担当:すほ
1 前回の振り返り
1-1 ラジオの現況
a 減衰傾向
a-1 若者のラジオ離れ
a-2 シニア層のラジオへの関心は強い
b インターネットラジオ聴取者の特性
ex.) 若年層のインターネット聴取率の高さ、シニア層にもインターネットラジオは一般的、積極的な接触傾向 など
1-2 ラジオのデジタル化計画と挫折
a デジタル化は制度的、技術的な障害によってスムーズに進まず
b マルチメディア放送へと移行
c 広いサービスの展開は実現しておらず
2 主要メディアイメージ比較(「メディア定点調査」2016 博報堂)
2-1 ラジオのイメージ
→温かみ
→近い距離間
→情報を得る手段として
(上位10項目)
a 生活者の声に耳を傾けてくれる感じ
b 好感が持てる
c 癒される
d 情報が信頼できる
e 気分転換になる
f 情報が早くて新しい
g 世の中の出来事がわかる
h 明確な個性や特徴がある
i 気持ちが落ち着く情報が多い
j ゆっくり楽しめる
2-2 多メディアとの比較
2-2-1 好印象
→温かみ
→近い距離間
→もっと触れたいメディア
a 生活者の声に耳を傾けてくれる感じ
b 気持ちが落ち着く情報が多い
c 利用数時間を増やしたい・減らしたい
2-2-2 悪印象
→そもそも無関心
→古いメディア
a わからない
b 活気や勢いを感じる
c 時代を切り開いていく感じがする(低)
2-3 2007年 (10年前) と比べて
→2-1a,bは変わりない
→「情報性」という点での低下
情報が早くて新しい
情報が幅広い
「メディアイメージでは『携帯・スマホ』の『情報が早くて新しい』が10年間で3倍強の伸び」(博報堂 2016)
2-4 まとめ
a ラジオは温かみを感じるメディア
b「興味がない」という層の存在
c「情報性」にはインターネット機器に劣る
→「情報」以外の価値を求められる
3 ラジオの利用シーン
3-1 自宅内外(ビデオリサーチ2017年4月度首都圏ラジオ調査)
3-1-1 男性
a 就業者は自宅低
b 60代以降は増える
3-1-2 女性
a 自宅内は男女比小
b 自宅外は男性よりも低い
→自宅外勤務者が相対的に少ない
→職種的要素
3-2 「ながら聴取」
3-2-1 ラジオは「ながら聴取」中心のメディア
a「カーラジオ」同様多様な聴取シーン
b「ながら聴取」とインターネットラジオの親和性
c「ラジオだけを聴く」は6% (NHK文研 2006)
3-2-2 聴取関連アクション
a インターネット経由聴取者は積極的に番組・情報に関与しようとする
→ラジオとリスナーの新しい「距離間」の形成
→10代~30代中心
→インターネット機器が身近にあるので気軽に併用
b 情報取集・購買の手段も「web」
c SNSとの連携(10代中心)
4 リスナーの嗜好
4-1 ジャンル
a「音声」のメディア
→音楽(全世代)
→トーク(若年層、男性)
b 情報を得るため
→ニュース(中高年層)
4-2 聴取目的の傾向
a AMとFMの比較
→放送局の編成上の差異
a-1 FMは「音楽」目的
→BGM
→音質
a-2 AMはニュース
b 年代比較
→「特定の好きな」ものを聴く若年層
→目的意識の違い
4-3 まとめ
若年層のラジオへの接触の目的意識の特徴
→「コンテンツ」・娯楽として接触している
→「好きな番組ランキング」オリコン2014
→人気タレント、音楽
オリコンスタイル調査 好きなラジオ番組ランキング
(2014 対象1000名 10~40代)
1位 オールナイトニッポン(ニッポン放送、以下LF)
2位 レコメン!(文化放送、以下QR)
3位 JUNK(TBSラジオ)
4位 嵐・相葉雅紀のレコメン!アラシリミックス(QR)
4位 BAY STORM(bayfm)
