担当 かひ

0. はじめに
a 購入における意思決定の変化は?
b ソーシャルメディアの介入による影響

1. 消費者行動
1-1. 定義
a 消費行動
―家計における所得の貯蓄と消費への配分
―消費の費目別分配の決定
 ex. 食料費、医療費、住居費、教養娯楽費

b 購買行動
―購買前行動
―購買行動
―購買後行動

1-2.マーケティング・ミックス
a. 4P
Product(製品)
Price(価格)
Promotion(販売促進)
Place(流通)
b. 4C
Customer value(顧客価値)
Customer cost(顧客コスト)
Convenience(利便性)
Communication(コミュニケーション)

図1 S-O-R型消費者行動モデルの概念図
(杉本 2012 P25より筆者作成)

c. 主体が消費者へ
c-1 売り手側による一方的なアプローチが限界に
c-2消費者が製品やサービスに対する検討力を身につけたこと

1-3.行動プロセスの変化
a. AIDMA
Attention(注意)→Interest(興味) →Desire(欲求) →Memory(記憶) →Action(行動)
 1920年代にホール(Holl,S,R)により提唱
        ↓
b. AISAS
Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)
2005年に電通が提唱

c. AISCEAS
Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索) →Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(行動)→Share(共有)
 2004年頃アンヴィコミュニケーションズが提唱

d. SIPS
Sympathize (共感)→Identify (確認)→Participate(参加)→Share & Spread (共有&拡散)
2011年電通が提唱
→ソーシャルメディアから発信

e. 自らが発信者となり他者とコミュニケーション過程を含めたモデルへと進んでいる

1-4. 消費者視点へ
a 購入・選択する前に情報収集する人が約8割
 →女性よりも男性が多い (図2)

図2. 商品・サービス購入時の事前の情報収集
(gooリサーチ 2011年度調査より引用)

b 情報収集の媒体としてインターネットが圧倒的 (図3)
→インターネットへの信頼性が上がっている(図4)

図4, 情報源としての重要性
   (平成23年 総務省の調査より引用)

c 信頼できる情報源は口コミサイト(「価格比較サイト」「評判や情報のサイト」「情報検索サイト」) (図5)

図5, 口コミ利用の多いサイト
  (平成22年 経済産業省の調べより引用)

2. 口コミ(Word Of Mouth)
2-1. 定義
a 話し手と受け手の間の口頭でなされるコミュニケーション
→現在では口頭以外(ネット上)のコミュニケーションを指すことが多い
b 受け手が非商業的だと知っているコミュニケーション
c ブランド、製品、サービスに関する内容を含む
d 「第3者の評価」として意味づけ
e 噂との違いは情報の内容により区別

2-2, 信頼
a ⅰ)対人的コミュニケーションは双方向的な意見交換を可能にする
ⅱ)対人的コミュニケーションで相互作用しあう人々は類似した価値や態度をもつ
ⅲ)対人的な情報源はコミュニケーションの受け手にとって接近可能性と信頼性が高い
ⅳ)対人的コミュニケーションは受け手側の抵抗や無関心を乗り越える
             (池田 2010 P9-10より引用)

b 受け手
b-1 より良い商品やサービスを選択するために、購買経験者や商品知識が豊富な者の意見を参考にしようとするから

図7. 購入・選定時に口コミがどの程度気になるか
 (gooリサーチ 2011年度調査より引用)

b-2 全体の約8割が口コミが気になる。(図7)

図8. 良い口コミと悪い口コミ、どちらが気になるか
  (同上調査より引用)

b-3 同じ商品・サービスでも悪い口コミが気になる。(図8)

b-4 口コミで購入をやめたことのある人は全体の7割
→男性よりも女性が多い

図9. 口コミの信頼度
(同上調査より引用)

b-5 口コミの信頼度全体で8割(図9)
→「文章がしっかりしている」「同じような年代、立場の人の意見」「自分と同じ考え方だと感じる」口コミであると信頼できる

b-6 ①消費者が商品について十分な知識をもっていない
②消費者が良い商品かどうかを判断する知識や能力をもっていない
③商品を評価する客観的基準がない
④ほかの情報源(例:広告)が信頼できない
⑤商品が他者から見えるもの
(杉本 2012 P184より引用)

c 発信者
c-1 返報性や利他行動
―他者のために役に立ちたい
 恩返しをしたい
c-2 自己表現や集団内地位の向上
―喜びや満足を表現
―注目を集めたい
―他者の行動に影響を及ぼすことで自分の地位を高める
c-3 「おしゃべり」としての楽しさ
 ―目的をもたない・会話のネタ
c-4 口コミ投稿経験は全体の3割ほど
 →悪いことよりも良いことを投稿したことが多い
c-5 消費者は購入した商品やサービスに満足できなかった時、満足した時よりも強く、口コミをしたいと感じる
―警告する意味での前向きな動機
―攻撃的な意図 (杉本 2012 P187より)

2-3. 口コミの内容
a 参考にする商品
―家電系・贈り物や取り寄せなどの食料品・化粧品

図6. 購入時に口コミを参考にする商品
  (gooリサーチ 2011年調査より引用)

b 手段
―口コミ利用の多いサイト順に価格.com、楽天のレビュー、Amazonのカスタマーレビュー (図7)

