2019年10月17日、香取神宮の標記式典を見学。併せて、「新飯神事祭(にいのじんじ)」や「奉納相撲大会」も楽しんできました。

 

下総國一之宮

《香取神宮の歩き方~祭典》

 『神嘗奉祝祭』

(かんなめ ほうしゅくさい)

 

 

◆浄め

~まずは手水を使って、心身を浄めてから記事を始めたいと思います。総門の先に手水舎が見えます。その背後は社叢です。つまり、拝殿・本殿は総門正面に造られておりません。

水が豊かな香取の本領発揮!そんな水量&水勢です。 

 

 

 

【香取神宮・神嘗奉祝祭】

 ①そもそも、神嘗祭とは

→伊勢神宮で斎行される、五穀豊穣の感謝祭。
 

 

 ②誰が誰に感謝するのか

→天皇が天照大御神に五穀豊穣を感謝。

(天皇は、伊勢神宮に新穀を捧げます。祭の当日は、皇居から伊勢神宮を遙拝されます。)

 

 

 ③なぜ、感謝しなければならないのか

→稲は神からの賜物だから。

~神話によれば、稲作は大陸から伝わった技術ではありません。

これは、「天孫降臨」の際、天照大神がニニギノミコトに稲を授けたことに始まる、とされます。すなわち、稲作りは天つ神の命令=「斎庭(ゆにわ)の稲穂の神勅」によります。

by 神宮徴古館所蔵絵画

 

稲作りが天つ神の指示によるもの。

であるならば・・・、

 

収穫は天皇のものでなく、神のもの

 

それを天皇が賜る、という図式になります。

よって、天皇は神嘗祭を斎行し、神に感謝するのです。

 

 

 

【神嘗奉祝祭】

◆香取神宮拝殿

~先に記したように、「神嘗祭」は、伊勢神宮と宮中で斎行されます。その当日、こちら香取神宮では、神嘗祭を奉祝する祭祀を執り行います。

~浄衣を着た神職らが拝殿内に整列しました。神職は、衣冠束帯で笏を持っています。

頭に乗せるのが烏帽子でなく、冠であることから、祭事としての格が高いことが分かります。

楼門と拝殿の中間地点付近からの遠望です。よって、明確には分からないのですが、神前に新穀が捧げられ、祝詞が奏上されているようでした。

 

 

◆新飯神事(にいのじんじ)

~神嘗祭の日、香取地方では、古来より氏神様へ赤飯をお供えする習慣があり、これを「新飯神事」と呼んでいます。初穂収穫を祝い、神に感謝の意を表わす催しです。当神宮では、早朝より氏子の皆さんが各家庭で炊いた赤飯を献上しにお参りされます。 by香取神宮公式サイト

 

 

◆あまねく奉納される赤飯

~御手洗井を遮蔽する土塁に鎮座した石祠を撮影しました。おそらく、水の神さまを祀っているのでしょう。この日は、「新飯神事」でしたので、赤飯が供えられていました。こんなにも小さな祠でさえ、地元の方々に大切にされている。その証拠とも言える赤飯です。

 

 

◆退出

~儀式が終わると、香取宮司はじめ神職が足早に拝殿を後にします。

 

 

 

【参考】

~神嘗祭と似た名称の新嘗祭。

☆『新嘗祭(にいなめさい)』.

《天皇が神前で新穀を食す》宮中祭祀

 

なぜ、天皇は新穀を食べるのか

→賜物を食べることで、神の霊を身に体して生命を養うため。

※この儀式は、18時から20時、そして23時から25時に斎行されます。装束にかなりの重量があること、すべて正座で行うこと、寒さが厳しいこと、などから身体的に過酷な儀式です。今回の譲位はこういう点からも頷けます。

 

 

 

【神嘗祭・奉納相撲】

~「神嘗奉祝祭」のさなか、境内では力士たちがリラックスしていました。それにしても、美しい楼門です。屋根のアールも絶妙です!

 

 

◆紙垂を巻きつけた榊

~拝殿前では、「奉納相撲」に参加する力士たちを浄めるため、玉ぐしなどの準備がなされていました。

 

 

 

◆力士を浄める

~力士は、横須賀、木更津、鎌ヶ谷(=下総基地)などから集結した自衛隊の皆さんです。

神職から榊を授与されます。

授けられた榊を手に、力士の代表が拝殿(=フツヌシ大神)を拝します。

 

 

◆香取宮司のあいさつ

~今回の災害における、自衛隊の献身的な活動に対して最大級の謝辞を寄せられました。

 

 

◆力士を待つ土俵

~柱に巻かれた布の色は、青・赤・白・黒。これは、四方を守護する霊獣、すなわち青龍・朱雀(赤)・白虎・玄武(黒)の色だと思われます。柱の設営位置が45度以上ズレているような感じがしないでもありません。*「玄」=黒。シロート・クロートは「素人・玄人」と書きます。

ちからのほか、テントには「新飯神事」の流れで、赤飯が用意されていました。本来、神さまには、水、コメ、塩、などの素材系。仏さまには、お茶、ごはん、など加工系が供えられます。奉納相撲では、両者折衷でしょうか。

奉納相撲は、総門と楼門の間の神域で行われました。馬場殿神社や天降神社の近くです。

 

 

 

【神嘗祭関連施設】

◆神饌殿(みけでん)

~拝殿左手、三本杉の隣に建てられています。神さまのお食事を調理&保管する建物です。香取神宮では、同じコンセプトで別途、拝殿と本殿の間に「神饌所」を設置しています。

神饌殿は、伊勢神宮では神さまの食堂。調理は、忌火屋殿で行います。紛らわしいです。

 

 

 

【御朱印】

~シンプルで美しい御朱印。今回は、墨書の筆致もいつになく流麗です。

 

 

 

【参拝ルート】 2019年10月17日

START=JR成田線「佐原駅」~徒歩70m~①自転車調達「佐原観光協会」~自転車1.2km~②『佐原八坂神社』~自転車2.2km ③『香取神宮』 ~自転車3.5km~④『佐原諏訪神社』~自転車350m~⑤「佐原観光協会」自転車返却~徒歩100m~⑥JR成田線「佐原駅」=GOAL

 

 

 

【香取神宮の歩き方~祭典】

本シリーズでは、ほかの記事もあります。よろしければご覧ください。

→『星鎮祭』(ほしづめ祭)

 

 

 

【ひとこと】

◆大嘗祭当日祭

~香取神宮では、11月14日(木)に大嘗祭当日祭を斎行します。

本年は、例年斎行している『新嘗祭(11月23日)』に代わり、日にちを14日として『大嘗祭当日祭』を執行します。by公式サイト

 

◆神域での滞在

~3時間近くを境内で過ごしました。香取神宮は見どころが多く、気の良い場所も少なくないため、どうしても滞在時間が長くなります。今回は、多くの境内&境外・摂社末社、建造物、そして史跡に足を運びました。

 

◆祭神研究

~香取神宮の祭神は、経津主大神(ふつぬしのおおかみ)、これは常識です。しかし、その別名と言われている神=《いわいぬしのかみ→伊波比主神もしくは斎主神》がいます。この神について、最近、興味深い仮説を読みました。差し替え記事に反映させる予定です。 (了)