6位 SCHOOL OF LOCK!(TOKYO FM)
7位 福山雅治のSUZUKI Talking F.M.(TOKYO FM)
8位 福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル 魂のラジオ(LF)
8位 JET STREAM(TOKYO FM)
10位 KAT-TUN 亀梨和也のHANG OUT(FM NACK5)
5ラジオメディアにおける 高ロイヤルティの要因研究-消費者行動論の観点から-(佐藤 2016)
5-1ラジオはロイヤルティの高いメディア
a ラジオにおける「ロイヤルティ」
顧客が1つのラジオ局を繰り返し聴取し、しかもそのラジオ局でなければならない理由が存在していること
(ブランド・ロイヤルティ: 顧客の関与が高く、かつ他の代替となるブランドがあるにもかかわらず特定のブランドを反復して購買する行動)
b 1日あたり1局のみ聴くリスナーが7割(博報堂メディアパートナーズ『メディアガイド』2015)
c ロイヤルティには二種類
→特定局を聴くことが目的
→特定番組を聴くことが目的で結果的にその局のみを聞いた場合
5-2 調査
5-2-1 調査項目
① 聴取頻度、1日あたりの聴取局数、聴取目的、選考理由など
② ラジオ全般への態度(好きか、価値観が合うか、など) ③ 各放送局の聴取頻度・目的
5-2-2 聴取者分類(人数比率)
a ラジオ好き(26.0%)
→特定局・番組志向ともに高い
→頻度、態度ともに高い
→聴取局数が最も多い
→ニーズを満たす番組を探索
b 気まぐれリスナー(6.2%)
→特定局・番組志向ともに低い
c 特定局ファン(18.3%)
→特定局志向高い
→頻度、態度はあまり高くない
→ラジオ好きだが惰性で聴いている
d バラエティ・シーキング(49.5%)
→特定番組志向が高い
→最も多い
→ラジオへの態度は高くない
5-3 検証
5-3-1 特定局志向と特定番組志向が高いほど、ラジオ に対する態度(好意度等)も高い
a 質問項目
「ラジオが好き」「放送局によって好き嫌いが分かれる」「ラジオは価値観が合う」など
→全項目に関して「ラジオ好き」が最大、「気まぐれリスナー」が最低
b 特定局ファンとバラエティ・シーキングの比較
b-1 特定局ファンはラジオへの愛着
b-2 バラエティ・シーキングは好きな番組への興味
5-3-2 放送局によって、聴取者タイプの構成に違いがない
a 質問項目
首都圏AM5局とFM7局を対象に「どの局をどれくらいの頻度で聴くか」
→聴取者4タイプの分布にほぼ変化なし
5-3-3 ラジオを聴く目的によって,実際に聴取される放送局が異なる
a 質問項目
「ニュースが聴きたい」「生活情報が聴きたい」「好きな音楽を聴きたい」などラジオを聴く目的
b 4因子
b-1 パーソナリティ因子
b-2 スポーツ因子
b-3 ニュース・情報因子
b-4 音楽因子
c アンケート結果と局ごとの特性と検証
c-1 パーソナリティ因子
→TBSラジオ(大沢悠里、JUNK、久米宏、爆笑問題など)
→文化放送(大竹まこと、レコメン、リッスン?など)
→ニッポン放送(ANN、大谷ノブ彦、高田文夫など)
c-2 スポーツ因子
→ラジオ日本(競馬中継、独自路線)
→ニッポン放送(野球中継最多、Jリーグ、MLBなど)
c-3 ニュース因子
→NHK AM(公共放送、シニア層の支持)
c-4 音楽因子
→FM全般
5-4 まとめ
a 特定局というよりも特定番組への志向が高い
b その結果局へのロイヤルティが高まるケースもある(「ラジオ好き」)
c 聴取目的はロイヤルティ形成に大きな役割を果たしている
6次回にむけて
a 若者とラジオと
b インターネットとラジオとSNSと