパワー資源が可能に
cある流通業者のメーカー依存度の増大に伴い、メーカーの売り上げに占めるその流通業者の比率が大きくなると、今度はメーカーに対する流通業者の発言力が高まる
d各流通業者に対して、メーカー依存度を高める一方、流通業者依存度を低めることが重要
12-6-2流通系列化競争の手立て
a流通業者としては、特定メーカーの系列に属することにより、品揃えを制約される反面、そのメーカーの中で販売可能性の高い製品ラインを与えられ、様々な経営指導を受けることができる
 
12-7流通チャネルとしてのインターネット
12-7-1直接流通チャネルと間接流通チャネル
aインターネットにおいては誰もが売り手になりうるだけに、とりわけ購買関与度が高いときには、メーカーが卸売業者や小売業者を介さずに、最終ユーザに直接販売することがある
b既存間接流通チャネルを構成する流通業者からの反発は、既存間接流通チャネルが強力なものであるほど激しくまた深刻なものになる傾向があり、間接流通のチャネルを主力としているメーカーは、この対立に悩まされ、自ら積極的にインターネット販売には乗りだしにくい
c間接流通チャネルを有するメーカーが、インターネット販売を本格化し直接の顧客囲い込みを目指すためには、まずこの対立を回避しなければならない
d新しい流通チャネルが登場し、それが消費者の購買習慣を変えてしまうものになった時、その変化への対応に遅れれば、メーカー自身の市場地位も脅かされかねない
12-7-2顧客の個別識別と個別対応
a流通チャネルとしてのインターネットの重要な特徴は、個々の顧客の固有名詞が把握された上で購買履歴が蓄積され、しかも個別対応が相対的に容易なこと
bインターネット販売では、顧客についてここ別々に、人手に頼ることなく、ニーズに合いそうな商品を推奨することが可能
c顧客の個別識別や個別対応は、業務用製品やサービスの分野では珍しいことではない
d長期にわたって顧客別の購買履歴が蓄積されるとなると、そうした長い取引を前提にたとえ取引のきっかけとなる商品で利益を出す事はできなくとも、将来的に利益を出していくと言う考えが生まれてくる
e取引のきっかけは無料のサンプルで、その後の長い継続的な取引の中で利益を出すと言うやり方もあり得る
f長い継続的な取引で一体どれだけ利益が出るかを考える必要がある
g特定顧客が生涯にわたって自社にもたらす価値の合計を顧客生涯価値と呼ぶ
h個別識別・個別対応が行われるとなると、売り手はこの顧客生涯価値をできるだけ大きくするとともに、先に説明したポートフォリオ分析のような枠組みを使って、顧客生産価値に応じた顧客対応を行うと言う考え方も出てくる
 
12-8まとめ
aメーカーとチャネル・メンバーとの関係について、統合システム、市場システム、管理システムの3つのタイプが識別され、市場システムや管理システムの下でチャネル・メンバーの行動をコントロールするための手立てとして、パワー資源に基づくチャンネル管理が説明された
b流通チャネルとしてのインターネットの登場は、直接流通チャネルと間接流通チャンネルの併用という困難な課題をメーカーに突きつけた
補論12-1流通系列化の基礎条件
aメーカーが流通系列化を行うためには、あるいはその基礎として依存度を高めていくためには、製品ラインの拡大が必要になる
b製品ラインを構成する個々の品目の販売可能性を高めるとともに、それによって流通業者が十分な利益を得られるようにすることも必要
補論12-2流通系列化競争の手立て
aメーカーは、流通業者の利益を確保し、自社の系列の魅力を高めるためにさらに様々な方策を行う
b流通業者への割増リベートや彼らの積立金に高率の配当を支払う積立金制度
c一定地域における取り扱い小売店の数を制限する選択的流通や、その極端な形態として独占的販売権を与える排他的流通は、流通業者のメーカー依存度を高める手段として、あるいは取扱小売店の質を維持する手段としても重要
d各小売店の仕入れ先卸売業者を指定する一店一帳合制は、小売店に対するコントロールを容易にするとともに卸売業者間の競争を抑制する
e流通業者の利益を維持し、流通系列を保つ上で特に重要な役割を果たしたのは、再販売価格の維持