3. ソーシャルメディア
3-1. 定義
a CGM(Consumer Generated Media)
b ネットの個人ユーザーが発信する情報を互いに消費し合い影響し合うメディア構造
c 双方向性によりコミュニケーションを促進

3-2. 種類

表1. ソーシャルメディアの15タイプ
(斎藤 2010より筆者作成)

3-3. 普及率と利用目的
a いずれかのソーシャルメディアを利用している人は全体の約7割 (図8)
b 動画・画像共有サイトの利用が高く、商品口コミサイトはその次に高い結果(図8)
c SNS、twitter、ブログにおいても情報収集・発信は大きな割合を占めている。(図9)

3-4. ソーシャルメディアのクチコミ性の特徴
a バイラルマーケティング
 a-1 リアルタイム
 a-2 情報の劣化なく大人数へ発信
 a-3 企業サイドの情報操作・隠蔽の工作の防止
    (斎藤 2010 P26)

3-5. 企業の活用例
ローソン
a 25媒体のSNSを活用
 (ex. Facebook、Google+、twitter)
b キャラクターの活用
ⅰ他の企業とのタイアップが容易
ⅱ社内外でキャラクターを共有
4コマ漫画を制作して社内で閲覧
ⅲ情報伝播力の強さ
ⅳ媒体特性に合わせた展開が可能 (ex. ボーカロイド)
ⅴフランチャイズ店のオーナーやクルー(アルバイト)に愛される
c 媒体特性に合わせて情報発信
 →フィードバックし各商品開発のヒントに活用
d ソーシャルメディアを使ったO2O施策
ⅰクーポン活用
 ―ソフトドリンク・Lチキ半額のクーポン提供
ⅱFacebookクーポン
 ―広告サービス「Facebookクーポン」を展開
ⅲLINE限定クーポン
 ―おもしろフォトコンテスト
 ―LINEクーポンへの参加
ⅳtwitter×アニメ×イベント
 ―「けいおん」「エヴァンゲリオン」とのタイアップ
ⅴニコニコ動画の活用
 ―「からあげクン音頭」を作成。踊り手により集客に貢献

4. まとめ及びこれからの展望
a変化に伴う意思決定
ⅰソーシャルメディアによるコミュニケーションの発達
 ―消費者の情報の伝わり方が明確に
ⅱ友人・知人が消費行動に影響
 ―ソーシャルメディア上の人間関係の可視化

b これからの展望
 コンテンツを絞り、購買・意思決定のプロセスの変化等今回の調査と照らし合わせ具体的事例を調べたい

<参考文献・URL>
斎藤徹 2010 「図解 ビジネス情報源 入門から業界動向までひと目でわかる ソーシャルメディア」 株式会社アスキー・メディアワークス
杉本徹雄 2012 「新・消費者理解のための心理学」 福村出版
野上眞一 2010 「18歳からの『マーケティング」の基礎知識」ぱる出版
池田謙一 2010 「クチコミとマーケティングの社会心理」 東京大学出版会
横山隆治 2010 「トリプルメディアマーケティング ソーシャルメディア、自社メディア、広告の連携戦略」 株式会社インプレスジャパン
佐藤和明 2012「図解入門ビジネス 最新ソーシャルメディアがよ~くわかる本」秀和システム
平成23年版 情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc213330.html
「購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査 2011年gooリサーチ
http://research.goo.ne.jp/database/data/001430/
SIPS
http://www.dentsu.co.jp/sips/index.html
AISCEAS
http://marketingis.jp/wiki/AISCEAS
「SIPS」という考え方、そして共感の時代のメディア
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/tokusyu/20110207/201102toku4.html
gooリサーチ
http://blog.fides-cd.co.jp/article/270264579.html
2012「循環型マーケティングへの転換―新しい時代の消費者行動モデルの構築―」 『AD STUDIES』Vol.39、2012年2月25日号P13-14
http://www.yhmf.jp/pdf/activity/adstudies/vol_39_01_03.pdf
電通 2011 「ソーシャルメディアが企業ブランド・消費に与える影響」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2011/pdf/2011121-1025.pdf
2010 「進展するソーシャルマーケティングとソーシャル
マーケティング」AD STUDIES』Vol.39、2012年2月25日号P13-14
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2011/pdf/2011121-1025.pdf
川上慎市郎2010「21世紀のメディア環境と消費者行動の変化」
http://www.yhmf.jp/pdf/activity/adstudies/vol_34_01_02.pdf
第一生命保険 2009「消費者における情報の受発信と意識」
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/report/rp0907c.pdf
第一生命保険 2010「消費に関する情報伝達(口コミ)調査」
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news1002b.pdf
総務省 2011 「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査研究」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h23_06_houkoku.pdf
「ステルスマーケティングに関するユーザー意識と商品レビュー」
http://blog.fides-cd.co.jp/article/260182233.html
「O2O×ソーシャルメディアで全国1万店舗へ集客する、ローソン8つの活用事例」http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2013/04/05/14510
gooリサーチ 企業のソーシャルメディア活用想起に関する調査
http://research.goo.ne.jp/database/data/001518/
ローソン
http://www.lawson.co.jp/index.html

【URL最終閲覧日:2013.6.12】