二
特に何の予定があるわけでもない。でも、何故か僕は家路を急いでいた。
途中で何度も背後から視線を受けているような気がして振り返ったが、そこにはただ空気があるだけだった。
得体の知れない何かに追われているような気分で逃げ込んだ1DKアパートにも安息はなかった。
耳が痛くなるほど静かな室内では、小さな音ほどよく聞こえた。キッチンで水滴が落ちる音、スマホの着信音、下の階の錆びたドアが閉まる音さえも大きな悲鳴となって耳に届く。ずっとそんな音を聞いていては気が滅入る。
気まぐれにテレビをつけ、無理やり雑音を生み出した。
「今日は新しくできた野の丘ショッピ......」
「女優の穂高美玲さんが......」
「この交通事故による死者は幸いにも......」
どこも局もとりとめのないような、知らなくても生きていけるような内容の番組を放映している。
しかし、気を紛らわすのには十分だ。
じっと画面の中の景色を眺めて、僕は時が過ぎるのを待った。
時はなんでも解決してくれる。
よほどひどい怪我でさえなければ、時が治してくれる。
ひととき抱いた不安だって、じきに杞憂にしてくれる。
そうだ。きっと彼女のことも時が忘れさせてくれるだろう。あの声も、手の暖かさも、澄んだ瞳も。全てを、忘れさせてくれるだろう。
......でも、本当にそれでいいのだろうか。
僕は彼女の真実を知るべきなのではないだろうか。
自分に投げかけたその問いの解を心の中で探した。
しかし、数学の方程式ほど単純なものではない。
一向に答えは出なかった。
なんとか短いですが更新できました。
今のところは八章までかけているのですが、添削の関係でかなりゆっくりの投稿となっています。
誤字脱字のオンパレードなんです(・_・;
夜遅くまで書いているせいですね。
勉強も頑張らないといけないですし、、、
これからもペースは変わらずですが、よろしくお願いします。
では、また🐢