村山早紀 『桜風堂ものがたり』 (PHP研究所) 1,728円
[作品紹介]
地方の老舗百貨店内の書店、銀河堂書店に勤める物静
かな青年、月原一整は、人づきあいが苦手な書店員。 彼
の特技は埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるこ
と。 店長からも「宝探しの月原」と呼ばれ信頼されていた。
しかしある日、店内で起こった万引き事件が 思わぬ顛末
をたどり、その責任をとって一整は店を辞めざるを得なく
なる。そして彼は、旧知の桜風堂書店を訪ねるために、桜
野町を訪ねると…。
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今年2017年の「本屋大賞」ノミネート作品。作者は児童書
の作家さんだし、版元も大手とは言えず、さらに 初版部数
は10,000部と、通常ならば「本屋大賞」の他作品とは随分
条件が違います。では、何故この作品が、最終選考の
10作品の中に残っているのか それはこの作品が書店
員さんの物語だからなのです 帯が またいい♪ “涙は
流れるかもしれない。けれど悲しい涙ではありません”
主人公・一整が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼
の友人が、元同僚たちが、作家が、そして 出版社営業が、
一緒になってある奇跡を巻き起こすまさに、書店員さん
の、書店員さんのための物語。 これは、読まずにはいられ
ません。主人公の名前が一整だけに、映像化されたら、こ
の役を演じるのは高橋一生なんだろうな。 と、思いながら
読んでいましたよ。
また、姿形ではありませんが、主人公の人柄が私にも似
ているんですよ “現実の世界では、人との距離を保ち、
あまり人に踏み込んだりしない一整はブログの世界では
好きな本のことを語る時は饒舌で、言葉を多く紡ぎ出す”
これって、本当は私のこと 思えば、このブログを始めた
10年前、“何で今までやらなかったんだろう” と、思った
くらいハマったものでした。 お薦めです