香取神宮・境外末社

 狐坐山神社 

(こざやま)

 

 当社を稲荷と書くブログが散見されます。しかし、それは誤り。

稲荷神社において、白狐はあくまでも眷属。神の使いであって、神ではありません。

当社の場合、命婦(=狐)は眷属でなく、神そのものです。

◇鎮座地:香取市香取221

 →香取神宮・祈祷殿から推定300m

◇御祭神:命婦(みょうぶ)

◇御朱印:なし

 

 

 

【参道】

 亀甲山に鎮座する香取神宮。境内から山麓に下る道がいくつか存在します。

主たる道は、①表参道、②旧参道(&③下井坂)、④氷室坂、⑤御神井道、です。

 

 

◆起点は祈祷殿

 狐坐山神社に行くには、香取神宮・祈祷殿の脇を出発する『御神井道』を使います。

この道の途中から当社の参道に入ります。

 

 

◆切通道を横断

 標記石碑のある石段を降り、車道(=切通道)を横断した付近です。ここから境外になります。

 

 

◆山林を切り開いた道

 筆者はこの道を歩くのが大好きです。美しい参道ですので、写真を何枚か挙げてみます。

 

 

◆山を下る

  御神井道は、最も足元が悪い参道です。

 

 

◆悪路

 四角い石を階段状に並べています。石に苔が生えているため、慎重さが求められます。

 

 

◆景色は良い

  足元は悪くても、景色は良いのです。この辺りは、樹木が伐採されていて、日当たり良好。

 

 

◆分岐点

 山を降りてくるとY字路が現れます。

右手の上り=狐坐山神社への参道。

左手の下り=御手洗井への御神井道。

 

 

◆一之鳥居

 以前は、黄土色に塗装された鳥居でした。2020年から乳白色に変わっています。

 

 

◆参考=2019年・秋

 千葉県・観測史上最悪の台風が過ぎ去った直後。無惨です。(筆者撮影)

 

 

◆ここから登り道

 石を並べた狭い階段が続きますが、途中からコンクリート製の石段に変わります。

 

 

◆頂上付近

 ゴール付近は、石段が途切れて緩やかな斜面を上っていきます。

 

 

◆社殿を遠望

 

 

◆二之鳥居

 

 

◆遺構

 手水舎はなく、遺構の水盤があるのみ。浄めの水はありません。(写真=2021・2月・筆者)

 

 

◆社殿

御祭神:命婦

 1700年代の『香取 大禰宜家日記』に古図が収録されています。

そこには、 当社御祭神=湍津姫命 と書かれています。

 ちなみに、 姥山神社=市杵島姫命、佐山神社=田心姫命。

すなわち、宗像三女神を祀る三社。と、認識されていたようです。

 

 

◆論拠となる古図

 『香取 大禰宜家日記』に掲載されている古図。縦長の図を右回転。byネット『香取神宮をうろうろ』

 

 画面左、3つの「山」に宗像三女神。楼門の前に大鳥居。祓殿や猿田彦神社も見えます。

また、御神井道・分岐の左に御手洗井はなく、「脇鷹」。これは、側高神社でしょうか。近すぎますが、方角は合致します。実際、筆者が側高神社に行った際は、御手洗井経由でした。

 

 

◆狐坐山大明神

 当社は、神狐を祀りますが、妖狐の雰囲気などありません。

「正一位○○稲荷神社」と白抜きされた、例の赤い幟もありません。

 

 

◆境内

 社殿の前で深呼吸を繰り返しつつ、しばし休憩。

 

 

◆塚らしき盛土

 社殿背後のマウンドに上がってみました。

 

 

◆名残惜しいけれど下山

 一之鳥居まで下りて、分岐点を御手洗井に向かいます。

 

 

◆御神井道

 分岐点から麓までは、100mたらずの道のりです。

 

 

◆進入路

 向こう側は山林。手前側は50~60cm程度の土手が造られおり、隔絶空間になっています。

 

 

◆御神井(みたらし井)

 前夜が土砂降りでした。そのため、池は濁っていました。

 

 

◆古写真

 畔に佇む人物の服装から、明治・大正期の写真かと思われます。

(写真は、ネット『香取神宮をうろうろ』より拝借)

 

 

◆聖性は感じられません

 昔はともかく、今は残念ながら聖性を感じることができません。

2019年にも書いたように、鳥居や祠を建て、祀るようになれば変わってくるのかもしれません。

 

 

◆道祖神

 御手洗池を包む土手の片隅に鎮座。

神社は、森深くにあるからこそ、清く&尊い。

道祖神は、苔むして草むらにあるからこそ、愛おしい。

と、そんな気がいたします。

 

 

 

【本日の香取神宮】

◆神庫

 校倉造り、桟瓦葺で1909年に建てられました。

こちらで保管する、八龍神の木像が令和3年(2021年)6月、市の文化財に指定されました。

 

 

◆木像『八龍神』

 江戸時代まで、当社では祭祀で 《八龍神を崇拝対象》 としていました。

8体とも揃った八龍神の木像。多くは、室町時代に制作され、像高は85~90cm前後です。

 

 この神像、古くは楼門にて安置。慶長12年(1607年)に正殿大床に遷されました。

明治初期に祭祀の改変があり、八龍神は祭祀での位置づけが解除されました。以後、神像は正殿から神庫に移され、現在に至ります。

*写真・文とも香取市HPより

 

 

 

【御朱印】

 狐坐山神社の御朱印はありません。

◇参考リンク(筆者記事)

香取神宮 4種の御朱印

 

 

 

【参拝ルート】2021年 6月30日

START=JR成田線・佐原駅10:10着~コミュニティ・バス停留所→大戸循環ルート→香取神宮バス停~130m~香取神宮 斎田~350m~赤鳥居~270m(表参道)~総門&楼門~①香取神宮 拝殿~「茅の輪くぐり」&匝瑳神社~表参道~赤鳥居~220m(王子の坂)~②王子神社~850m~③高房神社~900m~氷室井の石碑~110m(氷室坂)~④姥山神社~180m~⑤佐山神社~150m~勅使門~100m(切通し道)~⑥璽社~ 御神井道(推定250m)~⑦狐坐山神社&御手洗池 ~推定300m~香取神宮 斎庭~⑧神事「夏越の大祓」~表参道~香取神宮バス停→コミュニティ・バス→佐原駅16:20着=GOAL

 

 

 

【編集後記】

◆今回で3回目

 筆者は、2019年の初参拝以来、年に1回ペースで狐坐山神社を訪れています。もちろん、山頂の境内は良い雰囲気です。しかし、それだけではありません。繰り返しになりますが、「御神井道」も良いのです。足元が悪く、緊張を強いられますが、緑に包囲された風景と澄んだ空気がたまりません。(了)