人間は色を全身で感じている | UNOSANO.NET 彩リノススメ

UNOSANO.NET 彩リノススメ

イロドリノススメ

こんにちは、佐野みずきです。
 
すっかり暖かく春らしい気候が続いています。皆様いかがお過ごしですか?
きょうは、タイトルにある通り、色は「視覚」だけで識別しているのではなく、皮膚も色を感じている……がテーマです。

実は私がこのエピソードを初めてインターネット上でご紹介したのは、今から16年前、2002年のことでした。

>みずき先生の色彩講座


その当時は、「え?皮膚が色を感じるなんて嘘でしょう?」というのが一般的な感覚でしたので、私の原稿の書き出しも「こう聞いても信じられないかもしれませんが……」という前置きががありました。ですが、現代では多くの科学的な実証実験が重ねられ、「皮膚が色を感じる」ことは科学的常識になりつつあります。

皮膚に色の認識能力がある理由は、光の波長の差……つまり「色」をとらえるタンパク質、「オプシン」の作用です。
「視物質」といわれる「オプシン」は、青、緑、赤、それぞれの色の光をとらえることにより、脳が赤から紫までの色を感じることができます。そして、この「オプシン」は、眼と同じように皮膚にも存在するということがわかってきたのです。

 


皮膚で感じる色は、視覚のように明確な色の違いを脳に伝えることはしませんが、皮膚表面では受けた色によって異なる反応を示します。「赤い下着」に保温効果があるというのは、一般的にも知られていますが、これにも科学的な裏付けがあるということです。

実際に発光ダイオードによる「色による治療」を行っているインドのクリニックのデータでは、皮膚ダメージや風邪などの治療に最も効果が高いのは赤、次にオレンジだそうです。反対に治癒効果が低いのは、緑や青系の色ですが、精神疾患に対する鎮静効果や、発熱を抑えるのは、むしろ青系の光のほうが高いというデータがあります。

皮膚は、紫外線による日焼けをしたり、赤外線による暖かさを感知することはよく知られています。ですが最近の研究では、それだけではなく、紫外線と赤外線の間の「色」も識別しているということがわかってきています。
現代では、医療の場だけではなく、美容の場でも、色の光による補正効果が見直されています。今後は、色彩の研究がさらに進み、その様々な効果が日常生活に生かされる時代がくることでしょう。



※「視物質」は、「オプシン(opsin)」と呼ばれるタンパク質と「ビタミンA誘導体レチナール(retinal)」の複合体です。「視物質」タンパク質は、「杆体(かんたい・網膜にある視細胞の一部)」に存在する「ロドプシン(rhodopsin)」と、青、緑、赤の各「錐体(すいたい)」に存在する青オプシン、緑オプシン、赤オプシンの4種類が存在します。

 

 

佐野みずき公式サイト▶

ノブレス・オブリージュアカデミーにてカラーメンタリスト講座受講生募集中▶

日刊スポーツ講師派遣システム「色彩心理診断・佐野みずき」▶

UNOSANO.NETの「彩りのススメ」好評発売中▶